このページでは、令和8年度(2026年度)大学入学共通テスト「物理」の出題について解説します。
物理
2026年度の物理は、例年出題されていた実験や探究活動をテーマにした問題の出題はありませんでした。
また、知識だけで即答できる問題はほぼ出題されず、理論計算が必要とされる問題が多くなっており、昨年に比べて難化したといえるでしょう。
目新しい問題はありませんでしたが、やや難易度の高い問題に誘導をつけたような問題もあり、物理的思考力・考察力が問われていました。
普段の学習から物理現象を考察し、計算力をつけておくこと、暗記ではなく「基本原理の理解」を徹底することが重要です。

第1問 小問集合
力学・熱力学・波動・電磁気学・原子の各分野からまんべんなく出題されました。
問1は、ドップラー効果の基本問題でした。
音源の運動は音速に影響しないことに注意し、ドップラー効果の式を適用します。
問2は、抵抗、コイル、コンデンサーについて、定性的に考察により電流が流れやすい組み合わせを選ぶ問題でした。
交流電源を接続した場合には、リアクタンスの値が等しいことから共振回路をつくることができると気づく必要がありました。
問3は、みかけの重力と浮力に関する問題でした。
ヒントをもとに考えれば正答が得られます。
問4は、コンプトン効果に関する基本問題です。
与えられている運動量保存則をうまく利用すれば、答えを選ぶことは難しくなかったでしょう。
問5は、気体の状態量に関する問題でした。
気体の状態方程式や二乗平均速度の正確な理解が必要な問題で、多くの受験生にとって難易度が高いものだったと考えられます。
第2問 力学
物体の衝突に関する問題でした。
問1・問2は典型問題です。
反発係数の式と運動量保存則を用いて答えを導くことができます。
問3・問4は、小物体をばねでつながれた2つの小物体に衝突させるという設定でした。
慣れない題材で、状況の理解に苦戦した受験生も多かったと思います。
「ばねの両端に物体が接続されている問題を、経験したことがあるかどうかで差がついた」と言えるでしょう。
問3は問題文の定義に従って解けばよいですが、問4は正確な状況把握と、保存則をうまく利用する必要がありました。

第3問 A熱力学 B波動
昨年同様A、Bに分かれたテーマの出題でした。
問題ごとに状況把握が必要だったため、少し時間がかかります。
A問題は熱力学からの出題で、熱サイクルに関する問題でした。
全体的に、基本原理が理解できていれば答えることが可能な問題ばかりでした。
問1は、定圧変化に関する基本的な問題です。
問2は、問題文の指示に従って計算すれば解答できる問題でした。
問3は、サイクル1周のエネルギー収支と熱効率、両方の理解が必要です。
サイクルの各過程について、熱力学第一法則を立てることで正答を選ぶことができるでしょう。
B問題は波動からの出題で、円形波と平面波の干渉に関して注意力が必要とされる設問でした。
正答を得るために必要なことは典型的な問題と同じですが、珍しい設定であったため動揺してしまった受験生も多かったと想定されます。
問4は、経路差に関する強め合い条件を選ぶ問題でしたが、一方の波が平面波ということに注意が必要です。
問5は、定在波の腹の個数を求める問題でした。
x軸上に着目して数えればよいです。
問6は、円形波と平面波の交点の軌跡を考える問題でした。
1周期後の波の様子を考えればよいですが、2つの進行波を正確に想像することが難しかったと思われます。
第4問 電磁気学
電磁場中の荷電粒子の運動に関する問題でした。
一様電場や磁場から荷電粒子が受ける力の性質と、その力による荷電粒子の運動についての基礎理解があればじゅうぶん得点できる内容でした。
本年度の中では比較的取り組みやすい問題だったと思われます。
問1は、じゅうぶん時間が経過しているため、直流電流が流れていないことに注意が必要です。
問2・問3は、「静電気力は保存力である」ことを理解したうえで、力学の斜方投射との類推で解答していくことができます。
問4は、負電荷の荷電粒子の運動から、ローレンツ力がはたらく向きと磁場の向きを答える基本的な問題です。
問5は2つの装置における運動について、質量がどの物理量に影響を及ぼすか正確に考える必要があります。
正答率は低くなると思われます。

まとめ
今年度は、物理現象から正しく立式し考察する問題が多く出題されました。
公式を丸暗記して計算するだけの学習では、高得点を取ることは難しいでしょう。
各物理量や公式について、正しく定義を把握し、疑問点は先生と対話することで随時解決していきながら学習を進めていくことが重要です。
物理の共通テスト対策









