教師になりたいなら教育学部を目指すべき?教育学部卒の受験コンサルタントが答えます!【大学受験の悩み相談】

最終更新日:2023/12/22

※この記事は約9分で読めます。

こんにちは!四谷学院 受験コンサルタントチームの伊達です。

先日ある生徒との面談で、こんな相談がありました。
『将来は生物の先生になりたいけど、大学では色んな動物の生態について深く研究してみたくて… 教育学部に進んで先生になるか、それとも生物学を学べる学部を選んで研究の道に進むか迷ってます。』

「教師」という仕事は、実は誰もが一番近くでその仕事ぶりを見てきている、非常に身近な存在です。
小中高と10年以上多くの先生と一緒に過ごしてきて、「この先生みたいになりたい!」と思えるような恩師に巡り合った経験がある人も少なくないでしょう。
現に、様々な媒体が行っている「なりたい職業ランキング」でも、Youtuberやプロスポーツ選手などがランクインする中、教師や先生が上位に入っていることも多いです。

今回は、実際に教育学部で学び、教員免許を取得した経験のある筆者から、「教員志望者は教育学部に進んだ方が良いのか」について、お話していきます。

教員免許の種類と取り方

教師や教員と一口に言っても、実際は多くの種類の先生が存在します。
幼稚園をはじめ、小学校・中学校・高校・特別支援学校…それぞれに対応する免許を取得しなければ教員にはなれません。
たとえば小学校と高校では教員免許の種類が異なっているため、「本当は小学校(高校)の先生になりたかったのに…」と、大学へ進学してから後悔する可能性もあります。
まずはその教員免許の種類について確認していきましょう。

教員になりたい場合は普通免許状の取得が必要

教員免許には、「普通免許状」「特別免許状」「臨時免許状」の3種類があります。
大学での教員免許取得を目指す場合は、普通免許を取得することになります。
特別免許は優れた知識や経験を持つ社会人を、臨時免許は教育職員検定に合格した人を、任命した都道府県でのみ学校現場に加える制度です。

臨時免許はその名の通り、臨時で発行する教員免許です。
たとえば小学校の教員数が減っている地域では、中学校の普通免許を持っている教員に発行し、人手が足りていない小学校で指導を行うというケースが多くなっています。

臨時=元々考えられていた正規の流れとは異なる形で担当している…ということですが、その臨時免許の交付数はなんと年間で1万件を超えているのです。
緊急事態に対応することは重要ですが、そもそもその事態が起こらないことがベスト。
自分が望んだ場所で活躍できるよう、よく考えて適切な種類の普通免許を取得しましょう。

キャリアアップのためには大学院へ進むべき?

普通免許状は、「一種」「二種」「専修」の3種類に分かれています。
一種免許状は大学卒業時に、二種免許状は短大や専門学校卒業時に、そして専修免許状は大学院を修了すると取得できます。

大学進学を目指している受験生の多くは、一種免許状を取得することになりますが、その先の大学院進学、つまり専修免許状の取得は目指すべきなのでしょうか。

教育系大学院進学のメリット

大学院進学のメリットは「人脈を広げられる」「指導力を一層高められる」といった点です。
特に人脈は大きなポイントになるでしょう。

教師という仕事に就くと、特定の中学校や高校に所属することになります。
幼少期に始まり社会人になってからも、常に「学校」というコミュニティに居続けることから、『教師は社会経験が足りない!』という批判の声を聞くこともあります。
しかし、大学院には他業種から教職を目指す人なども集まり、様々な年代の同志と学ぶことができるため、視野や見識を広げることが可能です。

そもそも単に「学校」の外で働いたからといって、それが生徒指導において意味のある社会経験になるとは限りません。
将来教員として活躍することを決めている人にとっては、大きなプラスになり得る2年間だと言えるでしょう。

教育系大学院進学のデメリット

一方でデメリットは、働き始めるのが遅くなるという点でしょうか。
ごく一部の私立学校では「専修免許状の所持」を募集条件に入れているところもあるようですが、かなり限られています。
また、多くの人がイメージする「上の役職」である「校長」になるにも専修免許は不要であり、実は教員免許を持たない人でも法律上はなることが可能なのです。

もちろん大学院で学んだことが自分の指導力につながることは多々あるでしょうが、「専修免許状の所持」自体にはあまり大きな差がないと言えます。
実際の教壇で経験してこそ学べることも多いため、どちらの環境が自分の成長につながりそうか、考えてみると良いですね。

教育大や教育学部で専門的に学んだ方が良いの?

教員になる道は、「教育」と名前がつく大学や学部に限りません。
中学校・高校の教員免許は、各教科に関連する学部で取得できることが多く、幼稚園や小学校の教諭を養成する「子ども学部」等も全国に存在します。
教育系学部に進むか、それ以外の学部(以下、他学部と表記)か。メリットとデメリットを確認していきましょう。

学習負担

教育系学部…◎ 他学部…×

まず大きな違いとなるのが、大学での学習負担。つまり修得単位数の違いです。
大学を卒業するには、定められた数の講義を受講し、試験やレポートなどによって内容を修了したと認められなければいけません。
この修了証明こそがよく耳にする「単位」であり、多くの大学では卒業までに124単位ほどを修得しなければいけません。

そして、その単位(講義)の中には「必修科目」と「選択科目」が存在します。
必修科目は、大学を卒業するために「決められた科目の中から○単位を必ず修得しなければいけない」というものです。
一方で選択科目は、自由に受講する講義を選ぶことができ、必修科目と合わせて卒業に必要な単位数を履修していきます。

ここで重要なのが、他学部の場合は教職課程が卒業単位に含まれないことが多いという点です。
つまり、自分の所属する学部で履修する講義数に「上乗せ」して、周りの学生よりも多くの講義や課題をこなしていく必要があります。

小中高の一種免許を取得するには、最低でも67単位が必要。
大半の大学生は3年生までに卒業単位の大半を修得する計画を立てるため、1年あたり20単位ほどを周囲よりも多く修得しなければいけません。

所属学部の単位に含まれる授業も一部あるため、実際はそこまで膨らむことはないでしょうが、サークルやアルバイトの時間も欲しい大学生にとって、決して軽くはない負担ですよね。
教育学部は多くの授業を卒業単位に含められるため、この学習負担という点は大きな違いと言えそうです。
ただ、教職課程には様々な学部の学生が集まるため、交友関係を広げられるのはプラスになるかもしれません。

進路選択の幅

教育系学部…△ 他学部◎…×

よく『教育学部の人って、みんな先生になるんですか?』と聞かれます。
実際は、まったくそんなことはありません。あなたの周りにいる先生に聞いてみると、意外と文学部や理学部出身だった…ということも多いはずですよ。

教育大学は別として、総合大学の教育学部では「教員志望の割合が全体の半数を超えていたらかなり多い」と言えます。
これはいわゆる「ブランド力のある」大学であるほどより顕著になり、就職活動やサークルのために「学部を選ばずに入学した」という学生が多いためです。

私の周りにも、教職課程をとる友人はあまりいませんでした。
1クラス約35名(大学によってはクラスがあります)のうち、教員免許を取得したのは10名いかないくらいだったと記憶しています。
また、免許を取得しながら、教員にはならず周りと同様に就職活動を行う人もいます。

教育学部に進学=教員になる、ではありません。ほかの職業にも就けますし、就職のときに大きく評価を下げられることもまずないでしょう。
結局は本人の努力次第にはなりますが、私の周りでは銀行や商社に就職していく人が多かったですね。

ただし、教育に関連する講義を受けることが増えるため、ある程度教育の道に興味がないと、有意義な時間を過ごせていないと感じることも多いはずです。
「まだ教員になるか迷っている」「とりあえず免許だけは取っておきたい」という人は、経済学部や商学部など、「つぶしがきく」学部を選択した方が良いかもしれません。

専門性

教育系学部…○ 他学部…◎

先の項目で挙げた通り、教育の道に進みたいのであれば、教育学部の専門性に匹敵する学部はありません。
ただし、中学校や高校で指導する場合、特定の科目について学びたいというときには、他学部も専門性という点では劣っていないでしょう。

教育学部は、将来指導したい科目に応じて、学科やコースが分かれています。
たとえば早稲田大学であれば、「国語国文学科」「英語英文学科」「社会科学科」「理学科」「数学科」などがありますね。
もちろんその学科に応じて、国語や英語という科目の専門的な知識を深めていくことができますが、大学によっては「もっと深くまで学びたいのに!」と感じる学生もいるようです。

特に顕著なのは物理や化学といった理科科目でしょう。
現に早稲田大学では理学科が「生物学専修」「地球科学専修」の2つに分かれています。
基礎共通科目の中では物理や化学を学んでいきますが、1つの学問だけをより深くまで追究したいと感じるのであれば、先進理工学部の物理学科や応用化学科の方が、整った環境で研究や実験に励むことができます。

「他者にその学問の面白さや奥深さを広めたい」のか、それとも「自分自身がその学問の本質を追究したいのか」で、学部を決めると良いでしょう。

結論!教師になるにはどの道が良い?

教師になるための道は、教育学部だけではありません。
次回は学校ごと・科目ごとに、どんな学部であれば教員免許を取得できるのかまとめていきます。ぜひ参考にしてくださいね。

私自身は教育学部で教員免許を取得し、結果的に教師という仕事には進みませんでした。
ただ、大学で教育心理学を学んだことがきっかけで、予備校の先生として、学校外の場所で生徒のサポートがしたいと思うようになりました。
「人に教えることが好きだ、面白いと感じる」という人には、同じ考えを持つ仲間の割合が高い教育学部の環境で学ぶことをおすすめします。
一緒に高めあえる存在がたくさんいるのは非常に心強いですよ。

一方、「教師という仕事はたくさんある選択肢の内の1つだ」「まだ将来何をしたいかが全く定まっていない」という人は、他学部に進むことを考えた方が良いかもしれません。
18歳前後のタイミングで、最長で40年程度続けていく自分の仕事を決める…というのは簡単なことではないですからね。
大学で広く学んだ上で、自分にとっての正解を見つけていくのも良いでしょう。

四谷学院では、受験コンサルタントと進路についての相談ができます。
一緒に話をしていく中で、『自分がこういう仕事をやってみたいって、話してみて初めて気がついた!』という発見をする人も少なくありません。
自分の将来に不安や迷いが生じたら、ぜひお気軽に相談してくださいね。

大学受験合格ブログ編集部

このブログは、大学受験予備校の四谷学院の「受験コンサルタントチーム」「講師チーム」「受験指導部チーム」が担当しています。 大学受験合格ブログでは、勉強方法や学習アドバイスから、保護者の方に向けた「受験生サポート」の仕方まで幅広く、皆様のお悩みに役立つ情報を発信しています。

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