文理選択で失敗しないために知っておくべきこと【文転・理転は可能なの?】

  公開日:2022/10/29


※この記事は約10分で読めます。

2022年もあと2か月。冬になると、高3生は受験本番を迎え、高1・2生もより具体的に進路をイメージしていく必要があります。
ただ、将来なりたいものが決まっていない人や、どの学部に進むべきなのかわからないという人も多いですよね。
そこで今日は、「文理選択をする上でのポイント」と「文転・理転する際の注意点」を確認していきましょう。

目標地点がわからないまま努力をし続けるのは、誰にとっても難しいことです。また、途中で目標ややりたいことが変わることも珍しくありません。
将来の自分が後悔しないよう、正しい情報を持った上で判断していきましょう。

文理選択のタイミング

多くの高校では、高校1年生の冬に文理選択の調査を行い、2年生の授業から文系/理系のクラスにわかれます。理科の履修範囲や、数学の授業進度などが大きく異なるため、最終的に受験で使用する科目が中心となるようなカリキュラムを選択したいところです。
現役で合格する先輩たちの多くは、学校の勉強をおろそかにせず、「基礎固めの機会」にしています。受験でまったく使わない科目を多く履修するコースに進んでしまうと、単純に学習しなければいけない量や負担が増えてしまうので、よく考えずに選択して後悔する先輩も少なくありません。

そもそも受験ではどの科目が必要になるのか

2025年度から入試が変わる!

「2022年度時点で高校1年生」の代から、新学習指導要領がスタートし、共通テストの出題範囲が変わります。
注意点や細かい変更点などはこちらの記事にもまとめているので、確認しておきましょう。
現在高校2年生の人も、万が一もう1年…となった場合には適用となってしまうため、現役で志望校に合格できるよう、しっかりと準備しておく必要があります。

〈共通テストの出題範囲〉※正式な科目名ではなく、通称で記載しています。
①現行の共通テスト ②2025年度以降の予定
【英語】① リーディング・リスニング
    ② 大きく変更なし
【国語】① 現代文・古文・漢文
    ② 大きく変更なし
【数学】① 数ⅠA・数ⅡB
    ② 数ⅠA・数ⅡBC
【理科】① A.基礎2科目 B専門1科目 C基礎2科目+専門1科目 D専門2科目
    ② 大きく変更なし
【社会】①〈地歴〉世界史B/日本史B/地理B 〈公民〉現代社会/倫理/政治経済/倫理・政経
    ② 各科目にそれぞれ歴史総合・地理総合・公共が必修科目として加わり、範囲が拡大
【情報】2025年度より新設

文系

受験で使用する科目の基本パターンは以下の通りです。
実際は志望校によって異なるため、現時点で気になる大学がある場合は、それぞれ調べてみましょう。

国公立文系【共通テスト】英語・国語・数学(2科目)・社会(2科目)・理科(基礎2科目)
     【+二次試験】英語・国語+社会 or 数学(数Ⅲは除く)
私立文系  【一般試験】英語・国語+社会 or 数学(数Ⅲは除く)

理系

受験で使用する科目の基本パターンは以下の通りです。
実際は志望校によって異なるため、現時点で気になる大学がある場合は、それぞれ調べてみましょう。

国公立理系【共通テスト】英語・国語・数学(2科目)・社会(1科目)・理科(専門2科目)
     【+二次試験】英語・数学・理科(専門1 or 2科目)
私立理系  【一般試験】英語・数学・理科(専門1 or 2科目)

各科目について

英語

文系・理系問わず、受験で最重要科目とされることも多いのが英語です。
大学進学後も必修科目として扱うことが大半のため、自身の将来のためにも学んでおいて損することがありません。

また、模試の総合成績や志望校判定が思わしくない場合でも、英語で良い成績をとれていれば、最後まであきらめずに戦い続ける気持ちを保ちやすく、逆転合格を果たす現役生が多いです。
それだけ早期に固めておく重要性が高く、結果を大きく左右する科目をおろそかにできませんよね。

共通テストでは、リーディングだけでなくリスニングの受験が必要です。注意したいのは、「リーディングとリスニングの配点比率は大学によって異なる」ということ。
リーディング:リスニングの配点を4:1や3:1に設定している大学が多いものの、北海道大学や一橋大学のように、1:1に設定している大学もあり、リスニング対策も軽視してはいけません
ただ英語の音声を聞くだけでは、共通テスト本番の「矢継ぎ早に流れる英語の音声を、頭の中で瞬時に処理する」練習ができないため、リスニングの練習に集中する時間を定期的に確保しておきましょう。

【文理選択で気をつけるべきポイント】文理による差はなく、いずれの道でも最重要科目になることが多いです。苦手な人は最優先で対策しましょう!

国語

「現代文の成績には波があるけど、取れるときは良い点を取れるから焦って対策しなくても良い」と考えてしまっている人は、非常に危険です。

現在までに発行されている膨大な量の書籍のうち、どの作品が現代文の問題として出題されるかはわかりません。学校のテストのように読んだことのある文章を思い出すのではなく、緊張感と時間制限がある中で初見の文章を読解していく…というのは非常に難易度の高いことです。
ほかの科目のように「これは見たことがある問題だ!」という経験をしづらい科目であり、どんな文章でも正しく理解するための「読解力」を意識的に鍛えていく必要があります。

一方で古文については、古くは奈良時代の風土記から、新しい作品と言っても150年前の江戸後期まで。
それだけ長い年月をかけて研究されてきた学問であり、これから新しい知識が必要になることはまずありません。
より古い漢文の作品と同様、正しい知識を早いうちに身につけておけば、安定した得点源になるのです。国語の成績がなかなか上がらないという人は、まず古文・漢文から対策していくのも良いでしょう。

私立の一般入試では、漢文を除いて現代文・古文の範囲から出題される大学がほとんどです。早稲田大学の各学部や難関大学の文学部など、一部の入試では漢文も範囲に含まれますが、共通テストを大きく上回るレベルで出題されることは少ないため、「漢文が苦手だから出願先を変えよう」とする必要はありません。

【文理選択で気をつけるべきポイント】共通テストまでは必要な学習範囲が変わりませんが、国公立文系では国語が二次試験でも必須になることが多いです。難関大では、数百字の論述や要約を出題されることもあるため、読解力だけでなく、記述力も磨いていく必要があります。求められる力や形式は、あらかじめ確認しておきましょう。
理系の人は、まず古文・漢文を早いうちに盤石にしておくことで、模試の得点が安定します。また、文章を読み取る力は、文章で出題されることが多い共通テストにおいて、現代文だけでなくほかの科目にも役立つはずです。

数学

文系と理系の科目負担の違いは、数学の履修範囲の差が非常に大きいです。複素数平面など数Ⅲの分野は、理系の場合は国公立の二次試験や私立の一般試験において頻出であり、数学が苦手な人にとっては大きな壁になります。
基本的には、高1で数ⅠA、高2で数ⅡB、高3で数Ⅲ(C)を学んでいくことになりますが、「ⅠAが理解できていないのにⅡBは急にわかるようになった!」ということはまずありません。数学に苦手意識がある人は、できる限り早急にさかのぼって数ⅠA、または中学数学から復習を始める必要があります。

また、私立高校や進学校では受験直前期の演習量を確保するために、高1の間に数ⅡBの大部分を終わらせ、高2の早いうちから数Ⅲに入っていきます。その分ペースが非常に速く、先述の通り途中で追いつけなくなると、挽回して追いつくのが非常に難しいため、置いていかれないように必ず復習の時間を多めに確保しましょう。

2025年度入試からは、2012年に廃止されていた数学Cが再度設置となります。文系の場合、数学Cを必要とするかは大学の判断によるため、各大学の募集要項やホームページで入試動向はチェックしておく必要があります。

【文理選択で気をつけるべきポイント】現行の入試では、理系の場合は国公立の二次試験や私立の一般入試で数Ⅲまで必要となるケースが多いです。ただし、私立の薬学部などは数Ⅲが不要となる大学もあり、一口に理系といっても、必要な科目は異なります。コースや授業選択の際は、自分の受験にとって本当に最良な形なのかよくチェックしましょう。

理科

理科も文系と理系によって、出題範囲に大きく違いが出ます。共通テストにおいて、文系の場合は「物理基礎」のように、理科基礎と呼ばれる科目を2つ、理系は「物理」のように、専門理科から2科目が必要となります。もちろん基礎科目の方が負担は少なく、基礎2科目の代わりに専門1科目で受験できる大学も多いですが、そちらを選択する受験生はあまりいません。

高校では、高1~2で物理/化学/生物 の基礎を履修し、高3から本格的に専門分野へ進む学校が多いです。(理系コースになった場合は、高2の途中から専門分野へ入る学校も少なくありません)
特に、高1で習った科目を受験で使う場合、高3になってから1年のブランクがある状態で専門科目に入る…というのは非常に大変なので、定期的に復習をしておきましょう。

【文理選択で気をつけるべきポイント】先述の通り、基礎/専門で学習負担が大きく変わります。また、大半の高校では、専門理科の全範囲を履修し終わるのが高3の秋~冬…ということもあり、演習量が圧倒的に不足し、浪人生との差がつきやすい科目は理科だと言われています。
理系の人は専門の対策まで意識した取り方を、基礎までで良い人もブランクが生じないような勉強スケジュールを意識しましょう。

社会

社会は、苦手な人にとっては「ほかの科目にかける時間を削ってまで勉強したのに、思うように点数が伸びなかった」という結果に陥りやすい科目です。
特に歴史科目は、ただ時間を割いて用語や年代を覚えるだけでは実際の問題に太刀打ちできません。日本史は「その出来事が前後の時代にどんな影響を与えたか」というタテの軸を、世界史は「同じ年代にそれぞれの国では何が起きていたか」というヨコの軸を意識して、歴史の流れをおさえましょう。

2025年度からは、必履修科目である、歴史総合/地理総合/公共と組み合わせてそれぞれの科目を受験することになります。従来の科目における知識だけでは解くことができず、その学習で身につけた能力や発想をさらに膨らませていく必要があり、「暗記科目」と考えるのではなく、しっかりと理解することにより意識を置くべきでしょう。

【文理選択で気をつけるべきポイント】国公立文系では、共通テスト2科目の受験が求められるケースが多く、地歴・公民からそれぞれ1科目ずつと決められている大学もあります。ただし、東京大学のように二次試験で世界史+日本史の受験を必須としている大学もあるため、理科と同様、志望校の方式を把握した状態で科目選択をする必要があります。

文転や理転は可能なのか

文転や理転をする上で、一番ネックになるのは科目負担でしょう。学校で文理選択をした後では、「数Ⅲを学校で教えてもらえない」「学校の定期試験のためだけに専門理科までやらないと」と、受験勉強に集中できない可能性があります。よって、転向する場合は文理(コース)選択の前、なるべく早いタイミングの方が、軌道修正はしやすくなります。

高3の入試直前に転向する受験生もいないわけではありません。たとえば国公立理系から経済学部へ切り替える場合、共通テストはそのまま「社会1科目+専門理科2科目」で受けられる大学もあり、二次試験も文系生徒が苦手にしやすい数学で受験できる形式であれば、大きな不利もなく文転はできるでしょう。

逆に文系から理転する場合、工学部などでは二次試験で数Ⅲまで必須な大学が多く、共通テストでも専門理科2科目の形式をとっていることが多いため、負担は大きく増えてしまいます。
よく「理転よりも文転の方がしやすいから、迷っているなら最初は理系を選択しておくと良い」と言われる通り、単純な負担や合格可能性で考えれば、「文転よりも理転の方が難易度は高い」という認識で間違いないでしょう。

ただし、受験学年になるタイミングで理転して、第一志望に合格している先輩たちもいます。彼らに共通しているのは、「高2までの復習を徹底的に行っていた」ということ。
文系でも高2までに数ⅠAⅡBを習うため、そこまでの知識が固まっていれば3年生からは数Ⅲの対策に時間を割けます。理科も基礎範囲ができていれば、専門理科にかける時間も理系生徒と大きな差が生じません。
つまり、「将来の道が不安」「どう進んでいけば良いのかわからない」という人ほど、今習っていることを完璧にすることで、自分の選択肢が広がっていくのです。

行きたい大学へ行こう!

ここまで受験科目や科目負担について確認してきましたが、大変だからといって自分の進みたい道を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。4年、または6年かけて将来に向けての勉強や準備をする大学生活を、妥協する形で選んでしまい後悔する人も少なくありません。

四谷学院では、「学校で扱ってくれない科目がある」「学校に通わず高認を取得して大学合格を目指したい」という人たちも、基礎の基礎から学習することができます。
苦手科目だけでなく、得意な科目の成績を上げていくにも基礎を固めることが一番の近道。初めて習う科目でも、必要なことがすべて1から学べるので心配ありません。

また、「○○学部では何を学べるんだろう」ということがわからないと、自分の進路を決めるのは難しいですよね。四谷学院では「学部学科がわかる本」として、各学部の授業内容や主な進路をはじめ、卒業後の進路やよくある質問について、わかりやすくまとめています。
こちらのWebサイトからも見られるので、進路に迷っている人はぜひ参考にしてみてくださいね。


大学受験合格ブログ編集部

このブログは、大学受験予備校の四谷学院の「受験コンサルタントチーム」「講師チーム」「受験指導部チーム」が担当しています。 大学受験合格ブログでは、勉強方法や学習アドバイスから、保護者の方に向けた「受験生サポート」の仕方まで幅広く、皆様のお悩みに役立つ情報を発信しています。

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