【共通テスト国語】小説の読解についてのコツを伝授!第1回感情移入して読むのがいい?

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こんにちは、四谷学院の国語担当、安藤です。
今回から、共通テスト「国語」の「小説の読解」について3回にわたって考えていきます。
生徒と先生のやり取りから見えてくる、小説を読む際のポイントとは…?

▼共通テスト「国語」シリーズ:小説の読解
第1回 感情移入して読むのがいい?←こちらの記事です
第2回 準備中
第3回 準備中

小説の登場人物になりきって解く?

生徒
生徒
ううっ、思わず涙が…。
先生
先生
どうしたんだい?泣きそうになってるけど。
生徒
生徒
あっ、先生。登場人物の立場を想像したら目頭が熱くなっちゃって。
先生
先生
ははーん。共通テストの小説を勉強しているんだね。
生徒
生徒
そうなんです。小説といえば、やっぱり心情読解じゃないですか。それには、登場人物の気持ちになりきるのがいちばんだと思ったんです。
先生
先生
たしかにね。それができれば、楽しいよねー。
生徒
生徒
あれ?「できれば」?ってことは先生、登場人物の気持ちにはなれないんですか?
先生
先生
うん。そもそも、小説には様々な人物が登場するだろう?見たことも聞いたこともない土地に住む人々、時代も世界観も異なる人々…。実に様々な架空の人物が登場するよね。
生徒
生徒
はい。
先生
先生
例えば2023年度の共通テスト。舞台は、第二次世界大戦の終結直後、食糧難の東京だ。物語の中盤で、ある老人が主人公の「私」に話しかける。以下は、その場面を本文から抜粋したものだ。老人の気持ちになりきってみよう。
…「旦那」声をぜいぜいふるわせながら老人は手を出した。「昨日から、何も食っていないんです。ほんとに何も食っていないんです。たった一食でもよろしいから、めぐんでやって下さいな。旦那、おねがいです」…2023年 共通テスト「国語」より抜粋
生徒
生徒
……むむむ。
先生
先生
この老人になりきるなんて、至難の業だと思わないかい?
生徒
生徒
第二次世界大戦の終結直後って、私にはイメージが湧きません。食糧難の東京も。老人にもなれない。昨日から何も食べていないっていうのも、ちょっと想像できない。
先生
先生
じゃあ、その老人とやりとりをする「私」になれるだろうか。ちなみにこの「私」も、一日一食の、しかも少量のまずい食事でやっとの日々だ。
生徒
生徒
それも、無理です。
先生
先生
だよね。そのうえ、仮になりきれたとしても、「キミが」なりきったにすぎない。それはもう、「キミの」感情だ。主観になってしまう。主観でよいとなったら、受験生の数だけ正答が生まれてしまう。それでは試験にならない。
生徒
生徒
そっかあ、そうですよね~。登場人物の気持ちになる、っていうのは得策ではないんですね。
先生
先生
受験ではね。けど、さっき私は「楽しいよねー」と表現したよね。趣味で読む分には、むしろ想像の翼を思いきり広げて楽しもう!
生徒
生徒
おお、なんかカッコよく終わりましたね。じゃ、先生、さような…。
先生
先生
ちょっと待った!話はまだ終わっていないんだ。

感情移入を推奨しない理由

生徒
生徒
あ、途中だったんですね。すみません。
先生
先生
いやいや、気にしないで。でね、感情移入を推奨しない理由はもうひとつあるんだ。
生徒
生徒
もうひとつ?
先生
先生
うん。時間は足りるのかっていう問題だ。
生徒
生徒
いや、そこなんですよ。いちいち感情移入しているから、読んでるだけでかなり時間をかけちゃうんです。
先生
先生
そうだろうね。センター時代は、年度によっては短編小説全文収録なんてこともあった。共通テストになってからは、メインの文章はある作品の一節からの出題のみになっている。しかし、そこにサブの文章や資料が加わるようになった。
生徒
生徒
ってことは、結局ある程度の量であることは変わらないわけですね。
先生
先生
その通り。だから、感情移入していては、とてもじゃないけど時間が足りないはずだ。
生徒
生徒
そっかあ。じゃあ先生、読み流していいポイントはないんでしょうか。ちょこちょこ読み流せる箇所があれば、時間をつくり出せますよね?
先生
先生
いや、やめたほうがいい。
ちょっとした表現から文章の機微を読み取れることもある。そういうのは、文章の流れのなかでわかるものだ。さっきの続き、2023年度共通テストを見てみよう。
…老人は外套も着ていなかった。顔はくろくよごれていて、上衣の袖から出た手は、ぎょっとするほど細かった。身体が小刻みに動いていて、立っていることも精いっぱいであるらしかった。老人の骨ばった指が私の外套の袖にからんだ。…2023年 共通テスト「国語」より抜粋
生徒
生徒
再び、むむむ。何だか、異様ですね。
先生
先生
そうだね。このあと「私」は、その老人の手を振り払うんだ。実は、これを読んだところで、設問の選択肢の決め手になるわけではない。しかし、このような部分にも目を通しておくことで、「私」が老人を拒否する場面がよりリアルに浮かんでくるだろう?
生徒
生徒
はい、とても。
先生
先生
とすれば、それは、小説をより正確に読解できているといえるんだ。
生徒
生徒
なるほど!
先生
先生
読み流さずにきちんと目を通したほうがよい理由は、もうひとつある。それはね、共通テストの選択肢のつくりがポイントなんだ。
生徒
生徒
選択肢のつくり…。
先生
先生
共通テストの選択肢は、本文の重箱の隅をつつくような、かなり細かなポイントのチェックまで求められているんだ。
生徒
生徒
うん?
先生
先生
これも、さっきの続きを確認してみよう。問3の選択肢①を見てほしい。
①ぎりぎり計算して食べている自分より、老爺の飢えのほうが深刻だと痛感した「私」は、彼の懇願に対してせめて丁寧な態度で断りたいと思いはしたが、人目をはばからず無心を続ける老爺にいら立った。2023年 共通テスト「国語」より抜粋
先生
先生
さきほども見たように、本文では、老爺が「私」に食べ物を懇願する場面が描かれている。そして、問3が設定されている傍線部Cの直前には、「老爺よりもどんなに私の方が頭を下げて願いたかったことだろう」とある。つまり、「私」としては、老爺の飢えよりも自分のことのほうが問題なわけだ。
生徒
生徒
とすると、「老爺の飢えのほうが深刻だと痛感した」が、本文と違ってきますね。
先生
先生
そうだよね。ところが、このチェックは、小説の主題に迫るうえでの決定打ではないんだ。だから、趣味で読むなら、あるいは気に留めなくてもよい部分で、それこそ注意して読む必要もないのかもしれない。
生徒
生徒
けど、共通テストではそこも確認する必要があるんですね。
先生
先生
そうなんだよ。
生徒
生徒
じゃあ、やっぱり横着せずに、きちんと目を通していったほうがいいんですね。
先生
先生
そうだね。
生徒
生徒
そしたら先生、いったい何を意識して読めばいいんでしょうか?
先生
先生
よし、じゃあ次回はそこを一緒に考えてみよう。

…第2回(準備中)に続く

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