令和6年度共通テスト「英語(リーディング・リスニング)」総評 | 共通テスト解答速報2024

最終更新日:2024/01/16

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このページでは、令和6年度(2024年度)の大学入学共通テストの「英語(リーディング・リスニング)」の出題について解説します。

英語(リーディング)

テストの形式は、大枠は例年通りで、すべて読解問題の大問6つの出題でした。
解答数は昨年と同じ49個でしたが、テストの分量は本文が約4,900語、リード文や設問・選択肢まで合わせると約6,300語で、昨年よりも増加しました。

それぞれの英文は標準レベルのものが中心で昨年とそれほど変わりはありませんが、設問は、複数箇所の情報を参照しなければならない問題や、本文に述べられていない内容を推測する問題が多くありました。
そのためテスト全体のレベルはやや難化したと言えます。

第1問 A

学校で催されるイベントに関するチラシを読む問題でした。
問2は複数箇所を参照しなければ解けない問題で、英文を細部まで正確に読み取る力が求められました。

第1問 B

交換留学先のアメリカの学校で行く日帰り旅行の情報を読む問題でした。
問1から問3までのすべての問題が3つのコースの情報を統合して考えなくてはならない問題だったため、第1問Aの問2と同様に英文を細部まで正確に読み取る力が求められました。

第2問 A

交換留学先のイギリスの高校にあった戦略ゲーム部のチラシを読む問題でした。
問3は部員の「意見」を問われる問題が出題されました。「事実」または「意見」を問うこのような設問は、例年の共通テストでも出題されています。
「事実」と「意見」を区別して情報を整理しながら読み進めることは、英文の要旨を掴むために極めて重要なことなので、読解問題に取り組む際には常に意識しておくと良いでしょう。

問4は部員勧誘の文と部員のコメントの両方に共通して言及されている事柄を選ぶ問題でした。
正答となった「戦略ゲームは集中力を鍛える役に立つ」という内容がそれぞれ異なった表現で書かれており、こういった「言い換え」に日頃から注意を払えているかがポイントとなりました。

第2問 B

留学生が書いた旅行保険のレビューを読む問題でした。
問4は本文に書かれている「意見」を選ぶ問題で、第2問Aの問3と同様「事実」と「意見」の情報整理が求められました。
また選択肢には、明らかに本文とは異なる記述のものだけでなく、本文で言及されていないため正答とはならない、というものもあり細かな正誤判定が要求されました。

第3問 A

フォトラリーのイベントに参加した知人がその経験を書いたブログを読む問題でした。
問2は本文のブログにコメントするのに適切な選択肢を選ぶ問題でした。本文中に直接的な答えはないので、話の流れをしっかり把握し推測する必要がありました。

第3問 B

英語デーに行われたバーチャル遠足に関する学校新聞の記事を読む問題でした。
問1は出来事を起きた順に並べる問題で、この形式の設問は共通テストで頻出ですが、選択肢の内容がそれぞれのイベントに対するコメントだったことが例年とは異なりました。

第4問

良い教室環境を作る条件に関する記事とアンケート結果を読み、グループディスカッションのための配布物を作る問題でした。
特に問2、問3は「Stimulation」「Individualization」「Naturalness」それぞれの指す内容を正確に読み取り、どの条件がどのカテゴリーに当てはまるかを整理できていないと戸惑う可能性がある問題でした。
英文の要旨をまとめながら読み進める練習が出来ていれば慌てる必要はありません。

第5問

3人の友人が20年ぶりに再会する物語文を読み、プレゼンテーション用のメモを完成させる問題で、本文の分量が昨年よりも増えました。
問1は出来事を起きた順に並べる問題で、例年通り選択肢には誤っているものも1つ含まれます。
ただ、3人の登場人物の人生は別々に描かれ、時系列通りに語られていない場合もあったため、ここでも流れを整理しながら英文を読み進めることが求められました。

第6問 A

時間の認識に関する論説文を読み、その要約を発表するためのメモを完成させる問題でした。
入試に頻出の他の論説文と同様に、キーワードやその具体例を整理しながら読み進めることが重要ですが、メモの内容が文章理解の手助けとなることもあるため、先に読んでおくことも対策の一つとなります。
問3、4は本文の内容に即して本文にない具体例を選択する問題で、英文の要旨を捉えてそこから推測する思考力が問われました。

第6問 B

トウガラシに関する論説文を読み、それに関するプレゼンテーション用のスライドを完成させる問題でした。
問4は本文から推測できることを選ぶ問題、問5は英文全体の論理展開を把握できていないと解けない問題でした。

英語(リスニング)

大問6つで合計解答数37というテストの構成は、昨年度と全く同じでした。
大問ごとに扱われる問題の内容も昨年度とほぼ同じで、聞いた英文の内容に一致する英文やイラストを選択する問題、会話を聞き取る問題、講義の内容を踏まえて図表や講義シートの空欄を埋める問題などが出題されました。

聞き取る本文の分量も約1,500語で、やはり昨年と同程度でした。
また、例年通り、第1問~第2問の読み上げ回数は2回、第3問~第6問は1回でした。

テストの難易度は、全体としては聞き取りやすい内容が多く、昨年と比較するとやや易しくなったと思われます。
聞き取りに用いられた英語は昨年同様、アメリカ英語だけでなくイギリス英語、さらに日本人と思われるノン・ネイティブの英語も一部に含まれていました。

第1問 A

短い発話を聞いて、その内容に合う文を選ぶ問題が4問出題されました。
使われている文法や語彙は易しいものですが、発話内容を聞き取った上で状況を正しく把握する力、その上で各選択肢の文を素早く正確に読み取る力が求められました。
なお、昨年同様、選択肢の文には、問1の選択肢③の動詞「needs」、問2の選択肢③の動詞「is offering」のように、発話内に出てこない単語も使われていました。

第1問 B

短い発話を聞いて、その内容に合う絵を選ぶ問題が3問出題されました。
第1問Aと同様、発話内容にハイレベルな文法や語彙は使われていませんが、問5は「are falling」のように、用いられている動詞の時制の正確な聞き取りを要する問題でした。
また、問6と問7では、2つの情報の組み合わせを正確に表す絵を選択する必要がありました。

第2問

日本語で書かれた会話の場面を参考に、短い会話と問いを聞いて、その問いの答えとなる絵を選ぶ問題が4題出題されました。
どの会話も日常的な話題であり、難しい表現は使われていませんが、問11の最初の発言の「six people」と3つ目の発言の「window table」のように、解答のポイントとなる情報は、1つの発言ではなく、会話中の複数個所にあるため、最初から最後まで注意して聞き、情報を組み合わせて答える必要がありました。

第3問

短い会話を聞いて、問題用紙に書かれた問いの答えとして適切な選択肢を選ぶ問題が6問出題されました。第2問と同様、日本語で書かれた会話の場面を参考にします。
問いはいずれも、例えば問15の「(会話に出てくる)女性は何をしているか」といったように、会話の状況に関する設問でした。
したがって、会話で話されている具体的な情報と会話の流れを両方とも正しく把握することが重要でした。

第4問 A

5文の長さの発話を聞き、発話中に出てくるアミューズメントパークでの出来事の場面を表した絵を時系列に並べる問題が1問、さらに7文の長さの発話を聞き、夏期講座の1週間の時間割の空欄に入る正しい科目名を選ぶ問題が1問出題されました。
今回の発話中には、「ジェットコースターに乗ろうとしたが、列が長かったので、先に昼を食べることにした」という内容がありましたが、絵を時系列に並べる問題では、正解の順番は必ずしも発話中に言及された順序と一致するわけではない、という点に注意し、内容を正確に聞き取る必要があります。

なお、この絵を時系列に並べる問題は、一昨年も出題されました。
昨年は、大学生の職業選択の動向についてのグラフ中の空欄を埋める問題でしたが、それと比べて今年のこの問題は生活に身近な話題であり、解きやすかったと思われます。

時間割の空欄を埋める問題では、スケジュールが曜日順に説明されているわけではなく、曜日と科目の関係を正確に聞き取る注意力が必要でした。
また、今回の発話中の「lectures about ancient Egypt and the Roman Empire」と選択肢の「World History」という科目名を結びつけるように、該当する科目名を話の内容から判断したうえで解答する必要もありました。

第4問 B

それぞれ3~4文の長さの4人の話を聞き、示された条件に合う選択肢を選ぶ問題が1問出題されました。
クラスで行う文化祭の出し物のアイディアを4つ聞き、問題用紙に示された3つの条件をすべて満たすアイディアを選ぶ問題でした。
このような問題では、与えられた3つの条件を念頭に置いた上で、解答に必要な情報を聞き取る、という姿勢で聞くことが重要になります。

また、正解を判断するために必要な情報は、発言者によって話の中で提示される順番が異なるため、情報を整理しながら聞き取ることが必要になります。
今回の問題では、参加者の体験時間や運営に要する人数の条件について、具体的な数値情報を正しく聞いたうえで判断する必要がありました。

第5問

ガラスに関する講義を聞いて、ワークシートの空欄を埋める設問、講義の内容に一致する文を選ぶ設問、グラフと講義の内容から言えることを表した文を選ぶ設問が出題されました。
問題の形式は昨年と同様でした。

講義内容にはガラス製品の製法や各種ガラスの特性に関する内容も含まれていたため、理解しにくいと感じる受験生もいたかもしれません。
なお、問27は、ワークシート内の空欄の2行上に書かれている「NOT」を見落とすと、誤って選択肢③を選んでしまう可能性のある、注意を要する問題でした。

第6問 A

旅行中の2人の、英仏海峡を渡る手段についての会話を聞いて、会話をしている人物の意見と、話し合った結果2人が至った結論について答える設問が出題されました。
意見を選ぶ問題では、望ましいと思う移動手段だけでなく、そのように思う理由までが選択肢に含まれるため、根拠となる情報を会話から正しく聞き取る必要がありました。
結論を選ぶ問題では、さまざまに提示される情報に惑わされず、会話の流れを正確に追う必要がありました。

第6問 B

4人の学生が運動を始めることについて会話するのを聞いて、会話をしている人物の、会話が終わった時点での考えを選ぶ問題、また会話をしている人物の考えの根拠となる情報を示した図表を選ぶ問題が出題されました。
このような問題では、今回のように、会話中で各人物が自らの意見を述べた上で、他の話者に影響されて意見が変わる人物、そして変わらない人物がいます。
したがって、設問で問われている内容を念頭に置きつつ、各人物の立場を整理ながら会話を聞く必要があります。

考えの根拠となる図表を選ぶ問題では、各選択肢の図表で示された内容は互いに明確に異なっているので、それぞれの発話者の意見、そしてその人はなぜそのように考えるのかを把握すれば、正しい選択肢を選ぶことはそれほど難しくなかったと思われます。

新高3生・高2生へのアドバイス

英語(リーディング)

共通テストのリーディングでは80分の試験時間の中で相当量の英文を読む必要があり、また共通テストに特有の出題が数多く見られます。
英文の速読や共通テストに特化した対策が得点アップに繋がると感じてしまいがちですが、どんな問題でも「英文を正確に読み取る」ことなしに正答に辿り着くことはできません。

そのために、まず文法や構文、語彙の基本的な知識を徹底することが何よりも重要です。
英文を正確に読み取り、要旨を的確に把握する力を十分につけてから様々なトピックの文章に触れて思考力を磨き、その上で英文を読むスピードを上げて行きましょう。
そうした学習を積み上げることで共通テストが求める、様々なテクストから概要や要点を把握する力、必要な情報を読み取る力を身につけることができます。

英語(リスニング)

共通テストは、一般的なリスニングのテストで採用される会話の聞き取りだけでなく、バラエティ豊かな形式を取り入れた内容になっています。

聞き取った情報から状況を正しく把握する問題や、音声を聞きながら図表やワークシートを完成させる問題、さらに4人の話し合いでそれぞれの発言内容を正しく区別する問題などでは、高いリスニング力に加えて迅速に情報を処理する力や思考力まで要求されるという点で、やはり難易度は高いと言えます。
これらの問題に適切に対応できるようになるためには、リーディングと同じように、共通テストだけを意識した学習ではなく、英語を聞き取り、聞き取った内容を素早く正確に理解していく力を伸ばすような学習を継続的に行っていく必要があります。

くわえて、リスニング試験は、「聞く前の準備」が得点力を左右するという性質があります。
共通テストであれば、事前に与えられた場面説明・イラスト・資料などに目を通して素早く理解し、聞き取る内容を予測する、設問文を読んで聞き取るべき情報を念頭に置いた上で聞く、といったことです。

こういった準備がしっかりできるようになるためには、共通テストと同形式の問題で、聞く前の準備を含めた練習をすることが重要になります。
過去問や模擬試験などを使った予行演習によって、リスニング試験に備えるようにしましょう。

 
 

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