
大学入試には、「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3つがあります。
本記事では、このうちの学校推薦型選抜について、具体的な種類や特徴、試験内容などを解説します。
また、合格率や入学者の割合を含め、「よくある疑問」にもお答えします。進路や受験方法を検討している方は、ぜひ参考にしてください。



目次
学校推薦型選抜とは?

「学校推薦型選抜」とは、高校の校長から推薦を受け、学業成績や活動実績などをもとに、大学に対して個性・意欲をアピールする入試方法です。
これは従来の推薦入試にあたるもので、文部科学省による入試区分の名称変更により、2021年度から学校推薦型選抜と呼ばれるようになりました。
学校推薦型選抜には「公募制」と「指定校制」の2種類があり、どちらの場合も、以下のような項目に関する成果の提示が必要です。
- 学業成績
- スポーツ実績
- 課外活動実績 など
ただし、これらの項目に明確な基準を設けていない大学もあります。
公募制による学校推薦型選抜の特徴
公募制の学校推薦型選抜は、大学が求める出願要件を満たし、在籍校の校長の推薦があれば、全国から出願できる選抜方式です。
この選抜方式には、「公募制一般推薦選抜」と「公募制特別推薦選抜」の2種類があります。
・公募制一般推薦選抜
公募制一般推薦選抜は、基本的に高校ごとの推薦枠に制限がなく、大学が定める成績基準などを満たして推薦を得た人なら誰でも出願できる方式です。特に、日頃の定期試験で安定して高い成績を収めている人に向いています。
ただし、人気の高い大学や学部では、倍率が高くなることがあります。そのため、学校からの推薦があっても合格できるとは限りません。
・公募制特別推薦選抜
公募制特別推薦選抜は、以下のような学業成績以外の分野で活躍した人や、優れた実績を持つ人が出願できる方式です。
- スポーツ
- 文化活動
- 委員会活動
- ボランティア活動
- 地域活動
- 資格・検定取得 など
また、専門学校や総合学科などの出身条件や、定員枠を設けられている場合があります。このような場合は、成績基準が設けられていないケースも見受けられます。
指定校制による学校推薦型選抜の特徴
大学が指定した高校の生徒だけに出願資格がある方式で、推薦枠が限られている点が特徴です。
希望者が多い場合は、高校3年間の学業成績や生活態度をもとに校内選考が行われます。生徒会や委員会活動、ボランティアなどの課外活動にも積極的に取り組んでいると、選考で有利に評価されることがあります。
校内選考では学業成績を重視する高校が多いため、指定校制による学校推薦型選抜は、苦手科目がなく、すべての教科でバランスよく成績が取れる人に向いているといえるでしょう。
推薦枠が限られている分、狭き門ではありますが、校内選考を通過すれば合格の可能性は非常に高くなります。
学校推薦型選抜の試験内容

学校推薦型選抜では、大学教育を受けるうえで必要とされる、以下のような能力が備わっているかどうかが評価されます。
- 知識
- 技能
- 判断力
- 思考力
- 表現力 など
これらを適切に評価するために、調査書・推薦書に加え、以下のうち少なくとも1つを活用することが文部科学省により定められています。
- 大学入試共通テスト
- 小論文
- プレゼンテーション
- 口頭試験
- 実技
- 各教科・科目にかかるテスト
- 資格・検定試験の成績 など
例えば、京都大学経済学部の学校推薦型選抜は、文系型入試と理系型入試に分かれています。大学入学共通テストのほか、志望理由や経済問題への関心などを述べる「学びの設計書」と、高校時代の活動や学習実績の提出が必要です。文系型では、英語資格(TOEFL iBT、IELTS、TOEIC Listening & Reading Test、GTEC CBT、英検)も求められます。
東京大学の文学部では、大学入学共通テストのほか、4,000字~8,000字程度の論文提出と面接が必要です。面接では、提出した論文や志願理由書に基づくプレゼンテーションと、その質疑応答が行われます。
早稲田大学の基幹理工学部では、北九州地域の高校向けの指定校推薦「地域探究・貢献入試(北九州地域連携型推薦入試)」を実施しています。この試験で入学した学生は、学部4年生次以降の卒業論文研究や大学院での研究を北九州キャンパスで行うことが前提です。
学校推薦型選抜と一般選抜・総合型選抜(旧AO入試)の違い

学校推薦型選抜では、評定(平均4.0以上など)や学業成績(上位5%以内など)の基準を満たしていなければ推薦を受けることができず、出願もできません。
一方で一般選抜は、基本的に成績などの出願基準がないのが特徴です。現役の高校3年生はもちろん、既卒者や高認合格者などにも広く門戸が開かれています。
総合型選抜(旧AO入試)は自己推薦方式なので、高校の校長による推薦書は必要ありません。ただし、Web出願に向けた事前準備や、オープンキャンパスへの参加が必須とされている場合があります。総合型選抜を希望する場合は、早めに出願要件を確認しておきましょう。
なお、学校推薦型選抜は11~12月、一般選抜は1~3月頃に実施されるのが一般的です。総合型選抜は大学ごとに異なりますが、おおむね8~12月に行われ、学校推薦型選抜に比べて選抜期間が長い傾向にあります。
私立と国公立の学校推薦型選抜の違いは?
私立大学の学校推薦型選抜には公募推薦と指定校推薦の両方がありますが、国公立大学ではごく一部の公立大学を除いて公募推薦しか実施されないという点が大きな違いです。
ただし、一部の国公立大学では、「地域枠」と呼ばれる公募推薦を実施しています。地域枠とは、卒業後に指定地域での勤務を条件とする特別な選抜枠のことです。特に医学部に多く見られますが、教育学部や看護学科などでも設けられている場合があります。
また、国公立大学は私立大学と比較して募集人員が少ないうえに、成績基準が厳しい傾向にあります。学力試験を課す場合も多く、大学入学共通テストの受験が必須となっている国公立大学も少なくありません。
学校推薦型選抜に課される要件は大学ごとに異なるため、各大学の公式ホームページや募集要項で事前に詳細を確認しておきましょう。
学校推薦型選抜を目指すうえで意識すべきこと

学校推薦型選抜は、高校3年間の成績や部活動の実績、生活態度などがすべて評価の対象となります。そのため、高校3年生になってから頑張るのではなく、高校1・2年生のうちから努力を積み上げておく必要があります。
その中でも特に意識すべきなのは、全科目の成績(5段階評価)をすべて足して科目数で割った平均値「評定平均」です。高校1年~高校3年1学期までの成績を対象に計算され、「学習成績概評」としてA~Eの5段階で調査書に記載されます。
| 評定平均 | 学習成績概評 |
| 5.0~4.3 | A |
| 4.2~3.5 | B |
| 3.4~2.7 | C |
| 2.6~1.9 | D |
| 1.8~ | E |
新学習指導要領では「学びに向かう力、人間性」「知識および技能」「思考力、判断力、表現力」という3つの柱を重視しています。高校生活を過ごすうえで、これらの力を高められるように意識することが、評定を高めるコツといえます。
学校推薦型選抜から合格発表までの流れ
ここからは、学校推薦型選抜の大まかなスケジュールをご紹介します。
国公立大の学校推薦型選抜を目指す場合
<大学入学共通テストを受験する場合>
10月:大学入学共通テスト出願
11~12月:出願・入学試験
1月:大学入学共通テスト
2月:合格発表
<大学入学共通テストを受験しない場合>
11~12月:出願・入学試験
1月:合格発表
私立大の学校推薦型選抜を目指す場合
9~10月:高校の校内選考
11月出願・入学試験
12月:合格発表(大学入学共通テストを受験する場合は、2月以降の合格発表)
学校推薦型選抜に関するよくある質問(Q&A)
学校推薦型選抜を受ける人が抱きがちな疑問と、その回答をまとめました。
学校推薦型選抜は誰でも受けられる?
大学が示す出願要件を満たしたうえで、高校の校長から推薦を受ける必要があります。さらに、公募制特別推薦選抜や指定校推薦では、出願できる人があらかじめ限定されています。
そのため、「学校推薦型選抜は誰でも受けられる」とはいえません。
学校推薦型選抜の合格率は?
文部科学省が公表した「令和6年度国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、2024年度の学校推薦型選抜における志願者数は47万293人、合格者数は29万4,294人でした。
つまり、学校推薦型選抜の合格率は約62.5%となります。
学校推薦型選抜の入学者の割合は?
文部科学省が公表した「令和6年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、2024年度に学校推薦型選抜で入学した学生の割合は全体の35.0%です。
また、2023年度は35.9%、2022年度は36.2%でした。
参照:令和6年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要:文部科学省
学校推薦型選抜を目指す人におすすめの四谷学院

学校推薦型選抜で志望校合格を目指すには、大学ごとの出願条件や評価基準に応じた対策が欠かせません。また、高校入学直後から定期試験にしっかり取り組み、内申点を安定させることも重要です。
こうした推薦入試対策と学力試験対策の両立を目指す方には、四谷学院での学習をおすすめします。
推薦型選抜や総合型選抜のノウハウが豊富
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学校推薦型選抜で活用される大学入学共通テストの対策には、基礎力の徹底強化が欠かせません。
また、定期試験の成績がふるわず、指定校制の校内選考で落とされるといったリスクも考慮すると、一般選抜への切り替えも視野に入れた早めの対策が重要です。
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まとめ:学校推薦型選抜対策は予備校の四谷学院にご相談を
課外活動、スポーツなどの実績が評価の対象となるのが特徴です。
調査書や推薦書に加え、学力検査、プレゼンテーション、小論文など、大学ごとに異なる選考方法が実施されます。
学校推薦型選抜の対策に不安がある方は、小論文や面接などの対策と学力向上の両方をサポートできる予備校、四谷学院にぜひご相談ください。
失敗しない予備校選びは説明会・相談会参加が重要!
学校推薦型選抜に限らず、大学受験に合格するためには、予備校選びも重要なポイントです。
予備校を選ぶ際は、口コミやホームページの情報だけでなく、実際に校舎へ足を運び、自分の目で確かめることをおすすめします。
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以下の記事では、予備校の説明会・相談会への参加方法やチェックすべきポイントをまとめています。ぜひ予備校選びにお役立てください。




