こんにちは、四谷学院 受験コンサルタントチームの藤川です。
大学について調べていると、必ずと言っていいほど目にする「偏差値」。
志望校を考えるときにも、
「この大学は偏差値60くらいだから難しい」
「この学部は偏差値が高い」
といった言い方をよく耳にします。
では、そもそもこの「大学の偏差値」は誰が決めているのでしょうか。

大学自身が決めていると思う人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。
一般に「大学の偏差値」と呼ばれている数字は、予備校などが模試のデータや過去の入試結果、受験生の志望動向などをもとに、入試難易度の目安として設定しているものです。
今回は、大学の偏差値がどのようにつくられているのか、そして偏差値と「大学そのものの価値」はどう違うのかをお伝えします。
そもそも偏差値は何のために見る?
偏差値は、受験生にとって「自分の現在地」を確認するための便利な指標です。
模試の偏差値を見れば、同じ試験を受けた人たちの中で、自分がどのあたりに位置しているのかを把握できます。
さらに、大学・学部ごとの入試難易度の目安となる偏差値と比べることで、「今の自分の学力と志望校には、どのくらい差があるのか」を考えやすくなります。
偏差値そのものの意味や計算方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

マラソンに例えると、偏差値の役割がわかりやすい
受験勉強をマラソンに例えてみましょう。
「とにかく前を目指して走りなさい」と言われても、自分が今どこにいて、目標までどのくらい離れているのかわかりません。
現在地や目標までの距離がわからなければ、必要以上に焦ったり、ペースを乱したりすることもあるでしょう。
一方で、
「今は全体のこのあたりの集団を走っている」
「目標とする位置までは、まだこのくらい差がある」
とわかれば、これからどの程度ペースを上げる必要があるのか、あるいはそのまま走り続ければよいのかを考えやすくなります。

大学受験における偏差値も、同じような役割を果たします。
数字そのものを目的にするのではなく、現在地と目標との差を知るための目印として使うことで、受験勉強の方針を立てやすくなります。
大学の偏差値は誰が決めている?
大学自身が、「今年の○○大学○○学部の偏差値は60です」と決めているわけではありません。
一般に使われている大学の偏差値は、予備校や模試を実施している教育事業者などが、それぞれのデータをもとに設定しています。
たとえば、
- 模試を受けた生徒の成績
- 模試での志望状況
- 実際の入試での合否結果
- 受験生の志望動向
などを分析し、
「このくらいの学力の受験生が、どの程度合格しているのか」といった情報をもとに、大学・学部ごとの入試難易度の目安を設定しています。
つまり、大学偏差値はその大学につけられた「公式の点数」ではなく、受験する際にどの程度の学力が必要になりそうかを示す目安と考えるとよいでしょう。
「予備校が決めている」=「好き勝手に決めている」ではない
「大学ではなく予備校が偏差値を決めている」と聞くと、
「それなら、好き勝手に数字をつけているのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、「予備校などが設定していること」と「根拠なく決めていること」は別です。
模試には多くの受験生が参加します。
その成績や志望動向、実際の合否結果などを継続的に分析することで、各大学・学部の入試難易度を推測しています。
もちろん、入試が行われる前に、実際の入試結果を完全に予測することはできません。
そのため、大学偏差値は絶対的な数字ではなく、あくまでも蓄積されたデータをもとにつくられた入試難易度の目安だと理解しておくことが重要です。
なぜ同じ大学なのに、サイトによって偏差値が違うの?
大学を調べていると、「同じ大学・学部なのに、予備校やサイトによって偏差値が違う」ことがあります。
これはおかしなことではありません。
そもそも、大学の偏差値には全国共通の一つの「公式偏差値」が存在するわけではないからです。
どの模試のデータを使うのか、どの受験生を分析対象にするのか、どの程度の合格可能性を基準にするのかなどは、情報を出している予備校や教育事業者によって異なります。
そのため、同じ大学・学部でも、予備校やサイトごとに偏差値の数字に差が出るのです。
偏差値を活用するときは、異なる会社の数字を単純に横並びで比較しないことも大切です。
たとえば、A予備校の模試で出た自分の偏差値を、B予備校が設定した大学の目標偏差値と比べても、同じ基準で算出された数字ではないため、単純には比較できません。
志望校との距離を確認するときは、自分が受けた模試の判定や、その模試を実施している予備校が示している基準にそろえて比較するとよいでしょう。
偏差値が表しているのは「大学の価値」ではない
ここは、大学選びで特に注意すべきポイントです。
偏差値が高い大学ほど、一般選抜では高い学力が求められる傾向があります。
目標を決めるときに、「できるだけ偏差値の高い大学を目指したい」と考える人もいるでしょう。
しかし、偏差値が高ければ高いほど、大学として優れているという意味ではありません。
偏差値は、あくまで「その大学・学部へ入るための難しさ」を示したものです。
大学には、それ以外にもさまざまな特徴があります。
たとえば、
- どのような授業や研究が行われているか
- 自分が学びたい分野を深く学べるか
- 興味のある研究をしている教員がいるか
- 取得を目指せる資格
- 留学や研究の環境
- 卒業後の進路
- キャンパスの場所や雰囲気
など、大学の特徴や魅力には、偏差値だけではわからないものが数多くあります。
だからこそ、偏差値だけを見て、その大学全体の価値や魅力を判断することはできないのです。
マラソンの「位置」が、その人の価値を決めるわけではない
先ほどのマラソンの話に戻ってみましょう。
レースの途中で、「今は全体のこの位置を走っている」とわかることには意味があります。
もっとペースを上げるべきなのか、それとも今のペースで順調なのかを考えるための、大切な材料になるからです。

しかし、今どの位置を走っているかによって、その人自身の価値まで決まるわけではありません。
大学の偏差値も同じです。
偏差値は、入試における「位置」や「難しさ」を知るための便利な数字です。
だからといって、その数字だけで大学の教育内容や魅力、卒業後の可能性まで評価することはできません。
偏差値は役に立つ。
しかし、偏差値だけですべてを判断することはできない。
大学や志望校について考えるときには、この距離感で偏差値を見ることが大切です。
志望校選びでは、偏差値を「道具」として使おう
では、受験生は大学の偏差値をどのように使えばよいのでしょうか。
まずは、自分の現在の学力と志望校との差を確認するために使いましょう。
「今の偏差値では届いていないから、この大学は無理だ」とすぐに結論を出すのではなく、
「目標まであとどのくらい学力を伸ばす必要があるのか」を考えるための材料にしてください。
一方で、志望校そのものを選ぶときには、偏差値以外の情報も確認しましょう。
学びたい内容、入試科目、大学の特色、キャンパス、取得できる資格、卒業後の進路なども調べたうえで、自分が本当に通いたいと思える大学を探すことが重要です。
偏差値に自分の進路を決めてもらうのではなく、自分が進路を考えるために偏差値を利用する。
これが、大学受験における偏差値との上手な付き合い方です。
まとめ|偏差値は「大学の点数」ではない
大学の偏差値は、大学自身が決めているものではありません。
予備校などが模試や入試結果、受験生の志望動向といったデータをもとに、入試難易度の目安として設定している数字です。
そのため、「予備校が決めているから意味がない」と考える必要もなければ、「偏差値が高ければ、その大学のすべてが優れている」と考える必要もありません。
受験という長いマラソンの中で、偏差値は、現在地と目標までの距離を確認するための便利な道具です。
数字に振り回されるのではなく、その数字が「何を表しているのか」を理解したうえで、志望校選びや受験勉強に活用していきましょう。
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