Interview
趣味のハンドクラフトから探る、学びと創造性の心理学
成城大学 社会イノベーション学部 心理社会学科 教授
青山 征彦 先生
家庭で生まれる、自発的な学び
レジンという樹脂を使ったアクセサリー作りや、ビーズや布を使った小物づくり――趣味でこうしたハンドクラフトを楽しむ人たちの姿から、人はどのように学んだり、創造性を発揮したりしているのかを研究しています。実際の調査では、作り手にインタビューをして、どのようなきっかけでハンドクラフトを始めたのか、どのような作品を作っているのか、どうして作り続けているのか、といったことを探っています。
学校の授業や部活動、あるいは仕事場での学びとは違い、ハンドクラフトは自分で学んでいることが多く「家庭で生まれる学び」です。また、誰かに頼まれたわけでもなく、自分から「やりたい」と思って取り組む。その自発性こそが面白いところです。心理学では、学習についての研究が長くなされてきましたが、「趣味」は学習の研究テーマとして、とても興味深いものです。
創造性は特別な人だけのものではない
また、ハンドクラフトは「創造性」の研究としても面白いテーマです。「創造性」というと、アーティストや有名デザイナーのような「特別な人」をイメージするかもしれません。けれど実際には、ハンドクラフトを楽しむ人の多くが、どこかで見た作品を下敷きにしながらも、オリジナルの作品をデザインしています。これは「誰かのアイデアに基づきながら、自分なりに形にする」という日常の創造性です。心理学では、あまり注目されてこなかった部分ですが、とても興味深いと感じています。
私がこの研究を始めたのは、レジンを使ってアクセサリーを作っている学生と話したことがきっかけでした。誰にも頼まれていないのに、大量に材料を買い込んで楽しそうに作品を作っている姿が印象に残り、これは心理学的に研究したら面白いと感じたのです。
人とモノとのつながりから生まれる学びと創造性
調査では、作り手に作品を実際に見せてもらいながら、どうやって作ったのかを話してもらいますが、彼らにとって楽しいテーマなので、インタビューが毎回盛りあがるのは、この研究の楽しいところです。また、趣味という日常的な活動を詳しく検討していくことで、私たちの学びや創造性の特徴がよくわかってくるのも、この研究の魅力だと思います。私たちの学びや創造性は、決して個人の頭の中だけで生じるものではなく、周りの人やさまざまなモノとのつながりの中で生じてくると考えています。こうした研究を進めることで、今までの心理学では見えてこなかった部分が明らかにできると考えています。
青山先生からのメッセージ
今、皆さんが大学受験で勉強している内容は、大学生活でも活きてくると思います。実際、私も英語の長文を読む練習は、英語で書かれた論文を読むのに役立ちましたし、文系でしたが数学を受験科目にしたので、心理学で統計を用いる際に、大いに役立ちました。
受験生の皆さんは、簡単な選択肢ではなく、自分にとって難しい選択肢を選んで挑戦してみてください!挑戦しないと新しい世界を見ることはできないし、その努力は必ずあなたを成長させるはずです。
成城大学 社会イノベーション学部 心理社会学科
https://www.seijo.ac.jp/education/fis/psychology/
成城大学_青山 征彦先生
https://www.seijo.ac.jp/education/fis/psychology/faculty/masahiko-aoyama/index.html










