経済学・経営学・商学

太古の経済学のイメージ画像!「経済学」「経営学」「商学」というと、難しそうで自分にはあまり関係のないものだと感じる人も多いかもしれません。高校までに詳しく勉強していない分野なので、「経済学」と「経営学」との違いがピンと来ない人もいるでしょう。経済学・経営学・商学はどういう学問かを知るために、まずは、それぞれの学問の概要を見ていきましょう。

経済学

どんな学問?

インフレ? デフレ? 経済活動のメカニズムを解明!

経済学を簡単に説明すると、社会における様々な経済活動(生産・流通・消費)の中に存在するメカニズムを解明しようとする学問です。このように言うと大変難しいイメージになってしまいますが、本来、経済学は、私たちの生活に密接に関係するものなのです。
例えば、「インフレーション(インフレ)」や「デフレーション(デフレ)」という言葉を耳にしたことがあると思います。これは物価の上昇や下落を指す経済用語です。物価というのは、身の回りにある「モノの値段」ということで考えると大変わかりやすくなります。もし100円だったハンバーガーが150円に値上がりすれば物価が上昇したということで「インフレ」、50円に値下がりすれば物価が下落したということで「デフレ」になります。物価は消費者の生活に直接的に影響を及ぼしているわけですが、その変動のメカニズムを解明するのも経済学の一環なのです。
では、なぜハンバーガーの値段は上がったり、下がったりするのでしょう?インフレやデフレはどういったメカニズムで起こるものなのでしょう?それに、値段が下がる「デフレ」は嬉しいことだと感じますが、ニュース番組や新聞では「デフレはよくない状況」だと報道されています。なぜだと思いますか?経済学を学び、物価の変動・インフレ・デフレのメカニズムを理解すると、その背景にあるものが読み取れるようになるでしょう。

大学で経済学を学ぶ場合、まずは経済の歴史や様々な理論など、基礎的な分野を学んだうえで、現実の経済活動の研究に応用していきます。ただし、研究対象となる「経済活動」は日々変化するものであるため、研究範囲は非常に広く、しかも研究対象は時々刻々と変化しています。
具体的な研究分野としては、国家レベルの経済や財政を考える「財政学」、世界各国の経済情勢を分析する「国際経済学」、銀行のメカニズム、外貨(外国の貨幣)の影響を分析する「金融論」などが挙げられます。

こんな研究もあるよ

資産運用のノウハウを学ぶ——「証券市場研究」

経済学部では証券市場の構造や歴史だけでなく、株式投資などによる資産運用についても具体的に学ぶことができます。近年、「100年に一度」と言われるほどの金融危機がありましたが、今までにもこのような金融危機は10〜20年に一度くらいは起こっています。日本でもバブル経済の崩壊、アジア通貨危機などは記憶に新しいところです。
しかし、そのような歴史があるにも関わらず、今回も正しいリスク分析を行うことをせず、多くの金融機関や個人が「投資ブーム」に乗せられて痛手を被ったわけです。逆に、長く証券市場に携わっている専門家の中には何年も前から今回のような事態を予測し、警告していた人がいたのも事実です。
つまり、資産運用は正しい知識とリスク分析を行うことで初めて成り立つのだということを忘れてはいけません。
そして、大学でもこの分野についての研究が盛んに行われています。例えば学生同士でチームを作り、一定の資金をどれだけ増やせるかを競うゼミもあります。投資における戦略は高度な数学的解析や人工知能の開発から占星術まで多岐にわたり、「模範解答」と言えるようなものは存在しません。しかし、この研究の魅力は何といっても実利的であるということでしょう。資産運用のノウハウをマスターしておけば将来の投資活動や人生設計そのものが有利になるばかりか、投資信託などでファンドマネージャーとして活躍することも夢ではないのです。

ひとことコラム

経済の役割とは?

森を乱伐するのが経済か、森を守るのが経済か。森に生息している植物は、人間の手によって乱伐され、お金にかえられています。なかでも発展途上国の森林伐採は著しく、深刻な問題だと言えるでしょう。森林の伐採が行われる背景には、必ず需要があります。伐採した森林を利用した産業など、人間の経済活動によって伐採が余儀なくされているわけです。
しかし今よりも経済が発展することによって、森を守ることができるようになるという考えもあります。経済が発展することによって、そのお金で森を保全したり、森を再生したり、木の代わりになるものを開発する研究費にあてたりということが可能になるはずだというのです。
経済とは決して消費していくだけのものではなく、何かを守ったり、生み出したりする力をもっているのです。経済の役割を正しく理解し、人類を含めた地球全体の発展を目指すのが経済学の真の役割ではないでしょうか。

経営学・商学

どんな学問?

経営学は「企業活動」、商学は「モノの流通」がテーマ

太古の経済学のイメージ画像!企業活動の一連の流れを中心に勉強します。企業活動の大きな要素となるのは「ヒト」「モノ」「カネ」の3つだと言われます。まず、その企業を実際に動かしているのはヒトであり、ヒトをいかにうまく使いこなし、組織をいかに効率的に運営するかによって企業活動の成果は大きく違ってきます。
一方、企業活動の目的を考えると、「モノを売る」という行為が重要であることがわかります。「販売なくして企業なし」と言われるように、よいモノを市場に提供し、結果としてよりよい社会を作ることこそが企業の使命なのです。
最後に、カネは企業を動かす原動力です。カネがなければ、ヒトを採用することができず、モノを生産することもできません。
しかし、現代社会においてはもう1つ、極めて重要な要素があります。それは「情報」です。社会の状況、国際経済の動向、市場や消費者のニーズや傾向……これらに関する最新の情報を分析し、的確な判断を下すことができなければ、企業が勝ち抜いていくことはできません。その意味で、情報を扱う部門はいまや企業にとっての心臓部とも言えるでしょう。

経営学では、以上の4つの要素を柱としながら、よりよい企業運営の理論と方法を研究していきます。具体的には「どのような組織を作り、社員をどう配置すれば無駄を省き、人材を有効活用できるか」「どのような商品を誰に向けて売るべきか」「どうすれば低いコストでたくさんの商品を生産できるか」などを考えていきます。

商学では、経営学をベースに「生産者と消費者をつなぐ流通」を中心とした商業活動について勉強します。「モノ」が流通する過程において、まずは「生産者」と「消費者」が存在します。この両者の間には卸売業者や小売業者といった、たくさんの仲介業者が存在し、それらを通って「モノ」が流通していきます。商学では、そうした「モノ」のやりとりを研究していきます。
また、「商品が1年間でどれくらい売れて、どれくらいの利益が出たか」を明らかにする「会計学」も経営学・商学を学ぶうえで大変重要です。経営学・商学の分野にどのような研究や科目があるか、自動車会社の運営を例にとって見てみましょう。

太古の経済学のイメージ画像!

こんな研究もあるよ

CSR(Corporate Social Responsibility)

CSRとは「企業の社会的責任」のことです。近年では食品メーカーの異物混入問題や誤表記問題などの不祥事が相次いで起こっていることもあり、企業のモラル低下が社会問題となっています。企業の本来の役割は企業活動を通じて社会に貢献すること。不祥事を起こし、社会に迷惑をかけている企業というのは、その本来の役割を果たしていないのです。
CSRの研究ではこのような問題を分析し、どうすれば企業がモラルを維持し、健全な経営を行えるか、そして社会に貢献できるかを考えます。
食品メーカーの異物混入問題を例にとって考えると、「なぜ商品に異物が混入したのか」「それは意図的なものだったのか、あるいはミスだったのか」「生産工場の管理体制はどのようになっていたのか」「それらをふまえた再発防止策とは?」などを追求します。企業の不祥事を防ぐしくみや、利益を社会に還元するしくみについて研究することは、腐敗した企業の体制を立て直す過程において重要なカギとなるのです。

ひとことコラム

人事担当者に聞く!採用したい学生ナンバーワンは……

企業の人事担当者のアンケートでは、「自分の会社に欲しい学生」として、経営学・商学部出身者がよく挙げられます。それは、企業の求める学生像が「即戦力になる人材」であり、“企業”を研究対象とする経営学・商学を学んだ学生はそういった人材になりえる可能性をもっているからでしょう。
また、経営学・商学部は、企業に就職するためだけではなく、「自分で企業を起こしたい」「経営者になりたい」という大きな夢をもっている人にも適した学部と言えます。企業運営のしくみやマーケティング、流通といったこれらの学部で学ぶ分野は、将来必ず必要になってきます。このように、ビジネスパーソンとしての自分の未来を最も現実的に垣間見ることができるのが経営学・商学なのです。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

経済学・経営学・商学の違いを教えてください。

A.

経済学では企業や消費者の経済活動、政府の金融政策、市場のしくみなどを学ぶのに対し、経営・商学では組織、主に企業などの具体的な運営や経営の「ノウハウ」を学びます。また、経済学では「世界の景気動向」など、より幅広い視点に立つことも多いのですが、経営・商学ではあくまで個々の組織の活動を研究の対象としています。簡単に言うと、経済学は「世の中のお金の流れを学ぶ」のに対して、経営・商学は「(企業などが)どうすれば利益を高められるかを学ぶ」のだと考えてよいでしょう。

Q.

どのような人に向いている学問ですか?

A.

「円安・円高は企業や個人の生活にどんな影響を与えるのだろう?」「どんな広告だと商品が売れるんだろう?」など、経済や企業経営などに少しでも興味をもっている人なら向いています。経済・経営・商学を学ぶことで、国内外の様々な時事問題について自分なりに考える力が身につくはずです。家業を継ぎたいと考えている人、起業したいと思っている人、ビジネスマンとしてバリバリ活躍したい人にとっても、これらの学部で学ぶ知識は役に立ちます。

卒業後の主な進路

企業で即戦力として活躍!!
ファイナンシャル・プランナーなどの資格も期待大

民間企業への就職が圧倒的に多いのですが、それは研究対象が実社会そのものだからかもしれません。経済学部出身者は銀行・証券・保険などの金融関係への就職が多く、それ以外の業界(メーカー・流通・情報・サービス業・公務員など)にもたくさんの人材を輩出しています。ファイナンシャル・プランナーや証券アナリストなど、大学での勉強を活かした資格を取る人も増えています。経営・商学部出身者もあらゆる業界に進出していますが、経営企画やマーケティングの知識を活かせるメーカー・流通・サービス業などを志望する人が多いようです。

専門用語を知ってるかな?

クラウドファンディング

クラウドファンディングとはクラウド(Crowd:群衆)とファンディング(Funding:資金調達)を組み合わせた造語で、資金を必要としている個人や企業、プロジェクトに共感した不特定多数の人が、インターネットを通じて出資し支援する仕組みのことを言います。絵本の出版や映画製作などの芸術活動、学校 作り、特定の病の患者さんの支援といった社会性の強いもの、ロケットを飛ばすような壮大なものまで、さまざまな分野への出資に活用されます。企業への株式投資と違い、自分が共感できる特定のプロジェクトに少額から気軽に出資や支援ができることが特徴で、国内の市場規模も急速に成長しています。

Interview

教科書には載っていない「サービス」の秘密

京都大学大学院 経営管理大学院 経済学研究科 山内 裕先生

京都大学経営管理大学院
経済学研究科
山内 裕先生

現代の経済を動かしているものは?

経営学の中には「会計学」や「マーケティング」などいろいろありますが、私が研究しているのは「サービス」の分野です。現代は、「サービスなくして経済は語れない」という状況になっています。皆さんが中学校で習った第一次産業・第二次産業・第三次産業の分類においては、第一次でも第二次でもないものが第三次産業になるわけですね。そして現代では就労人口の約7割がこの第三次産業に従事しており、そのほとんどはサービスが関係する分野だと言われています。さらに、今は野菜や機械を売っても利益の出る世の中ではないので、第一次産業もサービスで利益を出す時代に変わりつつあります。そのため、現代の経済においては「サービス」について考えることがとても重要なのです。 私は、ビデオカメラやボイスレコーダーを持って実際の飲食店に行くといったフィールドワークを取り入れて研究を進めています。

「お客様は神様!」じゃない?

「さて、サービスの教科書を読むと「お客様を満足させること」が中心に書かれています。それは間違いではないと思いますが、顧客のニーズに合わせるとか、サービスを明確にする、笑顔で対応するなどという記載を見たときには違和感があります。例えば、ある高級なお寿司屋さんを想像してください。メニュー表もなければ値段も書いていない、親方は愛想がよいというよりも威圧感があったりする。でも人々はそこに高いお金を払うわけです。これは今までの教科書にある理論では説明がつきません。このように客の行動には矛盾したところがあるんですが、考えてみると昔から人間の行動には矛盾しているところがあります。なぜホラー映画を見るのか、とかですね。サービスにはその矛盾が直に出てくるんです。だからサービスやお店を作る時にはこういった矛盾を捉えないといけないですし、成功しているものは、やはりそれを捉えているところがあります。 私が特に重要だと思うのは「価値をどう作るか」ということです。価値というのは要するに「どれだけ人を魅了するか」ということです。上述のように、ただ単にお客さんを喜ばせるというだけでは価値はできないわけで、それには先ほどのお寿司屋さんの例のようにちょっとした居心地の悪さが必要な場合もあるのです。このように価値というものは非常に複雑なものであり、だからこそ、やればやるほど様々な発見があり、研究のしがいがあります。

ヒットには「理由」がある

私の指導する学生たちには、今の社会を分析できて、それを語れる人材になってもらいたいと思っています。なんでもないものがヒットするわけはないので、流行っているものには理由があります。また、人気のカフェやホテルでも、もしこれが10年前だったら流行っていなかったかもしれません。時代や文化的背景など様々な要素を理解したうえで作り上げられたものが人々を魅了するのです。今「こんな便利なものができた」と言っても商品は売れません。なぜなら世の中は商品の宣伝であふれかえっており、本当に良いものだったとしても消費者は信じられないからです。なので商品やサービスを作ったり、経営者になろうとしたりする人は、時代の流れを理解し、その中で何が価値を持つのかを考えることが必要ですね。

山内先生からのメッセージ

私は高校生の時に、コンピューターなどを開発していたアメリカの研究所に関する本を読んで感動して、大学では情報工学を専攻しました。しかし、大学院に進むときに「なんか違うな」と思い、経営学に専攻を変えたんです。そして、面白いことにその後、本で読んだ研究所に経営学者として就職をしたんです。だから皆さんに言いたいのは「分野にはこだわらなくても大丈夫」ということです。「これ面白いな」って思ったことは、「こうしないとできない」ということはなく、遠回りでも最終的には近づいていけるはずです。あまり自分を押し込めすぎずに進路を選んでみてください。

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