上智大学 総合人間科学部 教育学科 上野 正道 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

教育で未来をデザインする
――人間と世界の可能性を広げる挑戦

上智大学 総合人間科学部 教育学科 教授
上野 正道 先生


学校は単なる「勉強の場」ではない

私の専門は教育学です。特に「学校教育学」と「教育哲学」という領域を研究しています。「教育とは何か」という問いを軸に、過去・現在の学校をどう理解し、未来の学校をどう構想していくべきかを、哲学的かつ実践的に探究しています。学校を単なる「知識伝達の場」ではなく、多様な人々がともに生きる「民主主義を実践する空間」として捉えることが、私の研究の中心にあります。民主社会において学校は、市民性や公共性を育む重要な場であり、そこにどのような教育が必要なのかを問い続けています。
私が教育学に興味を持ったきっかけは、小学生の頃にアメリカの学校に通った経験でした。学び方や授業の雰囲気、先生と生徒の関係などが、日本とは大きく異なり、教育のあり方が文化や社会と深く結びついていることに気づいたのです。大学では、教育哲学者ジョン・デューイの思想に出会い、「教育は民主主義の基盤である」という考えに強く魅かれました。対話や協働、探究による課題解決を重視する教育が、どのように公正で民主的な社会を築く力を育てるのか、その問いが現在の研究につながっています。

現代社会で問われる「教育の公共性」とは

近年は、東アジアの教育改革や学びの概念を比較しながら、グローバル化や技術革新が進む現代において、教育の公共性を問い直す視点を探っています。また、アートと教育の関係にも注目し、美的経験を教育の核に置くことで、想像力を解き放ち、社会変革につながる可能性も探究しています。
いま世界では、格差や貧困、社会の分断、SNS上の対立や不寛容、多くの問題が山積みです。さらに、地球温暖化や生物多様性の危機など、環境問題も深刻化し、人間と世界の関わり方そのものが問われています。こうした中で、「教育に何ができるのか」を考えることがますます重要になっています。SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現に向けても、教育は欠かせません。教育は、私たち一人ひとりがよりよく生き、学び、よりよい社会をつくる営みそのものだからです。だからこそ私は、教育を哲学的・実践的に問い直し、教育が人間や社会をどう変えていけるのか、その可能性を探り続けています。教育の奥底には「人間とは何か」「社会とは何か」という深い問いがあり、それに向き合うことが研究の面白さです。学校や授業といった「当たり前」を問い直すことで、教育の本質や未来が見えてきます。教育を哲学することは、日常を新しい視点で捉え直し、人間と世界の可能性を広げる挑戦なのです。

現場との対話から生まれる教育の可能性

私の研究では、実際の教育現場との対話を重視しています。小中高の現場に足を運び、先生方や子どもたちと話しながら、哲学的な考えを授業や学校づくりにどう生かせるかを探っています。たとえば、今日の小学校で「対話型の授業」が広まっています。子どもたちが互いの意見を尊重しながら問いを紡ぎ、議論を深めていく姿を見ると感激します。こうした授業は、民主主義や公共性を育む教育につながります。単なる知識の暗記ではなく、異なる考えを受けとめ、協働して課題を解決する力を育てることが、よりよい社会を支える基盤となるのです。さらに、教育にアートや美的経験を取り入れる試みでは、美術や音楽、演劇、文学を通じて子どもたちが自由に表現する場面に立ち会うと、教育が人間の想像性と創造性を解き放つ営みであることを実感します。このように、教育を哲学することは、机上の議論にとどまらず、現実の学校や社会を変える実践へとつながっているのです。

上野先生からのメッセージ

大学受験の意義は、知識の習得にとどまりません。深い思考、探究、課題解決の工夫、そして他者と問いを紡ぎ共有する経験こそが、大学での学びや、その後の人生において大きな意味を持つと考えています。受験勉強は決して楽ではなく、不安や焦りもつきものですが、その過程には確かな成長があります。焦らず、一つひとつの学びを大切にしながら、自分のペースで歩んでください。その経験の積み重ねは、必ず未来につながります。
大学は「学問」をする場です。学問とは「学び問う」ことであり、「問うことを学ぶ」こと。与えられた課題をこなすだけでなく、自ら問いを立て、考え、議論し、表現することが求められます。他者とともに問いを深め学び合うことで、学問の本当の面白さと奥行きに出会うことができるでしょう。大学はまた、自分の関心や望む生き方を探していく「時間」と「場」でもあります。仲間や教員など、そこで出会う多様な人や考え方は、みなさんの世界を大きく広げ、人生を豊かにしてくれるでしょう。そして、学び続ける姿勢は、自分自身を成長させるだけでなく、社会や世界をよりよくする力にもなります。未来は、みなさんが紡ぐ問いとともに形づくられていきます。ぜひ、わくわくする気持ちを忘れずに、挑戦を楽しんでください。

(取材日:2025年12月)

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