Interview
地球の「今」から読み解く、火山・地震・防災
社会につながる「地球科学」
鹿児島大学 総合科学域総合教育学系 総合教育機構 共通教育センター 初年次教育・教養教育部門 准教授
井村 隆介 先生
目の前の風景から自然の歴史を読み解く
私の研究を一言で説明すると、「目の前の風景から自然の歴史を読み解く研究」です。高校の科目でいえば「地学」にあたります。学問的には「火山地質学」「地震地質学」「環境地質学」「災害地質学」といった分野に関わっています。地形や地質の調査を通じて、火山の噴火の歴史や地震・津波の発生履歴、環境の変化などを明らかにしようとしています。
この研究に興味を持ったのは、中学生のころに見たテレビ番組がきっかけです。ハワイの火山で、オレンジ色に輝いた溶岩が噴き上がる映像を見て、「地球は生きている」と感じました。そのとき、「日本は火山が多い国なのに、なぜ自分の住んでいる大阪には火山がないのだろう?」と疑問に思ったのです。「地学を学べばその理由が分かるのではないか」と考えたことが、地球科学への入り口になりました。
46億年の歴史を越え、リアルタイムで社会とつながる
私が研究しているのは、地球史の中で「第四紀」と呼ばれる時代です。約258万年前に始まり、今この瞬間も続いている、地球46億年の歴史の中でもっとも新しい時代です。たとえば、恐竜が生きていた「白亜紀」は約6600万年前に終わっています。そのため、当時の地球の様子は地層や化石から間接的にしか知ることができません。それに対して「第四紀」は現在も続いているため、今起きている現象を直接観察しながら研究できるのです。
現在の地球で起きている火山噴火や地震は、人間社会と密接に関わっています。研究者として、目の前で起きている地球の活動を観察することには大きな興奮があります。一方で、これらの現象は災害にもつながるため、防災という観点からは強い緊張感も伴います。自分の研究がリアルタイムで社会と結びついているところに、大きなやりがいを感じています。
研究のポイントは、「幅広い知識」と「自ら考える姿勢」
大学で扱う「地球科学」は、「地球物理学」「地球化学」「古生物学」など、多様な分野から成り立っています。自然現象を理解するには、物理・化学・生物など理科の知識を統合して考えることが必要です。さらに、過去の噴火や地震の被害を調べる際には、古文書や絵図を読み解く場面もあります。そのような場面では、歴史や古典の知識が役に立つこともあるのです。高校で学んだ幅広い知識が、大学での研究に大きく役立っています。
高校までの学びでは、それぞれの科目に教科書があり、基本的にはこれまでに確立された知識や考え方を学ぶことが中心になります。一方、大学では既存の知識を学ぶだけでなく、それを一歩進めて自分自身が新しい知見を生み出す側に回ることが重要になります。そのためには自分で問いを立て、自分の頭で考える姿勢が不可欠です。私はそうした「自分で考えることのできる人」を育てたいと思っています。今はAIが急速に発展している時代です。だからこそ学生の皆さんには、AIに使われる側ではなく、AIが学ぶための新しい知識や情報を生み出す側の人材になってほしいと考えています。
井村先生からのメッセージ
大学受験は大変だと思いますが、目の前の勉強を「知識を増やす機会」として前向きに取り組んでほしいと思います。高校で学ぶ内容は、受験のための知識のように感じるかもしれません。しかし後から振り返ると、その一つひとつが物事を理解するための土台になっていることに気づきます。だからこそ、受験科目以外の授業も大切にしてください。今は入試の影響で学べる科目が限られることもありますが、授業で学べる機会は貴重です。知識は人生の選択肢を広げてくれるものです。
受験の先には、新しいことを自由に学べる大学での時間が待っています。自然は、私たちがまだ知らないことに満ちています。ぜひ自分の目で世界を見て、「なぜだろう」と考えることを楽しんでほしいと思います。好奇心を大切にしながら、自分の可能性を広げていってください。










