愛知教育大学 教育科学系 学校教育講座 五十嵐 哲也先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

科学的根拠のある支援で子どもたちの不登校を予防する

愛知教育大学 教育科学系 学校教育講座 准教授
五十嵐 哲也 先生


目指すのは「学校に行きたくない」気持ちの低減

私の研究内容は、不登校の予防的支援です。今、不登校になっている子どもたちが急速に増えていますが、その背景には多様なものが想定されます。例えば、友達関係のトラブル、先生との関係のうまくいかなさ、学業不振などといった学校内で生じる可能性がある問題や、親子関係やきょうだい関係などの家庭での問題、さらには子ども自身の心理的な不調などの問題が考えられます。一般に、そうした原因は何か一つに決められるものではなく、複合的な要素が組み合わさって不登校に至っていることが多いように思います。そして、それはそれぞれの学校や学級、子どもによって異なると思います。私は、そうした個々の状況に応じて不登校を予防していくためには、どのような対策をとっていくべきなのだろうかということに関心をもっています。具体的には、不登校が生じにくい教育相談体制とはどのようなものであるのかということを特定したり、学級の雰囲気によって不登校になりにくい子どもの特徴に違いがあることを見つけたりしています。また、最近では、そうした研究成果をもとに、「学校に行きたくない」気持ちの低減を目指した心理教育の手法を開発し、学校での実践を始めています。

学校がもつ素敵な力を子どもの心の健康につなげたい

私は現在まで、スクールカウンセラーなどとして、子どものカウンセリングの実践に取り組んできています。その中で、不登校になっている子どもたちにも出会ってきました。しかし、学校に通っている子どもたちの中にも、不登校にはなっていないけれど、内心では「学校に行きたくないな」と感じながら登校を続けている子がそれなりにいます。そうした子どもたちが「嫌だなぁ」と思いながらも登校し続けているのはなぜなのだろうか、欠席せずに踏みとどまっている原因は何なのかな、と疑問に感じることが何度もありました。将来に不利になるから、という場合もあると思います。親に怒られるのが怖いから、という場合もあるかもしれません。しかし、私が学校で感じるのは、しっかりと子どもを支えている先生の存在です。個々の子どもの頑張りを認め、成長を喜んでくれる先生がいるからこそ、子どもたちは頑張れているのではないかと感じる出来事を何度も経験してきました。学校にはそうした素敵な力がある、その力を伸ばして子どもの心の健康につなげたい、と考えたのが研究のきっかけです。

研究と実践の循環をつくり学校を支える

私の研究成果が、学校での実践につながっていることに、この研究の面白さや、やりがいを感じます。研究成果を踏まえて学校の相談体制を見直したり、学級づくりに活用したりといった報告を受ける場合があります。さらには、具体的な子どもへの支援において、私の研究成果を活用した事例も報告を受けます。カウンセリングでは、科学的根拠に基づいた支援(Evidence Based Approach)が重視されるようになっていますが、私は、学校での心理的支援にも同様の考え方が重要であると思っています。研究成果を踏まえて学校で実践し、その実践結果を踏まえて研究をさらに深めていくというような循環をつくり、学校での実践を研究が支えるようにしていきたいと思っています。

五十嵐先生からのメッセージ

大学での学習は、社会で生じている課題に直結していくものが多いかと思います。ただし、課題解決を図るための方策は、すぐに生まれてくるものではありません。高校までの基礎的な学習をしっかりすることで、幅広い視野から物事を眺め、自分なりの意見を構築していく力が培われます。また、大学に入学してからも、授業だけではなく、自分の関心のある様々な活動に取り組むことによって、自分だけでは考えもしなかった新しい視点に築くことになると思います。そうしたあなたなりの経験を大切にして、あなただからこそできる子どもへの支援とは何なのかについて、一緒に考えることができることを楽しみにしています。

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