法政大学 理工学部 機械工学科 石井 千春 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

手術支援ロボットで、体内の腫瘍を早期発見!
人の役に立つ「ものづくり」を目指して

法政大学 理工学部 機械工学科 教授
石井 千春 先生


人々を支える医療・福祉ロボットの開発

私は、ロボット工学およびメカトロニクス分野において、特に医療と福祉に関わるロボットの研究開発を行っています。メカトロニクスとは、機械工学と電子工学を組み合わせた技術のことです。これまでに、「医療用多自由度ロボット鉗子(かんし)」、「筋肉の電気信号や脳波などの生体信号で操作する電動車いす」、「義手を使う人のための触覚や温度を感じられるフィードバック装置」、「農作業などで腰や肩を補助するパワーアシストスーツ」などを開発しました。
現在は、「海中作業で使用可能なパワーアシストスーツ」と、「臓器に触れた感覚を術者に伝える機能を持つ手術支援ロボット」の開発に取り組んでいます。

子供の頃からのロボットへの憧れ

子供の頃からロボットに憧れていて、小学生や中学生の時には手作りロボットを製作していました。ものづくりが好きだったことから、大学・大学院では機械工学を学んで制御工学研究室に所属し、様々なロボットの制御実験に従事しました。大学教員になり、企業との共同プロジェクトで取り組んだ「医療用多自由度ロボット鉗子」が、医療ロボットの開発を始めたきっかけです。

現場の声を聞き、社会で役立つ技術を

医療ロボティクスの分野においては、北海道大学に勤務していた外科医の先生との医工連携がきっかけとなり、腹腔鏡下手術支援ロボットを用いた触診についての研究を展開するに至りました。腹腔鏡下手術とは、お腹に小さな穴を開けて行う手術のことです。この研究は「臓器に触れた感覚を術者に伝える機能を持つ手術支援ロボット」を用いて、画像では診断が困難な小さな早期の腫瘍を、お腹の中の触診により見つけ出そうというもので、早期の実用化が期待される技術です。
腰補助用パワーアシストスーツは、研究室の学生からの要望で研究を始めました。実際の介護現場を訪問して勉強会を開催し、介護者の方の生の声を聞いて開発・実用化に至りました。農業の現場や建設現場においても、現場の声を聞きながら実証実験を行い、開発を行いました。
現在は、青森県の海洋建設会社との共同研究で、「海中で使用可能なパワーアシストスーツ」の開発プロジェクトを進めています。毎年、青森県の漁港や岩手県の高校の潜水用プールにおいて検証実験を行い、現場で働く潜水士の方の生の声を聞くようにしています。自分たちが開発しているものが、現場でどのように役立つのかを実感しながら開発に取り組めること、また、自分たちが作り出したロボット技術が、社会において様々な人達の役に立つ可能性を含んでいることに、とてもやりがいを感じています。

石井先生からのメッセージ

機械工学においての基礎は、数学と力学です。基礎がしっかりしていなければ、その上に知識を積み重ねることはできません。したがって、大学受験においても基礎となる数学と物理の力学はしっかり学習しておくとよいでしょう。基礎を身に付けておけば、大学入学後、必ず役に立ちます。そして大学では、材料力学、機械力学、熱力学、流体力学といった、いわゆる「四力学」が機械工学の根幹となります。これらの知識は、機械工学において研究開発に欠かせないものです。しっかりとした基盤(基礎)を身に付けていれば、優れた研究成果を上げ、世の中に役立つ「ものづくり」に貢献できるでしょう。
また、機械工学といえども、英語は重要です。文化の違いを学び、見聞を広め、グローバルな視点で物事を考える力を身に付けることが大切です。
そして、他人任せや周りに流されて生きるのではなく、自分の頭で考えて行動し、自分の意見をはっきりと言う習慣を身に付けてください。「周りが進学するから自分もとりあえず進学する」というだけではなく、進学して何をしたいか、何をすることになるのか、自分の将来像を想像してみてください。自分が選んだ学科で、なりたい自分像のイメージができるか、ぜひ考えてみることをお勧めします。

(取材日:2026年2月)

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