武蔵野美術大学 造形学部 基礎デザイン学科 教授 板東 孝明 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

自然がもつ、美しき<シナジェティクス>から
未来につながるデザインをつくりだす

武蔵野美術大学 造形学部 基礎デザイン学科 教授
板東 孝明 先生


自然が秘めている論理性と美しさを
デザインでカタチにする

私の専門はデザイン論で、なかでも<シナジェティクス>という理論を中心にしています。自然は、より少ない要素で最大限のエネルギーを生むような調整をおこなっています。エコロジー(生態学)とは、自然がふるまうエコノミー(経済)活動そのものだと言えます。また自然は、理にかなった論理性と絶妙な構造の美しさを秘めています。そんな自然の調整システムを明解にあらわした概念が<シナジェティクス>です。米国の工業デザイナー、発明家、数学者であるバックミンスター・フラーが提唱したこの世界観は、未来のデザイン、あるべき生活環境を明快に示しています。シナジェティクスを通して、自然が私たちに何かを語りかけようとしているならば、それは混沌とした不可思議なものではなく、数学のような極めて精緻な言語ではないかと考えています。自然の中にひそむ言語を探り当て、それをカタチにする、それはデザイナーに課せられた大いなる使命だと思います。具体的には、フラーの考案したジオデシック・ドーム(※正三角形を組み合わせてつくる、球に近いドーム。最小の資源で最大の面積を確保できるデザインとされている)を発展させること、その応用例を世界に提案していくことをめざしています。この10年余り、日本だけでなく、欧州や東南アジアの大学で、学生たちと竹を素材として、ドームを作り続けてきました。竹は、自然破壊が叫ばれる今日、もっともサステナブル(持続可能)な素材のひとつであり、フラーも晩年に注目していました。このモデリング活動が、将来も誰かの手に継がれて、より発展し、人類に寄与することを願って活動しています。

デザインの使命とは何か?
デザイナーの役割とは何か?

元々私はグラフィックデザインが専門で、シナジェティクス理論を知ったのは自然保護活動をしている人から聞いたことがきっかけでした。「デザイナーは自然を破壊する消費材ばかりつくっているけど、フラーという人はその真逆のことを提案した」と教えられ、覚醒しました。それまで印刷で大量のポスターやカタログを作成し、ひたすら木材を消費してきた自分、綺麗なスタジオで、デザインの美を追求してきたことに酔っていた自分を恥ずかしく感じました。デザイナーとは社会にとってどういう役割があるのか。商品を綺麗に見せて、よく売れるようにするだけでなく、社会や世界の将来を見据えたモノづくりや思想を広げることもデザインの大きな使命ではないか。そういう思いからシナジェティクスを学び、実践しようとしています。

自然の中の美しいカタチを
デザインにして社会に役立てる

シナジェティクスが採用しているのは、自然の中の数学、造形言語です。それは流行とは無縁の、人類が見出してきた素晴らしい鉱石です。それを磨き上げること、そして生活環境に向けて実装し、役立てることに魅力があると思います。また、自然の中の造形は本当に美しい。その一つを紹介すると、「黄金比」という比例があります。おそらく一度は聞いたことがあると思いますが、美しい比率、神秘的なカタチとして一般的には認識されています。しかしそれは表面をなぞっているだけです。「黄金比」の大切な点は、それが「自己再帰的」な性質をもち、自然の生成や構造化を担っていることです。自然の中に普遍的に採用されているオペレーション・システム(OS)であり、まだ人類はそれをうまく援用できていないのです。シナジェティクスは理論だけではなく、デザインに応用できる大いなる知的な資源であると思っています。

坂東先生からのメッセージ

デザインには、大いなる可能性があります。発想をヴィジュルアライズ(見える化)し、社会に伝える力があるのです。絵を描くのが上手い、デザインが好きだということから始めていいと思います。やがては他のいろんな学術分野、産業分野にも貢献できるデザイナーに育って欲しいと願っています。美術大学とは、次世代のあるべき生活環境、社会を形成していくことに寄与する人材が集う場なのです。

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