日本大学大学院 危機管理学研究科 小谷 賢 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

歴史の「裏側」を解き明かし、現代の脅威に備える
―しなやかで強い社会を創る、インテリジェンス研究の最前線

日本大学大学院 危機管理学研究科 教授
小谷 賢 先生


表の外交、裏の情報戦!
インテリジェンスから紐解く、国際政治史

私の専門は1930〜40年代の日英米関係や第二次世界大戦を対象とした「国際政治史」です。学界では「外交史」や「戦史」と呼ばれる領域ですが、私の研究における最大の目的は「インテリジェンス」の資料を読み解き、情報が外交や戦争に与えた影響を明らかにすることにあります。
一般的に「インテリジェンス」は「知能」や「情報」と訳されますが、国際政治の世界においては少し意味合いが異なります。具体的には、国が外交や戦争を有利に進めるため、暗号解読やスパイ活動などを通じて密かに収集・分析した「国家の重要決定に関わる機密情報」のことを指します。
現代社会は、災害やテロ、国際的な紛争など、さまざまな危機が複雑に絡み合っていますが、私たちが目指しているのは、こうした有事に対し、法律や政治、国際関係などの知識をフル活用して的確に対処できる人材の育成です。しなやかで強い社会(レジリエントな社会)を構築するためのプロフェッショナルを、ここから世に送り出していきたいと考えています。

研究の魅力とやりがい
――歴史の裏側を知る面白さと、これからの社会を守る使命感

どんな研究にも通じることかもしれませんが、未開拓の領域に踏み込み、「自分だけが知っている真実」を発見する喜びは格別です。私がこのインテリジェンス研究を始めた当初は日本では専門とする研究者がほとんどおらず、驚くべき新発見の連続でした。
例えば、1941年7月に日本軍が南部仏印(現在のベトナム南部にあたるフランス領インドシナ南部)に進駐し、それに対し米英蘭が日本に経済制裁を課したことが、太平洋戦争の原因の一つとなりました。しかし、なぜ米英蘭が「即座に」経済制裁を決定できたのか、従来の歴史研究では曖昧にしか説明されてきませんでした。そこで、当時のインテリジェンスに関する資料を読み解くと、米英は暗号解読によって日本が進駐する前からその計画を正確に把握しており、事前に綿密な対抗策を検討していたことが判明したのです。
このように研究を進めていくと、それまで謎とされてきた歴史の事象や、国家の意思決定の裏側が明確に説明できるようになります。過去の出来事を単なる歴史として終わらせるのではなく、情報がいかに国の命運を左右するかを解明することは、現代の複雑な国際情勢における安全保障や危機管理への重要な教訓です。自身の知的好奇心を起点とした研究が、これからの社会を守るための知見として還元できる点に、この上ないやりがいを感じています。

小谷先生の学生時代は?
――研究の入口は、あの有名アニメ作品!

少年時代に触れた「機動戦士ガンダム」や「ゴルゴ13」の影響から国際情勢やミリタリー分野に関心を持ち、高校時代には理系から文転して国際関係学部に進学しました。しかし、当時の日本の大学には安全保障やインテリジェンスを専門的に学べる環境が乏しく、大学院に進んでもなお、その領域を深く研究するのは難しい状況でした。そこで、当時の指導教員の勧めで英国・ロンドン大学の戦争研究学部に留学を決意しました。
念願だった安全保障や戦史を本場で存分に学ぶ中、大きな転機が訪れます。ちょうど私が留学していた時期に、第二次世界大戦中のインテリジェンス関連史料が英国の公文書館で一斉に公開されたのです。それは、英国の情報機関が日本などの外交通信を傍受し、暗号を解読した記録でした。
公開されたばかりの生々しい秘密文書に世界でいち早く触れられることに、当時は心底興奮しました。その熱量に突き動かされるように毎日公文書館へ通い詰めた日々が、現在の研究の原点となっています。

高校時代に力を入れておくべきことは?

「知的好奇心」や「学ぶことへの関心」を大切にしてほしいです。現代はスマホですぐに調べられるため、自分の中に知識を蓄えることへの関心が薄れているように感じます。
学ぶことの基本は「読書」であり、それを欠いては知的好奇心を育てることはできません。ぜひ、本を読む習慣をつけてください。本は単なる知識の宝庫にとどまらず、論理性を養うための最良の媒体です。高校時代に頑張って勉強したことは、必ずその後の人生で活きてきます。
また、高校時代に楽しく過ごせたかどうかは、その後の人生のあり方にも影響を与えるものです。受験はやり直しがききますが、高校の3年間は二度と戻ってきません。受験勉強が優先になる時期ではありますが、部活や友人との時間も大切にしてください。

小谷先生からのメッセージ

漠然と大学の名前や偏差値だけで進路を決めるのではなく、「大学に入って何を学びたいのか」、さらに「その先のキャリアをどうしたいのか」をじっくりと考えてみてください。大学合格をゴールにせず、自分の知的好奇心に正直に向き合い、行くべき道を見つけてほしいと思います。

(取材日:2026年4月)

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