Interview
「憧れ」から「即戦力」へ
航空業界を支える全てのプロを育てる航空学「Aviation」
桜美林大学 航空学群 フライト・オペレーションコース 教授
石川 秀和 先生
航空を総合的に学べる、日本で唯一の学群
桜美林大学の航空学群では、飛行の理論や技術を科学的・工学的に学ぶ従来の航空学「Aeronautics(エアロノーティクス)」ではなく、航空を“総合的に”学ぶ新しい航空学「Aviation(アビエーション)」を実践しています。「飛行機操縦」「航空管制」、「航空機管理」、「空港管理」という4つの柱を中心に、工学、通信、気象、法令、経営、身体の生理、安全管理など幅広い知識を学び、航空業界の現場で即戦力として活躍できる力を身につけます。さらに、海外訓練や海外研修をカリキュラムに組み込み、ハイレベルな英語力や国際的な視野も磨きます。日本で唯一、航空に特化した総合的な学群であり、パイロットはもちろん、航空業界全体を支える様々な職種を目指す学生が学んでいます。私自身は今、主に「航空法」と「航空生理」の授業を担当していますが、長年に渡り「パイロットのヒューマンファクター」について研究してきました。
なぜ飛行機事故は「ゼロ」にならないのか
ライト兄弟が初めて空を飛んだ1903年から120年余りが経ち、飛行機の設計技術は大きく進歩し、パイロットの操縦訓練も飛躍的に改善されました。その結果、航空機の致命的な事故は1970年頃までには大きく減少し、その後も低い水準になっています。しかし、完全にゼロにはなっておらず、そして事故の70%にパイロットの判断や操作が関わっていると言われています。これは決して、パイロットの能力不足ではなく、人間なら誰もがもつ資質が原因です。例えば、長時間の作業で注意力が散漫になること、集中力が落ちること、一度に1つのことしか考えられないこと、慌てると意図しないことをやってしまうこと、などがヒューマンエラーを引き起こします。では、防止するにはどうしたら良いのでしょうか?1人で操作せず2人で確認する、照明をつけて見やすくする、誤操作をしても装置が動かないようにする、手順をきちんと決めるなど、人と人、人とルール、人と機械、人と環境の関わり合いを考え、事故を少なくしていく。これがヒューマンファクターの研究です。
経験豊かな指導者が育てるプロフェッショナル
大学に来る前は、航空自衛隊や国土交通省の航空局で働いていた経験があり、操縦士としての知識や能力を活かして教育に携わってきました。航空局では、飛行機のライセンス取得を目指す人への試験や、航空会社の運航管理チェック、航空大学校では実技教官として操縦を教えていました。こうした経験から、航空業界で必要とされる知識と技能、さらには安全意識やチームワークの重要性を学生に直接伝えることができます。
操縦士は、単なる技術だけではなく、航空のルールを守り、飛行環境を分析し、航法テクニックを使いこなして安全に飛ぶことが求められます。また、旅客機クラスになると複数人で運航するため、クルー間でコミュニケーションを取りながら互いに協力し合い、ときには障害を乗り越えなくてはなりません。教える内容は広く深くなりますが、全教育プログラムを修了しライセンスを取得した学生は、立派なプロフェッショナルであり、入学時とは見違えるほど大きく成長しています。学生の成長を実感できることは、教育者としてこれほど嬉しいことはありません。
華やかさの裏にある、プロの厳しさ
ドラマや映画にも描かれる航空業界は、外から見ればカッコ良く華やかで、多くの人にとって夢や憧れのある職場です。しかし内情は、その社会的責任の重さから、妥協を一切許さない強い安全意識を共有するプロフェッショナルの集団であり、自分にも他人にも厳しい職場です。このギャップが、経験豊かな実務教官と至近距離で接するうちに、知らず知らずのうちに学生にも伝わっていきます。教育目的のはっきりした航空学群には、目的意識をもったモチベーションの高い学生が多く、自ずと教育効果も大きくなります。航空業界の現場を見学する機会も多く、効率的・効果的に知見を身に着け、即戦力に育っていきます。パイロットを目指す人だけでなく、航空機を身近に感じながら航空関連の仕事をしたいと願っている人は、是非一度オープンキャンパスに来て実感してみてください。
石川先生からのメッセージ
大学受験は人生の一大イベント。夢の実現に向けて一段飛躍するための大切な節目です。心の負担も大きいかもしれませんが、真正面から「真面目に努力した」「必死に頑張った」という経験は、その後の人生で困難な場面に遭遇したとき、自分を後押ししてくれる力強い自信とパワーの源になってくれると思います。合否を予想して不安がるのでなく、今を頑張る。他人との競争ではなく自分を磨く。そうすれば結果は必ず後からついてくる……という気持ちをもってください。「自分に負けない」強い心をもって前に突き進んでほしいと思います。










