沖縄国際大学 総合文化学部 日本文化学科 西岡 敏 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

琉球語研究 ~言語の多様性を守り、受け継ぐ~

沖縄国際大学 総合文化学部 日本文化学科 教授
西岡 敏 先生


日本語の〝唯一の仲間″琉球語

私の専門は「琉球語学」あるいは「沖縄学」と呼ばれる分野です。世界の言語は、系統関係によっていくつかのグループに分類できます。例えば、フランス語やスペイン語、英語やドイツ語は、「インド=ヨーロッパ語(印欧語)」に属します。また、マレー語やハワイ語などは「オーストロネシア語」です。
日本語は、一説によると北アジアの「アルタイ諸語」に近いとも言われていますが、はっきりとした系統関係はまだ証明されていません。その中で、日本語と系統関係が唯一証明されている言語、それが「琉球語」です。
私は琉球語の全般に関心をもって研究を続けていますが、特に「敬語」について詳しく調べています。他にも、琉球語の表記法の考察や、近年進められている「琉球語再生」の取り組みにも関わっています。こうした研究の背景には、伊波普猷いはふゆうが築いた「沖縄学」の大きな影響があります。

琉球語の世界に導いた2つの出会い

大学1、2年生の頃は、どちらかというと欧米への憧れが強く、現在のヨーロッパ言語だけでなく、ギリシャ語やラテン語などの古典語も含めて、語学の講義を多く受けていました。「インド=ヨーロッパ語(印欧語)」という考え方を知ってからは、インドの古典語であるサンスクリット語の教養ゼミも受けました。
そして3年生で「言語学科」に進んだとき、現在の研究につながる大きな2つの出会いがありました。1つは、夏期集中講義で琉球大学の先生から、琉球語の世界を学んだこと。もう1つは、全編沖縄語の字幕付き映画『ウンタマギルー』を見たことです。私は奈良市の出身で、もともと沖縄とは縁がなく、中学生の頃に社会の先生から聞いた「沖縄の言語が抑圧されている」という話も当時はピンときませんでした。ところが、大学3年生で初めてその意味を理解し、琉球語が失われつつある現実に気づいたのです。この体験をきっかけに「琉球語を学び、研究したい」と強く思うようになりました。

言語文化の世界で向き合う現代的な課題

先に述べたとおり、「琉球語」は「日本語」と系統関係が証明されている唯一の言語です。まだ意味のわかっていない単語もありますが、多くの単語が「日本語」と共通しています。その歴史を辿ることは、「比較言語学」という学問分野に大きく貢献できます。また、自然界で生物の多様性を守ることが重要であるように、言語文化の世界でも、その多様性の保存と継承は大きなテーマです。琉球語の研究は、まさにこの現代的な課題と向き合うものであり、言語を守り伝える使命を感じながら進められることも魅力の1つです。若い世代が琉球語の「ニュースピーカー(新しい話者)」を目指して学んでいる姿を見ると心強く思います。

西岡先生からのメッセージ

今の「学び」は、将来どのような分野に進んでも、大学での「学び」につながります。私の場合、中学校の社会の授業が、言語の分野に進むきっかけとなりました。また、大学受験のときに、日本民俗学を起こした柳田国男や折口信夫が沖縄に強い関心を抱いていたと知ったことも大きな影響でした。さらに、英文法や古典文法の学習は、「琉球語」の分析にも大いに役立っています。特に「敬語」の学習は、「琉球語」の敬語を分析するときの大きな基盤となりました。皆さんも、世界の様々なことに関心を抱き、今取り組んでいる「学び」の基礎をしっかりと固めて、大いに飛躍してください。

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