立命館大学 理工学部 大窪 健之 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

歴史が授けてくれる「減災の知恵」を
“都市の防災”と“歴史文化の保全”の 両面に活かす

立命館大学 理工学部 教授
大窪 健之 先生


長く大災害を生き延びた建造物や都市の知恵を
現代都市の防災に活かす

私は、これまで別々に進められていた研究対象である「歴史都市の保全継承」と「都市の防災計画」を横断する「歴史・防災まちづくり」を主に研究しています。
歴史の中で大災害を幾度となく乗り越えてきた歴史都市や文化遺産などから「減災の知恵」を洗い出し現代都市の防災に活かす試みの他、全国の歴史的な街並みとそこでの生活を守る「住民参加による防災計画づくり」、文化財などの火事が起きても被害を最小に食い止めるための「整備技術の開発」、立地や環境を活かした「文化遺産そのものの防災管理計画」、ネパールなどでの「海外の文化特性を活かした防災計画づくり」などの実践的プロジェクトへの参画と、基礎となる歴史・社会調査を通して多様な研究を進めています。

阪神・淡路大震災がきっかけで気づいた防災の重要性
安全な町と美しい街の両立を目指して

元々は建築の設計デザイン、都市の景観設計に興味があり、設計やデザインのできる研究者を目指していました。そこから現在の研究に取り組むきっかけになったのが1995年の阪神・淡路大震災です。当時、私自身は京都にいて大きな被災はしませんでしたが、神戸に住む友人を見舞うために現地入りした際に変わり果てた神戸の姿を見てショックを受けました。
人間が数十年、あるいは数百年以上かけて創り上げてきた美しい街並みを、自然は数十秒で瓦礫の山にしてしまうのです。ここから美しい街を造る際にも、防災を前提として設計すべき、と防災の重要性を思い知らされました。
勉強を進めるうちにデザインが減災に貢献できる可能性、しかしながら防災のためのデザインが不足していることに気がつき、「安全な町は美しい街になるはず」と考えて歴史都市防災の研究に取り組むようになりました。

歴史都市や文化遺産は災害に弱いのではない

歴史都市や文化遺産は災害に弱いというイメージが一般的かもしれませんが、現代の高度な技術や材料がない時代に災害を乗り越えてきた歴史があるからこそ文化遺産となっているのです。先人たちがどのようにして災害を生き延びてきたのか、その謎について調べて研究することはとても面白く感じます。
世界中に歴史的な街並みが今でも残っていますが、それぞれ異なる特徴を持っています。その個性的なデザインとなった要因の一つが、その場所で培ってきたその土地固有の災害への対処だったと考えています。
これら歴史によって磨かれてきた「減災の知恵」を研究し、再評価しつつ最新の技術と組み合わせることで、文化的価値を維持したまま災害安全性を高めるための「歴史都市防災研究」に取り組む。それは、災害からの安全と歴史文化の保全の両立を目指すことができる、非常にやりがいのある仕事だと思っています。

大窪先生からのメッセージ

今は大変な思いをしながら勉学に励んでいると思いますが、自分にとって悔いなくやりきることができれば、その経験と時間は必ず自分の財産になります。大学に進学して社会に出てからも、受験勉強で培った信念と粘り強さは何度でも助けてくれるはずです。受験勉強では辛いこともありますが、「自分なりに楽しむ」マインドをもって勉強に取り組むと、あらゆることがプラスに転化されます。自分を信じてチャレンジを楽しみましょう。

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