東北大学 歯学部 歯科口腔麻酔学 水田 健太郎 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

眠っている間に歯の治療をする!?
「歯科麻酔科医」としての研究

東北大学 歯学部 歯科口腔麻酔学 教授
水田 健太郎 先生


誰もが泣かずに歯科治療を受けるために

歯科治療を受けることが得意な人はほとんどいません。特に、子供や知的障がいを持つ方々は、歯科治療を受けるのが大変苦手です。そのため、身体を人手で押さえつけられたり、ネットにくるまれたりしながら歯科治療を受けることもあります。それでも患者さんが泣いて暴れてしまうと、ミクロン単位の精密な作業を必要とする歯科治療は困難を極めます。私は、歯科治療を受ける患者さん、治療を施す歯科医師の双方にとってもっといい方法があるのではないかと思い、歯学部卒業後に「歯科麻酔科学」の道に進みました。「歯科麻酔科医」という職業は聞き慣れないかと思いますが、簡単に言うと、患者さんが眠っているうちに歯科治療を行うために全身麻酔をかける、歯科医師の麻酔科医です。歯科治療は別の歯科医師が行い、歯科麻酔科医は麻酔管理を行います。

全身麻酔と喘息の関係とは?

全身麻酔の安全性は近年飛躍的に向上していますが、様々な合併症が生じることがあります。例えば、全身麻酔中に急に気管支喘息の発作が生じ、呼吸困難に陥る患者さんがいます。このような方を減らすために、日々の臨床業務と並行して、全身麻酔と気管支喘息の関わりに関する基礎研究を始めました。細胞や動物を使った研究の中で、全身麻酔に使う薬の中には、喘息の症状を悪化させるもの、改善するものがあることがわかってきました。

一つの研究をきっかけに
新たな研究が広がっていく

一方、気管支喘息の発作は全身麻酔がかかっていないときでも、眠っているとき、特に深夜から早朝にかけて生じやすいことがすでに19世紀に報告されています。しかし、なぜ眠っているときに喘息の症状が悪化するのかはまだよくわかっていません。私の研究室では、夜間から早朝にかけて血中濃度が上昇するホルモンであるメラトニンに着目しました。そして、気管支に存在するメラトニン受容体にメラトニンが作用すると、気管支喘息の症状が悪化することを明らかにしました。研究を始めたきっかけは、全身麻酔と喘息の相関性に関する研究でしたが、現在はその枠を超えて気管支喘息の発生そのものの解明を進めています。
研究のやりがいは、患者さんに麻酔をかける中で抱いた臨床上の問題点を基礎研究で解決し(Bedside to Bench)、基礎研究で得られた成果を患者さんの診療に還元する(Bench to bedside)ことです。また、国内外の研究者と共に、同じ目標に向かって研究を進めていく過程はとても刺激的です。

水田先生からのメッセージ

私は高校生のとき、基礎学習を軽視し、特に数学では自分の実力に見合わない難しい問題を解けるようになることがかっこいいと勘違いしていました。その結果、微分積分をほとんど理解しないまま受験シーズンに突入し、大失敗してしまいました。そこで、浪人生活では、基礎を軽視せずに一から勉強をやり直しました。積み木を積み上げるには、土台づくりが大事です。基礎から自分の頭でしっかり内容を理解し、着実に知識を積み上げること、この過程を学べたことが今の仕事にとても生きています。
受験勉強は、将来につながらないので無意味だと考えがちですが、大学で勉強する上では不可欠な基盤づくりです。受験勉強を通じて、積み木を積み上げ、深掘りして学ぶことの面白さを経験してもらえればと思います。

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