山梨大学 教育学部 三井 一希 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

ICTで教育は変えられる
人の、学びの、可能性を広げる研究

山梨大学 教育学部附属教育実践総合センター 准教授
三井 一希 先生


ICT環境の教育への活用

私は教育工学という分野を研究しています。教育工学とは簡単にいうと、「テクノロジー等を活用して授業や学習をより良くするにはどうすれば良いか?」ということについて扱っている学問です。そのなかでも私は「1人に1台の端末」「クラウド」といったICT環境をどのように活用すれば、もっと効率的かつ効果的に学べるか、ということについて研究しています。
例えば、授業中に手を挙げて発言する人は限られますよね。わかっていても手を挙げない人もいます。このようなときにクラウド上の共同編集機能を使い、自分の考えを端末に入力すれば瞬時にクラス全員に自分の考えを届けることができます。また、これまでの学びをクラウド上に保存しておけば、ノートとは異なりいつでも過去の学びにアクセスできたり、友達と共有できたりします。このように、これまでの学びをもっと良くできるのがICTの力なのです。
ICTには多くの可能性があります。最近はChat GPTをはじめとする生成AIが出てきました。これらを有効活用できれば、これまで身につけられなかった資質・能力を獲得できるかもしれません。一方で授業や学習でどのように活用すればよいかは、いまだよくわかっていません。これから多くの研究の蓄積が必要になってきます。

小学校の教員経験から
ICTの可能性に気づく

私は大学卒業後に小学校の教員をしていました。しかし、楽しい授業ができるわけでも、わかりやすい授業ができるわけでもなく、担当した子供たちには申し訳ないと思っていました。そんな私の授業でも、実物投影機を使って大きく示すと理解してくれる子が増えたり、動画や写真を提示することで前のめりになって聞いてくれる子が増えたりして、ICTの効果を肌で感じる瞬間が数多くありました。この頃からICTの可能性に興味を持つようになりました。
また、私は小学校の教員をしながら県外の大学院で学んでいました。なぜこんなことができたかというと、オンラインでレポートを書いたり、論文を読んだり、仲間と議論したりすることができたからです。私自身もICTの恩恵を存分に受けながら学ぶ経験をしました。
人の学びを変えられるICTをもっと多くの先生方に使ってもらいたい。子供たちにはICTを活用して自分の可能性を広げてほしい。そんな思いを原動力として、研究を進めたり、研究成果をもとに先生方に研修を行ったりしています。

「教育現場」こそが
大切な研究フィールド

「研究」というと実験室で試験管や顕微鏡に向かう姿を思い浮かべる人が多いと思います。しかし私の研究フィールドは学校であり、日々行われている授業です。そのため、さまざまな学校に頻繁に足を運ぶようにしています。子供たちや先生方と直接コミュニケーションを取れることは面白いですし、自分が設計した授業で目を輝かせながら学んでいる子を見たときはやりがいを感じます。そして、授業を記録した映像を分析したり、アンケート調査の結果を分析したりするなかで、これまで誰も気づかなかったことを発見できたときは嬉しいです。
今の私は子供たちに直接授業をするわけではありませんが、先生方を支援したり、研究成果を広めたりすることで、日本の教育の発展に少しでも貢献できればいいなと考えています。人の学びや成長に興味があれば、ぜひ教育分野や教育工学を志してください。

三井先生からのメッセージ

教育工学の世界では、「学び方」を知っている人は強いと言われています。自分の特性を理解した上で、どうすれば情報を集めやすいか、どんな方法をとれば暗記しやすいか、といったことを試行錯誤しながら自ら獲得していくことが重要になってきます。みなさんも、自分に合った学び方を見つけて受験勉強を乗り切ってください。

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