横浜市立大学 大学院医学研究科 法医学 井濱 容子先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

医学的知識や科学技術で
社会の安全・安心を守る

横浜市立大学 大学院医学研究科 法医学 教授
井濱 容子 先生


事件や事故、虐待の真偽を科学的に証明する

法医学とは、医学的知識や科学技術を使って犯罪の捜査に協力したり、社会のトラブルを解決したりする学問です。そして法医学者は、事案に関して医学的な助言をしたり、実験などによって真偽を科学的に証明する法医鑑定を行ったりします。法医鑑定には、死体を解剖して死因を判断する解剖鑑定や、虐待が疑われた子どもの傷を診察する生体鑑定、白骨やDNAを調べる物体鑑定などがあり、鑑定の対象や方法は多岐にわたります。
小説やドラマでは、法医学者が事件を解決する話が描かれますが、実際には法医学者が犯人を捕まえることはありません。法医学者の仕事は、捜査機関が犯人を捕まえるための科学的な材料を示し、裁判で正当な刑罰が科されるために正しい鑑定をすることです。近年、小児虐待の増加が社会問題となっていますが、子どもの傷が虐待によるものかどうかを鑑定することは、損傷を見慣れている法医学者が得意とする領域です。法医学は派手な学問ではなく、社会の安全・安心を守るための基礎となる学問です。

社会のため、未来のために働く誇り

私は精神医学に興味を持って医学部に進学しましたが、大学で様々な領域を学んでいく中で法医学の魅力と面白さに触れて、法医学者になる道を選びました。法医学者は、臨床医のように患者さんを治療して本人や家族から感謝されることはありません。多くの場面で、法医学者は子どもや高齢者、DV被害者あるいは福祉のセーフティーネットから零れ落ちてしまった社会的弱者の権利を守るために働いています。直接、患者さんから感謝されることがなくても、社会のために、未来のために働けることは法医学者としての矜持だと思いながら、仕事をしています。

高まる法医学のニーズ、使命感と達成感がやりがいに

法医学者は、解剖などの実務を行うとともに研究もします。医学研究には概ね領域があり、おのずと研究テーマはその領域に限定されますが、法医学では領域を超えたあらゆることを研究の対象にすることができます。私は沖縄で法医学をしていたので、マリンレジャーでの事故や海洋生物による損傷に興味を持ち「海洋法医学」の研究をしていました。現在もダイビング中の体内の薬物動態や血管内気泡が人体に与える影響についての研究を続けています。自分が興味をもったことを研究できることが法医学の面白さだと思います。
毎日のように殺人事件や死亡事故の報道がされ、小児虐待の増加は社会問題となり、法医学のニーズは近年大きくなっているにもかかわらず、日本の法医学者は足りません。法医学者の仕事は決して楽ではありませんが、社会の役に立っているという使命感や達成感が法医学者のやりがいだと思います。

井濱先生からのメッセージ

自分の好きなこと、興味のあることを仕事に選んで欲しいと思います。社会人になると、起きている時間の多くを仕事に費やします。その「仕事」が好きであれば、毎日が楽しく、人生が豊かになると思います。特に研究者は、自分の研究が好きで好きでたまらない人が多く、一流の研究者になればなるほどその傾向が強いです。優れた研究者の多くは、寝食を忘れて研究に没頭し、四六時中研究のことを考え、口を開けば研究の話ばかり…かなり変な人に思われるかもしれませんが、「仕事だから」と研究している人が、研究を趣味にしているような人に勝つのは至難の業です。逆に、たとえ不器用でも、能力が劣っていても、研究が好きで、常に研究のことを考えていたら、最後には大成するのではないでしょうか。人生は長いようであっという間です。是非、限りある人生を最大限楽しんでください。
なお、法医学はとても興味深い学問ですよ。日本の未来を支える法医学者を志してみませんか?!

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