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2017年度 京都大学入試問題「物理」 出題ミスとの指摘あり

  公開日:2018/01/23
最終更新日:2018/02/26

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは、四谷学院の岩佐です。

昨年2月に行なわれた大阪大学の入試「物理」の出題に誤りがあり、追加合格者が発表されました。
そして、京都大学についても同様の誤りがあるのではないかと報道がなされています。

(参考)朝日新聞 2018年1月22日「京大入試の物理問題「解答不能」と指摘 正解は非公表」

(追記)
(参考)朝日新聞2018年2月1日「京大が出題ミス認め謝罪へ 追加合格者出す方針」
(参考)毎日新聞2018年2月1日「京都大:昨年2月の入試で出題ミス 追加合格へ」
https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00m/040/209000c(掲載終了)

指摘のポイントは何か?

大阪大学、そして京都大学、いずれも大きなポイントが2点あります。

1つの音源から異なる方向に出される音波の位相はどう考えればよいか

壁で反射された音波の位相はどう変わるか

京都大学の出題を解説

京都大学の出題を、以下の簡略化した図式のもとで考えてみます。

壁で音波が反射するときについて、京大の出題では次のように表現されています。

「壁Mでの空気中の音波の反射条件は固定端とみなすものとする。」

おおむね、このような方向性で、京都大学サイドは解答を設定していたと考えられます。
(現時点で、京大側の正解は非公表)

京都大学の出題の問題点

さて、問題点です。

(1)四方八方に出る音は、同位相で送り出されると見てよいのか?


(2)壁で音波が固定端反射するとはどういうことか?

問題点が見えてきました。

まとめ

直接音と反射音が干渉したときの「弱め合い」とは、変位波(媒質がどれだけ移動しているか)として見るのと、疎密波(媒質の密度がどれだけ変化しているか)で見るのでは、話が違ってくる。
変位波として弱め合っている状態は、疎密波としては最大振幅の強め合っている状態になってしまう。

京都大学の問題では、以下のような記載があります。

「音波の反射条件は固定端反射とみなす」

その意味では、変位波として捉えるのが自然かもしれません。
しかし、一般に「音が強い」というのは疎密としての振幅の問題です。
耳の構造を考えればわかりますが、圧力の変化が鼓膜の振動となるわけです。ですから、「音が弱め合う」という場合は「疎密波として弱め合う」と解釈する方が自然であり、ここに矛盾があるわけです。

今回、大阪大学そして京都大学という難関校で、続けて問題点が指摘されました。
「音波の反射」と「干渉」が絡む問題については、今後より慎重に問題文等が表現されるようになることでしょう。

最後に・・・
学習者としてのポイントですが、「疎密波」としての取り扱い方をしっかりと理解しておきましょう。

2月7日:解説追記

こちらの京大物理出題ミスを解説した記事について、次のようなコメントをいただきました。

「疎密波としてみた場合は、密となっている箇所が波の山にあたり、疎となっている箇所が波の谷です。」
ここの、理由が分かりません。

説明を補足します。
例として、閉管で図のような共鳴(3倍振動)が起こっている場合を考えてみましょう。

四谷学院生の皆さんへ
これと同じ図が「物理55マスター 下巻」36ページに載っています。確認してみましょう。

閉管で定常波が生じていて、曲線はある時刻における定常波の状態を表しています。
図1の状態から2分の1周期が経過すると図2の状態になり、さらに2分の1周期が経過すると図1の状態に戻ります。
この図において、グラフは縦波の横波表示、すなわち媒質がどれだけ変位したかを表したものです。

図1において、管の閉じているところの近くでは、変位は負、左側に動いているので、管の閉じている位置では疎(密度が小さい状態)になっています。
図2では逆に、近くの媒質が正方向(右方向)に変位しているので密(密度が大きい状態)となっています。

そこで、管内の状態を変位(媒質が左右にどれだけ動いたか)ではなく、密度が標準の状態からどれだけ増減したかで表せば、グラフは次のようになります。

図1’および図2’において、横の細線が基準となる密度(波が生じていないときの空気の密度)を表し、この線より上が密度高、下が密度低を表します。この密度で表現した音波のグラフであれば、当然ですが密のところが山、疎のところが谷として描けるわけです。変位波としてみた場合(通常の縦波の横波表示の場合)の合成波の腹と節が、疎密波としてみた場合はちょうど入れ替わることがわかるでしょう。
京大の問題は「音波が弱め合う状態」として「変位波として節になる」のか「疎密波として節になる」のかをちゃんと示していなかったわけです。

なおつけ加えると、
「耳が感知しているのは変位波か疎密波か、高校では教えていない」
という指摘もありました。
何冊か教科書を調べてみたところ、啓林館の教科書(物理303)には「圧力の変化によって耳の鼓膜が振動する」と書いてあります。耳が変位波を感じているわけではないことは、次のような(厳密ではありませんが)直感的な説明でも納得できるのではないでしょうか。
 「もし、耳が変位波としての音を感知しているのであれば、音が伝わる方向に耳の穴を向けなければ、媒質の振動が鼓膜まで達しないことになる。いろんな方向からの音を聞くことができるのは、耳の近くでの気圧の振動が鼓膜に伝わるからだ」

四谷学院には、京大合格への独自の方法論があります。
詳しくはホームページをご覧ください。↓クリック!

 

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