
こんにちは!四谷学院の奥野です。
大学受験や試験(テスト)が近づくと、「合格したい」「高い点数を取りたい」というプレッシャーから、不安や緊張を感じる人は多いでしょう。緊張しすぎると実力を発揮できないまま終わってしまいますが、実は適度な緊張はプラスの効果をもたらすこともあります。
この記事では、適度な緊張がもたらす効果と、過度な緊張を和らげる勉強法・思考について解説します。



目次
人はなぜ緊張するのか
緊張とは、心身が張り詰めた状態にあることを指し、自律神経の働きによってこの状態が引き起こされます。
自律神経とは、人が生命活動を維持するために必要な機能を管理している神経のことです。自律神経には、身体の活動時に優位になる交感神経と安静時に優位になる副交感神経があり、交感神経が活発になることで緊張状態になります。
このような反応が起こるのは、危険や緊急事態にすぐ動けるようにするためであり、はるか昔から備わっている本能的なものです。緊張状態になると、心拍数や血圧の上昇などにより身体のパフォーマンスが一時的に高まり、心身が戦闘モードになります。
つまり、緊張は重要なことに立ち向かうための防衛反応といえるでしょう。
適度な緊張がもたらす効果

受験やテスト前の緊張は、すべてが悪い方向に進むわけではありません。適度に緊張した状態だと、集中力が高まって実力を発揮しやすくなることが、「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という生理心理学の法則で提唱されています。
まったく緊張していない状態は、極端に例えると、寝ているのとほぼ変わらないといえます。脳が最大限のパフォーマンスを発揮できる状態とはほど遠いでしょう。
とはいえ、あまりに緊張しすぎると、心身に大きなストレスがかかるため注意が必要です。その結果、集中力の低下や疲労感、イライラ、不眠などにつながり、パフォーマンスが低下するおそれがあります。
つまり、受験やテスト当日は適度な緊張を維持することで、今までの頑張りを発揮しやすい状態になるといえます。
受験や試験(テスト)は前日から戦いが始まっている
ギリギリまで頑張ろうとして、受験やテストの前日に夜遅くまで勉強する人もいるでしょう。ですが、これでは体調不良を引き起こすため、逆効果になる可能性があります。
受験やテストの前日は夜遅くまで勉強せず、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。また、英単語を簡単に振り返ったり、簡単な問題を解いたりする程度に留めて、緊張をある程度ほぐせる状態にすることが大切です。
直前まで勉強していないと不安を感じてしまう場合は、これまでに解いた問題やノートを見ながらこれまでの努力を振り返り、「ここまでよく頑張った」と自信につながるような気持ちを持つとよいでしょう。
【身体編】受験や試験(テスト)当日に緊張を和らげる方法
受験やテストの当日は、適度な緊張状態を維持できるように、とり入れやすい方法から試してみましょう。以下では、フィジカル面での緊張を和らげる方法をご紹介します。
深呼吸をする
緊張を和らげる方法として広く知られているものといえば、深呼吸でしょう。深呼吸を繰り返して呼吸を整えると副交感神経が優位になり、緊張が和らぎます。
お腹を膨らませながら鼻からゆっくりと息を吸い、倍の時間をかけて口からゆっくりと息を吐きましょう。
手のツボを押す
手にはさまざまなツボがあり、ツボを押すことで緊張を和らげる効果が期待できます。以下のツボを、気持ちよいと感じる力で3~5秒ほどかけて押してみましょう。
合谷(ごうこく):手の甲側の人差し指と親指の間
労宮(ろうきゅう):手のひら側の人差し指と中指の間
内関(ないかん):手首から肘側に向かって指3本分の場所
神文(しんもん):手首外側(小指側)にある出っ張った骨の手前の場所
全身の硬直と弛緩を繰り返す
筋肉の硬直と弛緩を繰り返すことで、緊張を和らげる方法です。
椅子に座るか、仰向けに寝た状態になり、手や腕などの上半身の部位から始めて、下半身まで部位ごとに行います。1つの部位に5~10秒ほど力を入れて硬直させ、15~20秒ほど力を抜いて弛緩させましょう。
意識して筋肉の硬直と弛緩を行うことで、身体だけでなく精神の過度な緊張も和らいでいきます。
好きな音楽を聴く
好きな音楽を聴く方法も、心が落ち着いて精神の安定につながるためおすすめです。特にゆったりとしたリズムの音楽は、不安な気持ちを和らげる効果があるとされています。ゆったりとしたリズムの音楽を聴くと副交感神経が優位になるため、心身のリラックスが期待できます。
【メンタル編】受験や試験(テスト)当日に緊張を和らげる方法

次に、受験やテスト当日にメンタル面での緊張を和らげる方法を解説します。
緊張することは悪いことではないと考える
先ほど説明したように、緊張は一概に悪いものだとはいえません。スポーツの世界でも、適度な緊張はよいパフォーマンスを引き出すといわれています。
そのため、受験やテストの当日に緊張を感じたときは、無理に緊張を感じないようにするのではなく、自分の実力を発揮しやすい状態だと考え、緊張をポジティブに受け止めるとよいでしょう。
自分の頑張りを信じる
当日はライバルの多さに圧倒され、実力がある人でも緊張してしまうでしょう。そのような状況で適度な緊張感を保つには「今まで勉強したから大丈夫」と、自分の頑張りを認めて信じることが大切です。
このとき、勉強した問題やノートを見返すと、自分の努力を実感しやすくなります。
解けない問題があっても気にしない
入試は受験生をふるいにかけることが目的であり、過去問にはない問題が出される可能性も十分にあります。「何が何でも合格しなければならない」と考えると、ミスが許されない状況に自分を追い込んでしまいます。
「解けない問題があるのは当たり前」「ほかの問題がきちんと解けているからOK」と考え、完璧主義は捨てることを心がけましょう。
受験を大きく考えない
大学受験を大きくとらえてしまうと、「この受験で人生が決まる」「受験で落ちたら人生が台無し」といった思考に陥りやすくなります。
大学に合格したいという気持ちも大切ですが、重く考えると緊張につながるため注意が必要です。
大学受験に失敗しても成功した人はたくさんいます。受験はあくまでも通過点と考え、「失敗しても何とかなる」と楽観的にとらえるようにしましょう。
受験や試験(テスト)で過度に緊張しないための日々の勉強のコツ
適度な緊張状態はパフォーマンスを高めるとはいえ、緊張の度合いを簡単にはコントロールできないでしょう。
過度に緊張せずに受験当日を迎えるためには、受験勉強の段階で以下のポイントを押さえておくことが大切です。
模試を多く受験する
模試は自宅で受けられるものもありますが、試験会場で受けられるものもあります。試験会場なら本番に近い環境で受けられるため、試験の場慣れに役立ちます。受験本番を想定し、緊張感をもって模試を受けましょう。
はじめは緊張しすぎたとしても、回数を重ねるごとに慣れていき、適度な緊張がどういうものか体感できるようになります。
また、模試を受ける際は解答用紙の使い方に慣れることも重要なポイントです。
例えば、数学の計算問題では、解く過程の計算式を問題用紙の余白に書くため、スペースを考慮しなければなりません。文字を小さく書く、スペースをあらかじめ区切るなど工夫すると、試験中でも慌てることがなくなります。
解答の順番や時間配分を決めておく
模試の問題や過去問を解く際は、最初にある程度解答の順番や時間配分を決め、それに沿って解く練習をしましょう。適度な緊張感をもって試験を受けたとしても、時間配分を決めていなくて時間が足りなくなれば、パニック状態へと陥ることになりかねません。
ただし、あまり細かく解答の順番や時間配分を決めると、それが狂ったときに動揺してしまい、総崩れする可能性があります。解答の順番や時間配分を決めることは有効な方法ではありますが、それ以上に大事なのは臨機応変に思考を切り替える対応力です。
例えば、難しい問題にぶつかって「すぐに解けない……」となった場面を想像してみてください。そのままでは、時間だけがムダに過ぎていくでしょう。
そのようなときは、簡単な問題や得意な問題を先に解き、難しく集中力が必要な問題は後回しにするのが基本です。
テストが開始したらまず全問に目を通し、どの問題から始めるかを判断します。解いてみてわからない問題は飛ばして先へ先へと進めていけば、時間が足りなくなることはありません。
また、10分程度の見直し時間を確保するのもおすすめです。見直し時間があるのとないのとでは、気持ちの余裕が大きく変わります。
ケアレスミスがないかチェックする、集中力が必要な問題にじっくり取り組むなど、余った時間の使い方は自由です。
このように、模試の問題や過去問を解くときから時間配分を意識しておくと、適度な緊張感を維持して問題を解く感覚が養われるでしょう。
まとめ:適度な緊張で最大のパフォーマンスを発揮しよう
受験やテストの当日は、適度な緊張状態で挑むことで集中力が高まり、実力を発揮しやすくなります。
緊張状態をコントロールするためには、日々の勉強での取り組みや、緊張を和らげる思考を身につけることが大切です。
以下の記事では、受験の際に感じるプレッシャーの克服方法を詳しくご紹介しています。今回の記事と併せてぜひチェックしてみてください。
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