なぜ、その人はその商品を買ったのか!?
視線から読み解く、買い物の意思決定
関西大学 ビジネスデータサイエンス学部 准教授
村上 始 先生
目は心の窓。視線から頭の中を推測する
私は、普段のお買い物を含む、「人の意思決定現象」について研究しています。消費者がなぜその商品を買ったのか、広く言えば、人がなぜそのような意思決定を行ったのかを、数理モデルや実験、アンケート調査、シミュレーションなど、いろいろな方法を使って探っています。例えば、視線を測定する機材を使い、人が商品を選ぶ際に、どのように商品の情報を見ていくのかを調べます。「目は心の窓」と言いますが、商品を選んでいるときの視線を調べることで、その人が頭の中でどんなことを考えているのかを推測しようとしています。また別の例として、100円の商品が10円引きされたときと、1000円の商品が10円引きされたときでは、同じ10円引きでも100円のときの方がより割安感がありますよね。このように感じるのはなぜか、ということについて数理モデルを使って解き明かそうとしています。
脳波から視線へ。身体情報から意思決定を探る研究の原点
研究のきっかけは、大学4年生のときに行った卒業研究です。「プロスペクト理論」という、人の意思決定を数理モデルで表そうとした代表的な理論をテーマに選びました。「人の意思決定を数理モデルで表そうとする試みって、なんとなく面白そうだな」と感じたからです。さらに遡って考えてみると、学部3年生のときのゼミ選びが原点になります。所属ゼミの希望を出すために、卒業研究の発表会を見に行った際、「脳波と人の意思決定の関係」についての発表を聞き、強く興味を惹かれてそのゼミに所属することにしました。結局、脳波は扱わずに、視線の測定が私の研究の主な手法になっています。ただ、人の身体の情報を機材で読み取り、その人の頭の中でどのようなことが行われているのかを調べることができるかもしれない、という点に面白さを感じているのは、脳波にしろ、視線にしろ、同じかもしれません。
数理モデルは「モノづくり」のような面白さ
数理モデルの研究で感じる面白さは、「モノを作る面白さ」に近いと思います。例えば、どうやってモデルを作るか、また、それを構成するパーツは合っているのかを実験で確かめたり、そのモデルをどう使えるかを考えたりする工程が楽しいのです。人の頭の中という曖昧なものを、具体的にどのように調べるかを考えることは、チャレンジングで非常に面白いと感じます。
また、「人生は選択の連続」と言いますが、意思決定という現象は普段の生活の様々な場面で出てきます。私はお買い物の場面を研究の題材にすることが多いですが、他にも保険の選択や、コロナ禍での自粛行動の選択などを題材にしたこともあります。このように、一つの枠に留まらず、いろいろな応用場面を考えることができるのもこの研究の大きな魅力です。応用分野が広いからこそ、好奇心旺盛で、新しいことに挑戦できる人が来てくれると嬉しいですね。
また、一見逆のことを言っているようではありますが、何か1つのことに熱中できるというのも、研究において大切な資質だと思います。さらに、研究を進める上でも社会に出てからも、チームワークが求められる機会が増えるため、高校生のうちから他の人と共同で活動することにも慣れておくと良いですよ。
村上先生からのメッセージ
今は大変な時期だと思いますが、勉強に専念できる時間は年齢を重ねるにつれて減っていくものです。だからこそ、今のうちにがんばってください!受験で学んだ内容を活かせるかどうかはその人次第です。理系の人でも歴史や地理を知っていると、初対面の人との世間話や、国内外の人とのコミュニケーションに役立ちます。また、仮に文系に進んでも、最近はデータの扱いやAIが注目されているため、理系科目での学びが強みになるはずです。
また、「身体が資本」とも言いますので、勉強だけでなく適度な運動も大切にしてください。体力をしっかりつけておくことで、大学での研究をはじめ、この先のさまざまな壁や挑戦も、きっと乗り越えていけるはずです。









