更新日:2026年05月21日

ドラえもんは作れるのか?
身体×環境×AIで挑む「動ける知能」ロボット

法政大学 理工学部 電気電子工学科 教授
伊藤 一之 先生


自分で学び、環境に合わせて動くロボット

知能ロボット研究室では、学習能力を持ち、環境に合わせて自律的に動けるロボットを開発しながら、「知能とは何か」「ロボットに知能を持たせるにはどうすべきか」を研究しています。特に最近は、コンピュータの計算だけで知能を実現するのではなく、ロボットの体のつくりや、環境から受ける力のはたらきも利用して実現する、新しい枠組みの研究にも力を入れています。例えば、生物のように環境に適応して動ける柔らかい身体をもったロボットも開発しており、その様子はYouTubeなどでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/channel/UCFLo1SPFfPIIRbfKDWYtTVA

「ルールだけで動く」には限界がある

ロボットの知能に興味をもったのは、大学の卒業研究で自動車の自動走行に取り組んだことがきっかけです。最初は「右に障害物があれば左によける」といったルールをプログラムとして記述することで自動走行を実現していました。この方法では、ルールを増やしていけば様々な状況に対応できるようになりますが、結局はプログラマーが埋め込んだルールの範囲でしか動けません。では、ロボットが自分で学習し、プログラムされていない状況にもうまく適応できるようになるにはどうすれば良いのか——その疑問が、今の研究につながっています。

知能は「脳」だけでは決まらない

自然界では、脳を持たないような下等生物でも、複雑な環境にうまく適応して動けます。私たちが「知能」を感じる動きの多くは、実は、脳だけで生まれるのではなく、環境と身体が相互に影響し合うことで生まれています。この生物の仕組みをロボットに応用すれば、コンピュータで複雑な計算をしなくても、状況に合わせて適切に動けるロボットを実現できます。近年、生成AIの発展は目覚ましく、様々な分野で実用レベルに達しています。しかし、ドラえもんのように日常生活で自律的に動けるロボットは、まだ実現していません。その原因の1つは、工場などで働く現在のロボットには「環境と身体によって実現される知能」が取り入れられていないことだと考えています。今後、生物のように適応できる身体をつくり、そこに高度なAIを搭載できれば、ドラえもんのようなロボットが実現できるかもしれません。それを目指して様々なロボットの開発を行っています。

基礎学力が広げる世界と未来

数学や理科の知識があれば、様々な現象を論理的に考えられるようになり、世界が違って見えてきます。英語ができれば活躍の場が世界に広がり、世界史や地理の知識は、文化や背景が違う人たちと協力して何かをやり遂げる際に大きな助けとなります。受験勉強も、テクニックや丸暗記だけで終わらせず、腑に落ちるまで考えて「人生の糧になる知識」にしてください。大学では、先人たちが培ってきた知識を学ぶだけでなく、次の時代に残す新しい知見を積み重ねる“研究する側”になります。失敗してもいいので何かにチャレンジしてください。努力して成し遂げた達成感も、失敗の悔しさも、その後の人生でまた何かに挑戦するときの大きな励みになると思います。

伊藤先生からのメッセージ

大学受験はゴールではなく、自分のやりたいことを自由に学ぶためのスタートです。ぜひ、入学後の充実した毎日を目指して、今を大切にしながら小さな努力を積み重ねてほしいと思います。努力の積み重ねは、あとになって必ず報われ、人生を豊かで輝かしいものにしてくれますから、頑張ってください。

(取材日:2026年4月)

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