更新日:2026年05月21日

日本列島はどのように形成された?
地上から海底まで、「地震」と「地形」の過去に迫る

富山大学 都市デザイン学部 地球システム科学科 准教授
立石 良 先生


地震が形づくる地形を読み解く

私の研究は、「地震によって地形がどのように変化するのかを明らかにすること」そして「その背景にある活断層の動きを明らかにすること」です。たとえば2024年の能登半島地震では海岸が大きく隆起し、海底にも断層や地形の変化が生じました。私は現地で海岸を観察し、水中ドローンで海底を直接調べることで、地震による地形変化をとらえています。陸上だけでなく海底まで調べるのは、断層の全体像に迫るためです。また、現在起きている地形変化だけでなく、古い地形や地層も調べています。そうすることで、今回のような地震が長い時間の中でどのように繰り返され、地域の地形がどのように形成されてきたのかを考えることができます。
地震は大きな災害をもたらしますが、同時に、日本列島の地形そのものを形づくってきた重要な現象でもあります。こうした調査・研究は、将来の防災・減災にも役立ちます。私が地震や活断層への関心を深めたのは、2011年の東北地方太平洋沖地震が大きなきっかけでした。民間の地質調査会社に勤務していた当時、巨大地震と津波の被害を目の当たりにして「自分にも何かできるはずだ」と感じたのです。そこから、地震・津波・活断層について学びを深めるようになり、現在の研究へとつながっていきました。現地観察を重視しながらデータをもとに考えるスタイルが、今の研究の土台です。

予想を裏切られることも、研究の大きな魅力

私たちの研究の魅力は、目の前の地形や地質から「過去に何が起きたのか」を読み解くところにあります。今見えている風景は、地震・波・地殻変動など、さまざまな自然現象が長い時間をかけて積み重なった結果です。私たちはそれを観察・分析し、それまでの知識や経験を総動員しながら、その場所で何が起きてきたのかを考えていきます。私はこの過程そのものが、とても面白いと感じています。
観察や分析の結果が、自分の予想と違うこともあります。ある説明でうまくいったと思っても、別の現象とのつながりがうまく説明できないこともあります。そうした難題に向き合う中で、ものの見方を少し変えると、バラバラだった現象が一つにつながる瞬間があります。実際に現場を見ることで、これまでの考え方が大きく変わることもありました。こうした発見に大きな魅力を感じます。

「なぜ?」から生まれる発想を大切に

私の原点は、「なぜこの場所はこういう形をしているのだろう?」と考える好奇心でした。学問に向き合う姿勢として大切にしてほしいのは、「なぜだろう?」と考えること、そして自分の頭で考えることです。特に私の分野では、すぐに答えが出るとは限りません。だからこそ、先入観だけで判断せず、まずよく観察し、根拠を大切にしながら考える姿勢がとても重要です。特別な知識を最初から持っている必要はありません。自分なりの興味や視点を持ち、それを大切にすることで人とは異なる視点や発想が生まれます。学問の世界では、そうした「人と少し違う見方」が、新しい発見や進歩につながることが少なくありません。

立石先生からのメッセージ

高校・大学は知識を身につけるだけでなく、自分なりの興味や人生の楽しみ方を見つける時期でもあります。大学受験の学習で身につくのは、基礎を積み重ねる力、分からないことを整理して理解する力、目標に向かって継続する力です。大学では正解がすぐに用意されない問題に向き合う場面が増えますが、受験勉強で培った基礎学力と粘り強さが大きな支えになります。受験では結果ばかりが気になりますが、自分で考えて自主的に取り組んだ経験は無駄になりません。たとえすぐ結果につながらなくても、その積み重ねは必ず力になります。大学受験はゴールではなく、人生の通過点の一つです。結果だけでなく、そこに向かって努力した過程を大切にしてください。今の努力はきっと未来につながっています。自分を信じて最後まで前向きに頑張ってください。

(取材日:2026年3月)

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