データを武器に社会を変革!
あらゆる課題の解決に挑む、AI研究の最前線

関西大学 ビジネスデータサイエンス学部 教授
鷲尾 隆 先生


社会インフラや企業の業務効率を最適化

私は、AIにデータを学ばせる機械学習や、考えさせる自動推論の原理に関する基礎研究と、その成果を産業界のビジネスに生かす応用研究を行っています。皆さんもご存知のとおり、AIは画像の生成や自動翻訳から、自動運転やロボット制御まで多岐にわたる問題を解きますが、私が特に取り組んできたのは、発電所や工場、鉄道、宅配便運送など、社会インフラや企業の業務効率を最大化する「最適化アルゴリズム」や、その不具合の原因を探る「異常診断アルゴリズム」、問題発生を未然に防ぐ「設計・計画アルゴリズム」です。最近は生成AIがこれらを考えることも可能になってきましたが、その生成AI自身の性能を最適化し、より良く運用するためにも、こうした研究成果は欠かせません。また、これらのアルゴリズムは社会や産業界の様々な問題を解決するのに必要であるため、多くの企業や政府関係組織との共同研究も行っています。

あらゆる課題を解決する「汎用型の学問」

多くの学問は、人体や病気の仕組みを解く医学や、数と抽象的な関係を解く数学のように、特定の領域に特化した「領域特化型の学問」です。しかし、AIの研究開発は多様な問題を解くことができる「汎用型の学問」と呼ばれます。機械学習や自動推論の研究成果がAIの能力を高めれば、より幅広い問題の高度な解決が可能になります。すでに最新の生成AIは人間の能力を超え始めており、数学者が解けなかった証明問題を解いたり、新しい材料を開発したり、ビジネスの新しい企画を考えたりすることが可能になっています。こうした研究成果が社会や産業の隅々に生かされる可能性を持っていること。それがAI研究の最大の魅力であり、面白さ、やりがいだと言えます。

70年近い研究の歴史をもつAI

近年、急速に実用化が進んだAIは、新しい技術だと思われがちですが、実は「AI」という言葉が1956年に米国で開催されたダートマス会議で初めて使われてから、70年近い研究の歴史を持っています。「ローマは1日にしてならず」という諺の通り、長い間の膨大な研究努力の蓄積の上に今のAIが生まれてきました。皆さんの受験勉強の成果と同じですね。私が大学生だった1980年代には、すでに機械学習や自動推論の研究が本格化していました。4年生の時に所属した研究室では「発電所の故障を診断する研究」に取り組んでおり、その解決手段を調べていた際にAIを知ったのが興味を持ったきっかけです。大規模で複雑な発電所では、人間だけで短時間に正確な故障原因を追究するのは困難です。そこをコンピュータに診断させるために、当時発展途上だったAIが使えると考えたのです。

「協働」と「考動」の経験が未来を変える

関西大学ビジネスデータサイエンス学部が求めるのは、「データを通して社会を洞察し、ビジネスに生かして課題克服と社会変革を起こせる人材」です。知識の暗記にとどまらず、社会や組織の仕組みを広く理解しようとする姿勢や、自分を常にアップデートし続ける成長意欲を期待します。また、実社会の課題解決で不可欠になるのが「多様性を尊重したチームワーク力」と「考動(考えて動く)力」です。高校時代には、部活動や学校行事などで多様な仲間と協働し、主体的に動く経験を積んでください。
さらに、ニュースに関心を持って問題の背景を論理的に考える癖をつけることも大切です。もちろん、文理それぞれの基礎学力の修得も忘れないでください。必ずしも「万能」を目指す必要はありません。文系の生徒が入学後に数学を基礎から学び直す環境も整っていますので、個性を生かし、得意な科目の基礎を固めて、将来の成長へ繋げてほしいと思います。

受験で培う「プロジェクトマネジメント」は一生の武器

日本の大学受験は知識の暗記に偏っていると批判されることもありますが、その学習内容は、人生を支える強固な土台になります。
まず、英語の読解力や数学の論理的思考力といった「知識の基盤」は、大学での論文読解やデータ分析、レポート執筆に直結します。次に、志望校合格から逆算して計画を立て、模試の結果を受けて軌道修正していく過程は、社会人の「プロジェクトマネジメント」そのものです。やり抜く継続力や情報処理能力は、一生の武器になる「汎用的なスキル」です。
さらに、受験期に学んだ歴史や文学、科学の知識は、社会に出てから世界と他者を理解するための想像力の源泉となります。受験勉強は単なる暗記ではなく、生涯にわたり皆さんの思考や行動を支える基盤になるのです。

鷲尾先生からのメッセージ

受験期は、基礎勉強の徹底と心身の健康維持がすべての基本です。周りと比べず、自分の昨日からの成長に集中する心構えを大切にしてください。特に関西大学ビジネスデータサイエンス学部を目指すなら、文理の枠にとらわれない柔軟な思考が重要です。基礎力の習得に向き合い、社会やビジネスの仕組みに旺盛な好奇心を持つことが、合格と入学後の大きな力になります。受験勉強は決して孤独な戦いではなく、未来の社会を共につくる仲間と出会うための第一歩です。データを武器に、ビジネスと社会に新たな変化を起こす主役はあなたです。熱い教授陣と最先端のキャンパスが、あなたの挑戦を待っています。未来を切り拓く力を、ここで一緒に身につけましょう。

(取材日:2026年6月)

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