語学 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本

語学

どんな学問?

異文化コミュニケーションの
スペシャリストを目指せ!

異文化コミュニケーションのイメージ画像!「語学」とは、言語を研究し、習得する学問です。言語の習得とは、「話す・聞く・読む・書く」という4つの力を身につけることを指します。しかし、それだけでは、本当のコミュニケーション能力を身につけたことにはなりません。国が違えば話される言語も違うように、それぞれの土地には独自の文化や習慣があります。
例えば、日本人は人を呼ぶときに手招きをしますが、欧米ではこのしぐさは「向こうに行ってください」「さようなら」という意味になってしまいます。このように、日本では当たり前のことが外国では通じないというのは決して珍しいことではありません。そうした文化の違いを認め合って初めて意思の疎通ができるのです。そのため語学を学ぶ場合は、言語そのものはもちろん、その言語圏の文化までが研究対象となります。

1.外国語学

「外国語学」は国際社会におけるコミュニケーションのスペシャリストとなることを目指す学問です。英語や中国語だけではなく、ポルトガル語やスワヒリ語など普段の生活ではあまり馴染みのない言語を学ぶこともできます。大学で学ぶことのできる主な言語の特徴を見ていきましょう。

●英語

大学受験と切っても切り離せない英語は、第二外国語として習得している人も含め、世界中で18億人近くの話者がいると言われています。将来、海外で活躍したいと考えている人には必須の言語となるでしょう。

●ドイツ語

ドイツ語は英語と同じ系統の言語です。似た単語も多いので、みなさんにとっては学びやすい言語ではないでしょうか。英語との違いは、「ä・ö・ü・ß」という文字も使うことや、名詞に文法上の性(男性・女性・中性)があるところなどです。「カルテ」や「アルバイト」など、ドイツ語に由来する日本語も数多くあります。

●フランス語

「世界で最も美しい響きの言語」と称されることもあるフランス語は、カナダやスイスの一部、ベルギー、アフリカの国々など多くの地域で公用語・共通語として用いられています。国際連合やIOC(国際オリンピック委員会)の公用語の1つにもなっています。

●中国語

中国語は母語として話す人が世界で最も多く、その数12億人ほど。「世界人口の5人に1人」と言われています。中国語は漢字で表示されるので一見、日本人にとって親しみやすい言語なのですが、声調(声の高さ・低さ)によって言葉の意味が異なるなど、日本語と大きく異なる点も数多くあります。また、ひとくちに中国語と言っても、中国国内の南部と北部では言葉が通じないほど方言が多いため、通常は共通語とも言える「標準語(普通語)」を学びます。

●スペイン語

スペイン語は中南米(ブラジルを除く)でも広く使われ、国連の公用語の1つでもありますので、使用する機会は多岐にわたるでしょう。男性名詞と女性名詞がありますが、規則が決まっているので他の言語より識別は容易と言われています。発音が日本のローマ字読みに非常に近いので、日本人にとっては比較的勉強しやすい言語でしょう。

2.日本語学(国語学)

私たちは普段、当たり前のように日本語を使って会話をしたり文章を書いたりしていますね。しかし、本当に日本語を理解しているかというと疑問が残ります。「日本語学」は、文法・語彙・音声・文字・方言などの切り口から、日本語の歴史や特徴を理解しようとする学問です。例えば、高校で勉強する古文がどうやってみなさんの使っている現代語になっていったのか、「鳥は飛ぶ」と「鳥が飛ぶ」はどのように違うかなどといったことも研究します。また、外国人に対する日本語教育について研究するコースを設置している大学もあります。

3.言語学

世界には7000種類もの言語があると言われています。しかしポルトガル語やスペイン語などは同じラテン語から派生した言語(ロマンス語)で、実際は東京弁と大阪弁ほどの差しかないそうです。では、どうしてそのような違いが生まれたのでしょうか?言語と方言とは何が違うのでしょうか?「言語学」ではそうした言語全般の定義や歴史など、言語そのものを研究していきます。

専門用語を知ってるかな?

外国語副作用

外国語を使用するときは、脳内で言語処理を行うため、母語を使用するときと比べて思考力や判断力が低下してしまうこと。例えば「Always picture yourself succeeding.」という英文を訳すのは簡単ですが、英語を母語とする人に比べたら理解力はどうしても劣ってしまいます。逆に「常に成功をイメージせよ」と日本語で言われた方が、日本人にとって、はるかに理解しやすいですよね。

ポリティカル・コレクトネス

「看護婦」「保母」という職業名は「看護師」「保育士」と呼ばれるようになっていますよね。このように言語に性別による偏見をもたせないことをポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい)と言います。多民族国家では、性別だけではなく人種や宗教にも配慮されています。しかし、一方では言葉にまでそういった規制をかけるのは行き過ぎという意見もあります。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

大学4年間で外国語が話せるようになるんですか?

A.

外国語学部では1年生から徹底したカリキュラムで語学習得を目指します。少人数制の授業で先生は外国人というところがほとんどなので、現地でも十分通用するレベルで勉強ができます。また外国の大学と提携を結び「交換留学制度」を設けている大学が多くあります。そういった制度を積極的に利用している人は、やはり言語習得が早いようです。なかには2年生のうちに現地の新聞を辞書なしで読めるようになる人もいるので、言語習得は努力次第なのでしょう。

Q.

外国語学部は帰国子女や留学生ばかりで、レベルが高いのでは?

A.

そういった心配の声はよく聞きます。しかし、英語学科の場合は「習熟度別授業」を導入している大学も多く、高校の復習から勉強できる場合がほとんどなので、安心して入学できます。また、ドイツ語やフランス語など初めて勉強する人が多い学科では全員基礎からスタートする大学がほとんどです。言語習得に一番必要なのは「きっかけ」と言われています。「将来は世界を舞台に活躍したい」「映画を字幕なしで観てみたい」など、自分の言葉でコミュニケーションをとりたいという気持ちがあれば、充実した学習ができるでしょう。

Q.

英語以外の言語を学んでみたいけれど、何がよいでしょうか?

A.

一般的には、使用人口の多さや今後の経済発展への期待から、中国語の人気が高まっています。学習者の少ない言語を習得すれば、活躍のチャンスも増えるでしょう。「なんとなく響きが好き」という理由で選んでもよいかもしれませんね。ここでは、代表的な言語の「こんにちは」を紹介します。

世界の『こんにちは』

ひとことコラム

英語を使う人の78%はノンネイティブ!

英語を話す人は世界中で約18億人いると言われていますが、その中でネイティブ(母国語として英語を使う人)は4億人ほどと言われています。つまり、英語を話す人たちの約78%はノンネイティブということになるんです。
この事実を知ると少し気持ちが楽になりませんか?日本人は完璧主義なところがあって、何年も英語の勉強をしているにも関わらず「上手く話せなかったら恥ずかしい」「間違った文法を使ったら恥ずかしい」と感じてなかなか話せない人がいます。しかし、大切なのはコミュニケーションやそこから生まれるものであって、言語はそのための「道具」です。英語を身につけることがゴールではないのです。皆さんも間違うことを恐れず、外国語を使ってどんどん世界を広げてください。

英語を使う人の78%はノンネイティブ!

こんな研究もあるよ

言語の”血液型”

地球上には、現在7000種類の言語が存在すると言われます。言語の“血液型”とも言える「主語(S)、目的語(O)、動詞(V)の語順」など、言語間の類似点や相違点に注目し、多様な言語のなかに見られる様々な規則性を明らかにするのが「言語類型論」という言語学の研究分野です。こういった研究を通して数々の興味深い事実が明らかになってきました。
日本語や韓国語、朝鮮語のように「私はりんごを食べた」、つまり〈主語+目的語+動詞〉の語順をもつ言語を「SOV型言語」と呼びます。このタイプの言語が世界で最も多く、全言語の約半数を占めます。2番目に多いのが英語や中国語のように〈主語+動詞+目的語〉を基本語順とする「SVO型言語」で、世界の言語の約4割が該当します。残りの約1割は〈動詞+主語+目的語〉の語順をとる「VSO型言語」です。また、「VOS型言語」「OSV型言語」も少数ながら発見されています。

語順の種類と言語例

卒業後の主な進路

語学を活かして世界中で活躍のチャンス!

卒業後は、一般企業に就職する人が多数です。主な分野としては、マスコミや商社、金融、研究機関など国内外を問わず活躍できるフィールドは広いでしょう。外交官を志望する人が多いのも外国語学部の特徴です。なかには実際に働いている職員を招き、職業説明会を開催する大学もあるようです。習得した言語を活かして専門語学の言語圏で就職する人もいます。NGO(非政府組織)や非営利団体などで働く人も少なくありません。そうした進路を目指す人たちの間では、現地での就業体験(インターンシップ)を経験するケースが多いようです。習得した言語を教える仕事に就いたり、より深い研究をするため、国内外を問わず大学院に進学する人も増えてきています。

Interview

「生きている言葉を研究する」

京都外国語大学名誉教授赤野一郎先生

京都外国語大学
名誉教授
赤野 一郎先生

「受験英語」という特別な英語はない

今、みなさんが大学受験のために勉強している英語は、“実際にはあまり使われていない英語”、“堅い英語”と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし最近の大学入試では珍問・難問はほとんどなく、むしろ極めて自然な普通の現代英語の入試問題になっています。つまり現在みなさんが勉強している英語は、実は今バリバリ使われている英語なんです!受験で英語をしっかり勉強してきた学生は、仕事などで英語を使う環境に出合ったとき、最初は苦労すると思いますが絶対にやっていけます。また、単語には決まったつながりがあります。ですから、みなさんはコロケーション(よく使われる組み合わせ)として単語を覚えることが重要なのです。例えば「傘」は英語で何と言いますか?“umbrella”ですよね。「傘」といったら絶対に言いたい表現は?「傘をさす」です。では「傘をさす」は英語で何と言う?大学生でもまず言えないですね。答えは“put up my umbllera”です。このようにフレーズで覚えることによって“使える英語”が身につくのです。

“辞書の編纂(へんさん)”を仕事にする

「コーパス」とは生きている言語、つまりその言語が実際に使われている用例を集め、データ化したものです。「コーパス言語学」とはそのデータを使って、その言葉が実際にどのように使用されているかを明らかにする学問なのです。
「コーパス言語学」で得られたデータは、辞書の編纂(へんさん)に応用することができます。以前の英語辞書には、不自然な例文や実際にはあまり使われていない例文が載っていることも多々ありました。しかしコーパスによって、ネイティブスピーカーが自然に使う表現を利用することが可能になったのです。私は辞書の編纂という仕事をするなかで、従来知られていなかったことや貴重な情報を新しく発見したとき、そういうことを辞書に1行でも書き込めたとき、研究の面白さを感じますね。

辞書の奥深さ

みなさんには、辞書に対する認識を深めて自分に合った辞書を選んでほしいと思っています。語数が多い方がよい辞書かというと、実はそうではないのです。高校生のみなさんならまず5万語くらいの辞書からスタートし、自分の英語レベルに合わせて買い換えていくのがよいでしょう。そして辞書はどれだけ速く引けるかではなく、きちんと正しく使えているかがポイントです。辞書を引いたとき、一番上の意味しか見ない人もいますが、辞書にも違いがあって、意味を発生順に書いているものと頻度順に書いているものがあります。例えば“press”という単語。発生順でいうと“押す”→“印刷機”→“新聞”、“記者会見”ですが、頻度順でいうと全く逆になり“、新聞”や“報道関係”という意味が実際に最もよく使われているのです

赤野先生からのメッセージ

大学に行くことの大きな意味の1つに、自分が影響を受ける先生や友人に出会えるということがあります。そのチャンスは待っていてはダメで、自分から掴み取ることが必要です。大学を名前で決めるのではなく、好奇心をもって徹底的にやりたいことを追求して、自分の目的を一番実現できる大学・学部・学科に入ってほしいと思います。

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