薬用植物の品種改良という視点から薬学の発展を目指す
山口東京理科大学 薬学部 教授
田中 宏幸 先生
今ある薬に焦点をあてて
薬学部というと薬の開発をしているイメージがありますが、それだけではありません。最近では今ある薬をよりよくする研究や、より適切に使用する研究も注目されています。私は、薬の原料であり健康食品の材料でもある“薬用 植物の品質をいかに高めるか”という研究をしています。そして、よりよい薬用植物を、より多く、より低コストで生産し、世界中の人に活用してもらうことを目標としています。私の研究対象の1つに、「甘草(かんぞう)」という植物があります。この甘草に含まれる「グリチルリチン」という成分には、抗アレルギー作用があります。甘草を薬として使うためには2.5%以上のグリチルリチンが必要であることから、甘草の品質を評価する指標にもなっています。つまり、より多くのグリチルリチンを含む甘草をピックアップして品種改良することで、より確実に優良(グリチルリチンを多く含む)な甘草が得られるようになるのです。また、グリチルリチンの多さは見た目ではわからないので、効率的で確実に、環境にやさしいシステムで含有量を調べる方法の確立にも力を入れています。そしてその方法が一般的に利用されるようになるとよいと思います。
古来の薬草も研究対象
世界には約3万種類の植物があり、その10%が薬草と言われています。そして太古の昔から薬草の発見は偶然の産物です。昔、ある人がおいしそうだと思ってある植物を食べて倒れた、そこからその植物には毒性があることがわかります。逆にある植物を食べて風邪が治れば、そこから薬が作られていったのです。例えば「ケシ」は数千年前から鎮痛剤として使用されていました。また、「ティーツリー」という池のそばにある植物は、そこで泳いでいたら傷がよくなったという伝説があり、今では抗菌やデオドラントに利用されています。また薬草であっても、たくさん摂りすぎて悪い効果が出れば、そこから副作用や使用方法の存在があるということがわかり、これが経験として蓄積されてきたのです。
薬学部から開ける可能性
薬学部は将来の職業の選択肢が多い学問だと思います。例えば、高齢化社会でニーズの高まる薬剤師や研究員、アドバイスをすることによって薬の価値を高める薬品の営業や販売員が挙げられます。また薬学部の研究では、他のどの研究者も専攻したことのない研究に取り組むこともあります。それは小さなことかもしれませんが、世界初なのです。そしてそれは自分の手で結果を出せることであり、同時に将来大きなことにつながるかもしれないことなのです。そういう夢をもって研究や仕事ができるのは、素敵なことだと思います。
田中先生からのメッセージ
独創的な結果を出そうとするとき、アイデアを実現するとき、そのベースになるのは基礎的な知識です。先人が蓄えてきたアイデアや結果を幅広く吸収し、十分に自分のものにしていくことが大切です。今は、ただひたすら覚えるという勉強が楽しくないかもしれませんが、その努力は必ず夢につながるので、前向きにがんばってほしいと思います。
山口東京理科大学 薬学部
https://www.socu.ac.jp/departments/pharmacy.html
山口東京理科大学 田中 宏幸先生
https://www.socu.ac.jp/departments/faculty/hiroyuki-tanaka.html









