建築学・土木工学 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本

工学建築学・土木工学

どんな学問?

安全で快適な街・空間をつくる

安全で快適な街・空間をつくるのイメージ画像!建築学は主に「建物」を、土木工学は道路・鉄道・橋・トンネル・ダム・発電所・下水道などの「構造物」を扱います。それぞれの概要を見ていきましょう。

1. 建築学

●計画・設計

まずは建築に関する歴史「建築史」を学び、それに基づいて建物の設計・管理・維持を考えていきます。ただ建物を作るだけではなく、高齢者にもやさしい建物、歴史や風土に合った建物などを研究します。また、研究対象は「都市」にまで広がることもあります。建築デザインやインテリアデザインもこの分野に含まれます。

●構造

建物の安全性・耐久性・快適性を研究します。具体的には骨組みなどの構造や、木材・コンクリートなどの材料について学びます。地震大国の日本では、耐震・免震構造(参照)の研究も盛んで、その技術は世界でもトップクラスです。

●環境

建物の「環境」、具体的には空調設備・給排水設備・電気設備・防音設備・防災設備など建物の「設備」を中心に研究します。環境問題が深刻化した現代では、環境にやさしい設備を開発することも重要視されています。

2. 土木工学

道路・ダム・発電所など私たちの生活基盤となる構造物の計画・設計・建設・管理・維持について学びます。
自然のしくみを学ぶ水理学・土質力学・地盤力学、材料について学ぶコンクリート工学・鋼構造学・セメント化学、災害について学ぶ地震工学・防災工学、計画や設計の方法について学ぶ交通計画・都市計画・土木設計学などがあります。大学の授業では、講義と並行して製図や測量などの実習も行います。空間デザインや都市デザインといったデザイン要素も含みます。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

どのような人が建築学・土木工学に向いていますか?

A.

ものを作るのが好きな人、何かを形にしたいと思っている人に向いています。製図作業も不可欠なので細かい作業が得意な人もその能力を活かせますし、物理が得意な人も建物や構造物の計画・設計・建設などその知識を活かせます。また、デザインや芸術に興味がある人も活かせる分野があるでしょう。

Q.

パソコンを使えなくてはだめですか? 買わないとだめですか?

A.

多くの大学では1・2年生でパソコンの授業が設置されているため、入学時にパソコンの知識や技術がなくても問題ありません。また大学には充実したパソコン設備があり、学生が自由に使うことができます。
ただし大学での勉強を考えても、将来、建築・土木業界で働くことを考えても、いずれは自分専用のパソコンを購入するべきです。大学である程度パソコンの機能や使い方を覚えてから、自分に合ったパソコンを買うようにしましょう。ちなみにWindowsとMac、どちらがよい、どちらにしなければいけないということはありません。最近は相互間でファイルのやりとりがスムーズにできるようになっているので、自分の使いやすい方を選ぶとよいでしょう。

専門用語を知ってるかな?

CAD

人間が作成した設計を支援するソフトウェアのこと。Computer Aided Designの略で、「キャド」と呼ばれます。効率的で正確、繰り返しの作業に便利などの利点があり、建築分野の可能性を広げるツールとして需要が高まっています。
建築分野で使用されるCADを特に建築用CADと呼びますが、他にも機械用や電気用など分野によって数種類のCADがあり、建築用CADも開発元によって様々な種類があります。CAD利用技術者試験という資格もありますが、CADを使う際に必須の資格というわけではなく、エクセル検定やワード検定のようなものです。大学ではCAD演習というようなCADを使いこなす力をつけるための授業が設置されており、必修の場合が多いようです。

LCA(ライフサイクルアセスメント)

ものが製造されてから廃棄されるまでの、地球環境への負担を明らかにする方法。建築学分野で言えば、建物が建てられ、時を経て解体されるまでの過程のなかで、どれだけのエネルギーが使われ、どのくらいの廃棄物が出るのか、建築資材のリサイクルはできるのか、といったことが検討されます。

インフラ

みなさんもテレビのニュースで「交通インフラ」「インフラ建設」などという言葉をよく聞くのではないでしょうか。インフラとはインフラストラクチャー(infrastructure)の略で、社会基盤のことです。具体的には道路・鉄道・電気・河川・ダム・下水道、生活の基盤となる学校・病院・駅・公園などの施設も含まれます。

耐震構造/免震構造/制震構造

耐震構造は「地震の揺れに耐える構造」。柱を太く壁を厚くすることで建物を強くし、地震エネルギーを受けても壊れないように設計されています。日本の建造物の多くは、この耐震構造です。免震構造は「地震の揺れを回避する構造」。建物と土台との間に「免震層」を造ることで、地震エネルギーが建物に伝わりにくくなるように設計されています。主に高層ビルに利用されています。制震構造は「地震の揺れを吸収する構造」。地震エネルギーを吸収する制震壁などを入れて、建物の揺れを小さくする構造です。特に高層階の揺れに効果を発揮し、免震構造よりも低コストで設計することができます。

こんな研究もあるよ

世界で注目される日本の建築・土木技術

建設ラッシュが落ち着いた今、新しく注目されている技術を紹介します。

●建物を維持するための技術 ――「橋に触らずに点検する技術」

日本企業が開発したこの技術は、2つの手法を用います。1つは高解像度カメラで橋の表面を撮影し、ひび割れを検出する手法。通常は人間の目で行う目視検査にあたります。もう1つは赤外線カメラで橋の表面温度を計測し、浮きや剥(はく)離を検知する手法。こちらはハンマーでたたいた音から判断する打音検査にあたります。点検が難しい海上橋などにも活用できるこの技術は、構造物の劣化問題が深刻化している海外の先進国からも注目されています。

●古い建物を解体する技術 ――「テコレップシステム」

従来のように重機を用いて建物を壊すのではなく、建物の上から1フロアずつ解体していく技法。日本の建設会社が開発した解体技法で、「ビルが縮んでいくように見える」と話題になりました。この技術により、騒音・振動、解体物の落下、粉塵の飛散、高所作業の危険性などを抑えることができます。超高層ビルが密集して立ち並ぶ現代において、世界中から注目されている技術です。

卒業後の主な進路

建築業界で様々な可能性が広がる

半数以上の学生が大学院に進学していますが、学部卒業生でも住宅・建造物の施工管理やハウスメーカーの設計部など、建設業界の様々な分野に進むことができます。ただし、官公庁や建設会社の研究職は、大学院卒業生が多数を占めています。また、大学によっては大学院と合わせた6年制カリキュラムを選択できるところもあり、今後ますます普及する可能性があります。
建築学系は、工学部の中では女性の割合が高く、大学卒業後は建築士やインテリアプランナーとして活躍している女性が多いのも特徴と言えるでしょう。

ひとことコラム

創業 1400 年の老舗(しにせ)

みなさんは、現存する世界最古の木造建築物は何か知っていますか?答えはもちろん日本の法隆寺です。607年に聖徳太子が建立したことは非常に有名です。また593年には、四天王寺というお寺が創建されています。
その法隆寺や四天王寺の創建に携わった組織が、なんと現在も存在します。578年に創業して以来、現在も日本の建設会社として、寺社や仏閣の設計・施行、文化財の復元・修理を行っているのです。
それ以外にも日本に存在する建設会社は古いものが多く、戦国時代や江戸時代に創業した企業もあります。先述した建設会社では釘を使わない伝統の工法を守り通していますが、こうした古くからの伝統と最新のテクノロジーの融合も、建築学の面白さと言えます。

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