「生きている言葉を研究する」
京都外国語大学 名誉教授
赤野 一郎 先生
「受験英語」という特別な英語はない
今、みなさんが大学受験のために勉強している英語は、“実際にはあまり使われていない英語”、“堅い英語”と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし最近の大学入試では珍問・難問はほとんどなく、むしろ極めて自然な普通の現代英語の入試問題になっています。つまり現在みなさんが勉強している英語は、実は今バリバリ使われている英語なんです!受験で英語をしっかり勉強してきた学生は、仕事などで英語を使う環境に出合ったとき、最初は苦労すると思いますが絶対にやっていけます。また、単語には決まったつながりがあります。ですから、みなさんはコロケーション(よく使われる組み合わせ)として単語を覚えることが重要なのです。例えば「傘」は英語で何と言いますか?“umbrella”ですよね。「傘」といったら絶対に言いたい表現は?「傘をさす」です。では「傘をさす」は英語で何と言う?大学生でもまず言えないですね。答えは“put up my umbllera”です。このようにフレーズで覚えることによって“使える英語”が身につくのです。
“辞書の編纂(へんさん)”を仕事にする
「コーパス」とは生きている言語、つまりその言語が実際に使われている用例を集め、データ化したものです。「コーパス言語学」とはそのデータを使って、その言葉が実際にどのように使用されているかを明らかにする学問なのです。
「コーパス言語学」で得られたデータは、辞書の編纂(へんさん)に応用することができます。以前の英語辞書には、不自然な例文や実際にはあまり使われていない例文が載っていることも多々ありました。しかしコーパスによって、ネイティブスピーカーが自然に使う表現を利用することが可能になったのです。私は辞書の編纂という仕事をするなかで、従来知られていなかったことや貴重な情報を新しく発見したとき、そういうことを辞書に1行でも書き込めたとき、研究の面白さを感じますね。
辞書の奥深さ
みなさんには、辞書に対する認識を深めて自分に合った辞書を選んでほしいと思っています。語数が多い方がよい辞書かというと、実はそうではないのです。高校生のみなさんならまず5万語くらいの辞書からスタートし、自分の英語レベルに合わせて買い換えていくのがよいでしょう。そして辞書はどれだけ速く引けるかではなく、きちんと正しく使えているかがポイントです。辞書を引いたとき、一番上の意味しか見ない人もいますが、辞書にも違いがあって、意味を発生順に書いているものと頻度順に書いているものがあります。例えば“press”という単語。発生順でいうと“押す”→“印刷機”→“新聞”、“記者会見”ですが、頻度順でいうと全く逆になり“、新聞”や“報道関係”という意味が実際に最もよく使われているのです
赤野先生からのメッセージ
大学に行くことの大きな意味の1つに、自分が影響を受ける先生や友人に出会えるということがあります。そのチャンスは待っていてはダメで、自分から掴み取ることが必要です。大学を名前で決めるのではなく、好奇心をもって徹底的にやりたいことを追求して、自分の目的を一番実現できる大学・学部・学科に入ってほしいと思います。










