「愛情」で隠された家庭内の不平等をなくせ!
データ分析で家族のリアルに迫る社会学
日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 教授
永井 暁子 先生
「愛する家族のため」が生み出す不平等
私の専門は「家族社会学」です。主に家事分担や家庭内の支出配分など、家庭内の不平等について研究してきました。また、結婚や離婚がどのような要因によって生じやすいか、離婚が子どもに与える影響なども分析しています。愛情が前提とされている「家族」という集団が、誰かの犠牲によって成り立っているのではないか、あるいは家族の中でどのように不平等が生じているのか、組織それをなくしていくためには何が必要なのかを考えています。
研究テーマと同様に重要なのが「研究方法」です。様々な研究方法がある中で、私は社会調査データを作り、それを用いた「計量分析(統計などを使って数値的に分析すること)」という手法をとっています。
なぜ友達のお父さんは家事をしないのか?
研究の原点は、小学生時代の素朴な疑問
私が現在の研究に興味を持ったきっかけは、小学生の時に感じた素朴な疑問でした。自分の父親は家事をするのに、友達の父親は家事をしていないのはなぜだろう。「どういう理屈によって、家庭内で家事をしないということが許されるのだろう」と不思議に思ったのです。
また、私は本を読むのは好きでしたが、文章を書くのはあまり得意ではありませんでした。一方で数学が好きだったため、文章だけで社会の課題を論じるよりも、計算や数字を扱う社会調査やデータ分析のアプローチで研究をしたいと思うようになりました。
不満や不遇を「データ」化し、社会に改善を訴える
私は問題をシンプルにして考えるタイプなので、自ら社会調査を行ってデータを作り、計量分析をするのは白黒がハッキリして楽しく感じます。
私の研究の関心は、女性や子供が抱える不満や不遇な状況といった、非常に身近なことにあります。そうした要因を理論化し、データ化して、統計的に明らかにすること。そして、その結果をもって社会に改善を訴える機会を持てることが、この研究の面白さであり、大きなやりがいになっています。
身近な世界に「アンテナ」を張ろう
私が大学でお迎えしたいのは、社会に関心を持ち、身近な世界で自分が感じた「不満」や「嫌悪感」、あるいは「幸福感」を自覚できる人です。身近な出来事は社会問題と結びついています。それを説明するための理論や分析方法、解決のための戦略は、大学で伝えていきますので、まずは自分の感覚に気づけることが大切です。これを「アンテナがある」と言いますが、そうしたアンテナを持った学生を求めています。
また、高校時代には何かをし続けられる「体力(持続力)」を少しずつ身につけて欲しいと思います。自分が好きなこと、自分のペースで続けられることを探して実践してください。それは大学での学びやその後の人生に必ず活きてくるはずです。
永井先生からのメッセージ
受験では、さほど得意ではない科目を勉強することもあるでしょう。しかし、関心がなかった分野でも、勉強するうちに面白い面が見えてくるものです。私自身、その経験が人生の中で大きな意味を持ちましたし、苦手なものに向き合う中で、良い本や先生を最初から拒絶せずに受け入れる態度も自然と身についたように思います。模試の結果で落ち込むこともあると思いますが、大学選びは偏差値だけでなく「相性」もあります。自分と相性のいい大学は必ずどこかにあります。4月に花開く明るい自分を想像して、もうしばらく頑張ってください。応援しています。









