グローバルなレベルで教育を考える
「国際バカロレアプログラム」って何!?

関西学院大学 教職教育研究センター 教授
遠藤 みゆき 先生


世界的に評価の高い学習
「国際バカロレアプログラム」とは

私は国際教育の代表として世界的に評価の高い「国際バカロレア (International Baccalaureate, 以下IB) プログラム」が学習をどう促進するかについて研究しています。 IBプログラムには、3歳から19歳までの児童生徒を対象に、4つのプログラムがあります。幼児教育を含む「初等教育プログラム」、「中等教育プログラム」、 高校2年生と3年生を対象にした「ディプロマプログラム」、そして同じく高校2年生と3年生を対象にして将来のキャリア形成に焦点を当てた「キャリア関連プログラム」です。どのプログラムも独自のプログラムモデルをもっていますが、IBの教育理念や指導の方法および学習の方法など教育の指針となるものは同じです。IBプログラムの指導の方法は6つ特定されていますが、私が特に興味をもっているのは、そのIB教育の根幹をなす6つそれぞれの方法と学びの促進との関係です。

「概念型探究」という新しい指導方法への研究に挑む

例えば探究と概念を中心にした指導方法について紹介しましょう。探究は日本でも多くの学校が取り入れていますし、現在の学習指導要領においてはその名を冠した科目も登場しました。多くの研究者がユニークな探究サイクルを提供しています。例えば、キャス・マードック(Kath Murdoch)の探究サイクルは、「生徒の動機付けを行う→調査する→整理する→深める→結論を出す→行動する」です。そしてその探究サイクルの中心に「振り返り」が位置付けられており、どの探究のフェーズにおいても振り返ることが求められています。また、ストリップリング(Stripling)の探究サイクルは、「既存知識や学習内容とつながる→仮説や問いを立てる→調査する→新しい理解を構築する→理解を表現したり新しい文脈に応用したりする→学習を振り返る」です。一方、IBの探究サイクルは、「探究、行動、振り返り」です。フェーズや用語は異なっていますが、「探究、行動、振り返り」のサイクルを繰り返しながら深い理解を構築させようとするところはよく似ています。探究には4つのタイプがあります。「構造化された探究」「導かれた探究」「オープンな探究」「発見学習」です。学年が高くなればなるほど児童生徒が自分たちで課題や探究方法を決められるようになりますが、それは一律に適用されるべきではありません。高学年の生徒でも「構造化された探究」が適している時があり、学習の目的によって使い分ける必要があります。
探究については多くの研究がなされてきていますが、「概念型探究」というのはまだ新しい研究領域です。概念型探究とは、探究で発見したことや振り返りを概念のレベルで理解し、それを異なる文脈に応用できるようになることを目指す指導方法です。そしてその理解をもとに、問題解決に向けて行動することまでを目指しています。私がIB研究で現在一番関心があるのは、この「概念型探究」の実践方法とその効果です。

従来型教育からグローバルなIB教育へのシフト
指導した生徒の成長が何よりも励みに

私は典型的ないわゆる従来の教育を受けてきました。教師になっても、身に染みついている従来の教育方法でしか指導できませんでした。ここから抜け出し、真に指導や学習の面白さを見つけられたのは、海外でIB教育に出会えたからです。身についたものを変えていくのは大変骨が折れることで、大きなマインドシフトと経験が必要でした。それでもIB教育を面白いと思い、のめり込み、やりがいを感じて携わり続けられているのは、指導した学習者の成長した姿が焼きついているからです。おどおどしていた学習者が多くの探究プロセスの中で様々な新鮮で斬新な発見をしながら、驚くほどの成長を遂げていきました。また、IB教育や概念型の教授法についての講演でお会いする参加者の皆様の熱意や真剣な学びのお姿にもやりがいを感じます。理解してその後それぞれの文脈で普及していってくださっているのを見ると、大変な嬉しさを覚えます。研究のためにIB認定校を訪問して授業を見学したり担当の先生方と話をしたりして、生徒さんの反応の良さや思考の深さを目にしてきました。その度に面白さを感じ、研究へのエネルギーをもらいます。

遠藤先生からのメッセージ

IB教育は現在の学習指導要領の方向性と深い親和性があります。私は平成29年~31年に改訂された学習指導要領を応援しています。ただ現場では、「概念型探究」の方向性にまではまだ辿り着いていないと思います。これ以上内容を増やすより、概念のレベルで内容を精選して転移できる指導方法にシフトしていくべきです。概念型探究は、学習者に深く創造的そして批判的に思考するスキルを獲得させながら、自立した学習者として育成することに大きく貢献します。
関西学院大学では、一般教職、IB教員養成プログラムの履修が可能です。教職を希望しグローバルなレベルで教育を考えたい優秀な学生が集まってきています。世界標準の教育について学びたい皆さん、キャンパスでお待ちしています!

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