数百年後も残るような研究を目指して、宇宙の謎に迫る
名古屋大学大学院 多元数理科学研究科/素粒子宇宙起源研究機構
白水 徹也 先生
ブラックホールは実在する?しない?
私は数学寄りの物理の研究を行っているのですが、この道に進んだきっかけは高1の物理の試験で0点を取って、慌てて教科書を開いたことなのです。そしたら意外に面白くて。現在は簡単に言うと重力波やブラックホールに関する研究をしています。例えば皆さんも知っているブラックホールは実は、存在するのか、どんな領域なのかも不明なのです。ブラックホールはあまりに重力が強いために、光すら出られない”星”です。つまり、見えないのです。ブラックホールの外側には光の閉じた軌道があって、私たちが現在観測で分かっているのはブラックホールの表面ではなくこの外側です。私が最近注目しているのはこの外側の時空についてで、軌道がある領域の面積はどうなっているのか?を一般相対性理論を用いて調べています。こういった研究と実際の観測を比較すると、「本当に一般相対性理論が正しいのか?」などが分かっていくわけです。こんなに有名なブラックホールが、実は専門的には確認できていないというのは面白いですよね。他にも、ブラックホールは丸いと言われているのですが、それを数学的に明らかにする研究などをしています。物理学の理論は時代とともに変わりますが、数学はずっと残るので、私は数学的な面に力点を置いて数百年後も残るような研究を目指しています。
重力波が宇宙の誕生を解明する!?
「物質が激しく変動する際、さざ波のように重力の波が伝わります。これが「重力波」で、重力波が通ると空間が歪み、時間の流れが変動します。地球の周辺でも空間は曲がっていて、地球の表面の時間の進み方とずっと上空での時間の進み方は違うのですよ。日常生活では地球の重力が弱いのでほとんど変化は見られませんが、上空の方が早く進むのです。ちなみに、ノーベル賞で話題になった重力波は、二つのブラックホールがぶつかって発生したと考えられています。
重力波は100年も前にアインシュタインが存在を予言していたのに、直接には見つかっていませんでした。それがやっと観測でき、しかもブラックホールから来たという点が話題を呼んだ一因です。重力がめちゃくちゃ強いブラックホールに対しても重力波を予言する一般相対性理論が成り立っている、というのが衝撃でした。重力波は宇宙の観測手段にも使えます。重力波は何でも貫通するのが良い点です。例えば、今の観測手段である光やニュートリノは物があると散乱などされます。目の前に人が立っていたら、その人の真後ろは見えないですよね。宇宙空間は今は膨張してスカスカだけど、昔はもっと小さく、今よりずっと物質が詰まっていたのですよ。なので、光では見える過去に限界がありました。今は宇宙のサイズが約千分の一だった頃までは見えますが、その先は見えない。しかし、重力波を使った観測が可能になることで、未知だった宇宙誕生が見えるかもしれないのです。
白水先生からのメッセージ
受験はベースを作る好機なので、私はそれなりに大切だと思っています。ただ、受験自体が目標なのではなく、大切なのはその先です。大学でも目標を持って勉強してください。あとは、やはり人との直接的なつながりは大事なので、SNSもいいけど、友達を大切にしてほしいですね。皆が同じ道を進む必要はないので、自分に合った道を探して頑張ってください。
名古屋大学大学院 多元数理科学研究科・理学部数理学科
https://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/
名古屋大学大学院 素粒子宇宙起源研究所
https://www.kmi.nagoya-u.ac.jp/









