大学教授
インタビュー

「数百年後も残るような
研究を目指して、宇宙の謎に迫る」

白水 徹也 先生Tetsuya Shiromizu

名古屋大学大学院 多元数理科学研究科 /
素粒子宇宙起源研究所 教授

白水 徹也 先生

ブラックホールは実在する? しない?

私は数学寄りの物理の研究を行っていますが、この道に進んだきっかけは高1の物理の試験で0点を取ったことです。このままでは卒業できないと思って慌てて教科書を開いたら、意外に面白くて。現在は、ブラックホールに関する研究を行っています。ブラックホールは重たい星が重力で潰れてできると考えられていますが、本当は何でできているかはわかっていません。2020年のノーベル物理学賞はブラックホールに関するもので、特にペンローズの受賞には大変驚きました。まずは自分の研究にとても近いものだったことと、これまでのノーベル賞では選考の対象外となるようなものだったからです。

ペンローズはブラックホールの理論予言の業績が評価されました。ブラックホールが形成されるほどに重力が強くなれば、その先に時空の端である時空の特異点が存在することを数学的に証明したのです。強い重力を表現するのに、ペンローズは捕捉面と呼ばれる光を一旦閉じ込める面の概念を考案しました。しかし、この面はブラックホールの中にあると考えられているため、観測はできません。そこで私たちは捕捉面に替わる観測可能な面の提案を行いました。

ブラックホールはアインシュタインの一般相対性理論からの帰結です。この理論はほぼほぼ正しいと考えられていますが、どこまで正しいか人類はまだ理解していません。時空の穴と言われるブラックホールは本当にあるのでしょうか。単に暗い星のような何かがあるだけかもしれません。ブラックホール自体は観測できませんが、できるだけ近くを調べることによって、一般相対性理論の正しさを検証することができます。私は観測可能な強い重力がある時空を数学的に調べています。

ブラックホールから広がる世界と謎

ブラックホールには不思議なことがたくさんあります。その中の一つがエントロピーと呼ばれる物体の情報を表す量です。通常物体のエントロピーはその体積に比例しますが、ブラックホールはその表面の面積に比例します。これはブラックホールの情報が表面に蓄積されていることを意味します。この観察から、一般相対性理論は物質の理論と等価である、という驚くべき予想が1998年に発表されました。これは根本的に物の見方を変えました。ブラックホールを通じて全ての事柄がわかるのですから。しかし、ブラックホールの内部についての理解は全く進んでいません。この問題は私たちの宇宙の誕生の謎にも関わる重要なものと考えられています。現在でもこの謎を解くべく多くの研究者が取りくんでいます。

メッセージメッセージ Message

受験はベースを作る好機なので、私はそれなりに大切だと思っています。ただ、受験自体が目標なのではなく、大切なのはその先です。大学でも目標を持って勉強してください。あとは、やはり人との直接的な繋がりは大事なので、SNSもいいけど、友達を大切にしてほしいですね。皆が同じ道を進む必要はないので、自分に合った道を探して頑張ってください。

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