日本史の正しい勉強法

日本史を学習するにあたって

日本史の正しい勉強法

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がありますが、日本史とは日本をつくってきた先人達の生き様の記録でもあります。そこには、国家の形成から維持、発展に向けて苦悩した為政者の試みや、産業や工業の発達に伴う経済、社会、文化の進展といった、まさに人間社会の歴史が綴られています。

では、大学入試で日本史を得意科目にしたい人はどうすればいいでしょうか? その答えの一つになるのは、歴史を暗記科目として無機的に覚えるのではなく、歴史を「物語」として有機的に理解しようとすることです。人間の脳は無機的な記号の羅列を覚えようとしてもなかなか覚えられませんが、そこに物語性が生まれると驚異的な記憶の力が働きます。「縄文土器ってなんでこんなに芸術的なんだろう?(紀元前3000年あたりの火炎土器を見てみてください)」「なぜ織田家の血縁ではない秀吉が信長の後継者になれたのだろう?(信長の子もいたはずです)」「日英同盟を結んでいたイギリスといつから対立してしまったのだろう?(日露戦争に勝てたのはイギリスの支援があったからでした)」こうした「なぜ? どうして?」を大切に、時には自分でWEBなどで調べながら学習を進めることで、日本史が面白くなっていくはずです。そして、どんな科目でも、面白くなってきたら、そのときはその科目が得意科目になっているでしょう。ですから、最初から暗記科目として用語の覚え込みだけをするのではなく、まずは歴史を楽しむ心をもって学習を進めていきましょう。

先輩の体験談先輩の体験談

北海道大学総合入試文系 くん僕は日頃から一つの用語に対して簡潔な説明をできるようにしながら勉強していまし た。参考書を使わなくても、ふとしたときに、この用語は説明できるっけ? 年代は?と確認し、言えなかったときにはその場で電子辞書を開くようにしていました。

大学入試の日本史ってどんなもの?

では、大学入試における日本史の最新事情を見ていきましょう。日本史の入試問題は大きく以下のタイプに分別することができます。自分の志望する大学の問題を知ることで、学習方法や対策の立て方も変わってきますので、まずは直接入試問題を見ることで、自分の目指すゴールをイメージできるようにしましょう。

タイプ 特徴
A:論述型 国公立に多い
B:語句記述/選択型・時代整序型・正誤判定型 私立や共通テストに多い
C:資料型 東大や共通テストに見られる

論述型

まず、Aの論述型から見ていきましょう。国公立大学の多くでは論述型の問題が出題されます。また、私立大学でも早稲田や慶應など、一部の学部で論述問題を出題する大学・学部があります。文字数は、短いものだと30~100字程度の語句説明になり、一文から三文程度で語句や内容を説明する形式が一般的です。次に多いのが200字程度の論述で、事象の経緯や意義なども含めた説明が求められることが多くなります。京大や阪大が200字論述を出す典型的な大学です。多い語数の大学だと、一題につき400字程度となります。一橋大学、筑波大学が400字論述を出す典型的な大学です。

問題例
「田沼意次の財政政策について,享保の改革との違いにも着目しながら,基本方針と具体的政策を述べよ。」 

(京都大学 2020 年)



「徳川家康が征夷大将軍に任じられてから幕府が日本人の海外渡航を禁じる前までの,日本の大名や商人の貿易活動に対する幕府の政策について,所定の欄の範囲内で説明しなさい。」

 (慶應義塾大学 2020 年 経済学部)

論述問題の対策方法として、事象を自分で説明する力を身につける必要がありますので、単語やテーマに沿って自分で書いてみる、という練習が欠かせません。例えば、一問一答の問題集があれば、まず語句を見て、そこから左の説明文の概要を思い出せるか? という練習をします。そのうえで、論述練習用の問題集などを使って、実際に書いてみる。まずは、文字数が少ないものから始め、だんだん長いものに挑戦すると良いでしょう。200字以上であれば、書くべき内容について先に構想メモを作ってから文章にしていくのもお勧めです。もちろん、添削をしてもらった方が自分の弱点がわかりますから、身近な先生に見てもらえるとより良いでしょう。

語句記述/選択型・時代整序型・正誤判定型

最も一般的な形式が語句を書かせる、語句を選ばせる、事象を時代順に並べる、正誤判定させるタイプの問題です。基本的には語句を覚えていたり、事象の経緯を正しく覚えていたりすれば解ける問題になります。

語句を書かせる大学については、もちろん、漢字で正確に用語を書けるようになる必要がありますので、一問一答や問題集を使って正確に書く練習をします。また、事象を時代順に並べる問題は共通テストでもよく出題されます。時代順を問う問題は、単に語句を覚えていても、それがどういう順番で推移したのか、あるいはいつの時代の出来事なのか、何年の出来事なのか、がわかっていないと解けませんので、勉強していくうえで、時代の枠組みを意識して覚えていく必要があります。

問題例
「この造営は,藤原不比等の4子の死去後に政権を握った人物の主導によってなされた。その人物は誰か,答えなさい。」 

(北海道大学 2020年)



「五大改革指令」に直接含まれていないものは次のうちどれか。1つ選び,マーク解答用紙の該当記号をマークしなさい。
  • あ  参政権を与えて日本の女性を解放すること
  • い  経済制度を民主化して,独占的産業支配を是正すること
  • う  秘密警察などを廃止すること
  • え  寄生地主制を除去して,安定した自作農経営を創設すること
  • お  労働組合の組織を奨励すること

(早稲田大学 2020年 法学部)

資料型

東大および共通テストで特徴的なのがこの資料型の問題です。歴史を単に暗記科目としてとらえるのではなく、歴史的な資料を通して考える力、考察力・判断力・読解力をはかるタイプの問題になります。一般的な大学では出題されないため、過去問演習による対策が効果的です。

問題例(※図は省略)
  • (1)  1533年,祇園祭を延期するよう室町幕府が命じると,下京の六十六町の月行事たちは,山鉾の巡じゅん行こうは行いたいと主張した。
  • (2)  下京の各町では,祇園祭の山鉾を確実に用意するため,他町の者へ土地を売却することを禁じるよう幕府に求めたり,町の住人に賦課された「祇園会出銭」から「山の綱引き賃」を支出したりした。
  • (3)  上杉本『洛中洛外図屏風』に描かれている山鉾巡行の場面をみると(図1),人々に綱で引かれて長なぎ刀なた鉾ぼこが右方向へと進み,蟷とう螂ろう(かまきり)山やま,傘かさ鉾ぼこがあとに続いている。
  • (4)  現代の京都市街図をみると(図2),通りをはさむように町名が連なっている。そのなかには,16世紀にさかのぼる町名もみえる。


設問
 16世紀において,山鉾はどのように運営され,それは町の自治のあり方にどのように影響したのか。5行(150字)以内で述べなさい。 

(東京大学 2020年)

日本史学習のコツ

では、最後に日本史学習のコツを確認しましょう。「軸」となる教材を作り、アウトプットと繰り返しを重視した学習をすることで、日本史の得点力を効率的に伸ばすことができます。正しい勉強方法で学習を進めましょう。

「軸」となる教材をつくる!

授業ノート・プリント・サブノートなど、学習の「軸」となる教材をつくりましょう。問題演習や過去問演習などをして、間違えたり、知らない内容がでてきたりしたら、必ず「軸」教材に書き込んでいきます。漫然と教科書やノートを見ているだけでは覚えられませんので、はじめは言葉を隠したり、簡単に書いたりして覚えていきましょう。自分が書き込んだノート・プリントを何度も繰り返し見直すことによって、知識が定着していきます。ただ、それでも最初から全ての事項を覚えることはできないので、早めに②のアウトプット練習にうつりましょう。

インプット(覚え込み)よりもアウトプット(問題を解く)が重要!

「覚えることばかりして問題を解かない」というのはありがちな間違った勉強法です。いくら綺麗なノートができていても、問題を解けるようになっていないと大学入試では意味がないのです。①の「軸」教材ができたら、次は問題集を使ってアウトプットをしていきましょう。思い出せない、忘れてしまったという問題には必ずチェックを入れます。そして、①の「軸」教材を見直します。間違えるからこそ悔しくて印象に残るはずです。「間違えること=自分の弱点を発見すること」、「本番で間違えないようにするために、本番までに間違える必要がある」という意識でどんどん問題を解きましょう。

大枠をつかんでから細部に向かう!完璧主義に陥らず先に進める!

はじめから細かい知識を詰めようとしすぎて、うまくいかないことがあります。かえって大事な部分の定着が遅れ、全体の流れを見失い、得点力に結びつかないというパターンです。最初から用語集の頻度が低いような語句までいっぺんに覚えようとするのではなく、まずは基本的な部分から知識を定着させていきます。また、同様に、完璧主義に陥ってしまい、先に進めなくなってしまうケースがあります。まずは全範囲一通り終わらせることが大切です。全体を何度か繰り返すつもりで、覚えきれていない部分があったとしても、授業の進度などを目安に先に進むようにしましょう。

先輩の体験談先輩の体験談

同志社大学グローバル地域文化学部 さん私は塾のテキストに何でも書き加えていましたが、そのように自分の中で一つ「バイブル」を持っていた方がいいと思います。日本史は高3の7月のマーク模試で33点だったのが、最終的に94点まで伸びました。入試当日も試験会場にそのテキストを持っていき、最終確認をして受験に臨みました。

繰り返しが重要! 一気に集中的にではなく、定期的に学習する!

定期的に少しずつ、繰り返し覚えていくことが大切です。大学入試は長丁場ですから短期詰め込み型ではとても太刀打ちできません。人間の脳は短期的・集中的に覚えても、復習をしないとすぐに忘れてしまいます。一回や二回覚えたくらいで忘れてしまったとしても落ち込むことは全くありません。むしろ、そこからが勝負です。人間の脳は繰り返すことで覚えるようにできています。少なくとも2~3日に一度は問題を解くといった定期的な学習と、復習や繰り返しを意識した学習のリズムを組み立てるようにしましょう。

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