歴史学・地理学

どんな学問?

歴史学
過去から学び、未来をつくる

過去から学び、未来をつくるイメージ画像!「歴史学」は、過去から現代に至る人類の営みや社会の変化について学ぶ学問です。史料(参照)に基づいて過去の出来事を解明し、当時の人々の考え方や社会の状況、政治や戦争、福祉などといった現代につながる問題も考えていきます。歴史学の研究分野は以下のように分けることができます。

1.日本史学

古代・中世・近世・近現代などの時代別、地域別、あるいは政治・経済・社会・文化などのテーマ別に、日本の歴史を研究していきます。例えば、中国の歴史書『魏志倭人伝』に記されている邪馬台国は、九州にあったとする「九州説」と近畿にあったとする「畿内説」に分かれて、現在もなお論争が続けられています。
こうした日本史上のミステリーを紐解いていくことも研究の1つです。

2.東洋史学

中国・朝鮮・インドなどの、アジア諸国の歴史や、イスラーム世界の歴史について研究します。近年、中国や韓国とは歴史認識や解釈をめぐって様々な問題が生じています。こうした近隣の国々を深く理解するためには、それぞれの国が歩んできた歴史や、培ってきた文化に対する研究が不可欠です。

3.西洋史学

ヨーロッパとアメリカの歴史が中心ですが、最近ではアフリカや中南米にまで 研究対象が広がっています。マンガで映画にもなった『テルマエ・ロマエ』は古代 ローマと日本の入浴文化をテーマにした作品ですが、ローマと日本には風呂以外 にも多くの共通点があることがわかります。そのような文化の共通点や違いを見 つけていくのも歴史学の一手法です。

4. 考古学

文献ではなく、遺跡や遺物など「モノ」から歴史を追及する分野です。そのため研究対象は、文字がない時代にまで及びます。例えば、長い間、伝説であると考えられていた中国の夏王朝の遺跡が近年発見されるなど、大発見があるのも考古学です。大学でも実習として遺跡の発掘作業に参加できることがあります。

5. 文化財学

美術工芸品から世界遺産をはじめとした建造物まで、様々な文化財の保存・活用について学びます。歴史的背景や政策、まちづくりなどの観点からのアプローチと、コンピュータを使った製図や保存のための科学技術など、理数系要素の強い面からのアプローチがあります。また、貴重な古文書や古美術品に直接触れるチャンスもあります。

地理学
歴史・自然・文化から「地理」をとらえる

「地理学」の研究はとても広範囲に及びます。この広く大きな地球に関係する物事や事象の「何か」に関心をもったならば、そこから地域や場所を眺め直すことが、そのまま地理学につながります。
地理学の研究分野は以下のように分けることができます。

1.人文地理学

地域の歴史や文化、政治経済などの側面から研究を進めていく分野です。例えば、自分の暮らす町の古い地図と現在の地図を比較し、どのように変化してきたかを調査する「歴史地理学」や、都市の立地展開や都市化などを研究し、ときには諸外国と比較しながら都市地域の問題を考える「都市地理学」などが「人文地理学」に含まれます。

2.自然地理学

地形や気象など自然環境の側面から研究を進めていく分野です。例えば、生物分布とその地域の気候や地形との関係を研究する「生物地理学」や、「なぜ大都市ではヒートアイランド現象(参照)が起こるのだろうか?」などということを調査する「気候学」は「自然地理学」の研究の1つです。

3.地誌学

ある特定の地域について、地形・気候・人口・交通・産業・歴史・文化から論じた書物を「地誌」と呼びます。そして、地域の特性や独自性、つまり「その地域らしさ」を研究する学問を地誌学と言います。

ひとことコラム

誰でも歴史家になれる!

1900年、地中海のクレタ島で粘土板や陶器に書かれた文字が発見され、「線文字B」と名づけられました。この文字は当時まだ解読されておらず、1939年以降は史料が増えてきたものの、なかなか解読に成功しませんでした。そして1953年、この未解読文字の解読に成功したのはマイケル・ヴェントリス、歴史学者ではなく建築家だったのです。これはとても珍しい例ですが、歴史学者だけではなく、誰しもが歴史を解明する可能性をもっているということですね。

こんな研究もあるよ

テクノロジーの進歩が地理学を変える

現在、多くの自治体が大学と共同研究を行い、GIS(参照)を用いた災害情報を提供しています。洪水・火災・地震など、災害の種類によって提供される情報は様々です。これは紙の地図しかない時代にはできなかったことで、地形・道路・河川・人口分布・住宅立地の情報に加え、災害発生時の危険地域や避難場所など多くの情報を1つの地図におさめることによって実現されています。さらにこうした情報の多くは、インターネットを通じて、誰もが自宅にいながら確認できるようになっています。
GISやインターネットといったテクノロジーの進歩を利用することによって、地理学も大きく変化しつつあるのです。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

高校の授業とどこが違いますか

A.

高校の歴史・地理の授業では、暗記をすることが中心でした。一方、大学の授業では研究テーマを自分で選択し、調査・分析方法を学び、史料やグラフを読みながら自分なりの研究を進めていきます。高校の授業よりも創造的に歴史・地理を学んでいくことができるのです。また教室での授業の他に、現地に行って調査する「フィールドワーク」も高いウエイトを占めています。

Q.

人文地理学と自然地理学の違いは何ですか?

A.

「地域」を対象として研究をする点は共通していますが、人文地理学は歴史や文化、政治経済に重点を置くため文系要素が強く、自然地理学は自然環境に重点を置くため理系要素を含みます。さらに人文地理学には「経済地理学」「社会地理学」「都市地理学」「歴史地理学」「文化地理学」「宗教地理学」など、自然地理学には「気候学」「水文学」「地形学」「海洋地理学」などの分野があります。

Q.

どのような人が、歴史学・地理学に向いていますか?

A.

地図を見るのが好きな人、古美術品や古文書に興味がある人、遺跡や神社仏閣を巡るのが好きな人などは向いています。また、自分の手足を使って調査、研究をしてみたい好奇心・探究心が旺盛な人にもお勧めです。歴史学・地理学ともにフィールドワークが欠かせませんので、フットワークの軽い、行動力のある人にも最適です。地理学は文系・理系の両方の要素を含んでいますので、1つの枠組みにとらわれず、幅広い視野で研究してみたいという人にも向いているでしょう。

地域のちがいをみる

卒業後の主な進路

読解力や調査力を強みに幅広い業種へ
公務員、特に教員が多いのも特徴

坂本竜馬のイラスト歴史学・地理学を学んだ学生は、一般企業への就職や公務員が多いのが特徴です。一般企業の業種は幅広く、なかでも出版関連などのマスコミ業界は人気があります。また地理学を専攻した学生は、その知識を活かして不動産関連や観光業界、交通業界、情報・通信系に進む学生が多いと言えます。このように歴史や地理に直接関係のない仕事でも、研究を通じて培われた読解力・資料収集力・調査力・推測能力は様々な場面でアピールできるポイントとなるのです。
公務員を目指す場合は、歴史や地理の教員が最も多いようです。その他には博物館の学芸員、司書、文化庁発掘調査研究員を目指す人もいますが、募集人数が少ないために「狭き門」となっているのが現状です。
また各地方の環境調査や都市開発の仕事に関わる人もいるようです。少数ですが、より専門的な研究をするために大学院に進学する人もいます。

専門用語を知ってるかな?

GIS

地理情報システムとも言い、コンピュータを利用して、様々なデータを地図の上に表現したり、分析したりする方法のことです。身近なところではカーナビやパソコン用の電子地図ソフトがGISを活用しています。

国土地理院

国の定めた法律に基づいて測量を行う国土交通省の特別機関です。「地形図」を発行していることで知られています。

紙背文書(しはいもんじょ)

いらなくなった文書の裏面に書かれ、それが捨てられずに残ったもの。内容の多くは日常的なことが書かれています。正式な文書からは読み取れない当時の日常の様子を伺えるのが魅力です。

史料

歴史を研究する材料となるもの。文書だけではなく遺跡や遺物、ときには絵画や写真なども史料となります。史料を読み解き、当時の時代像を捉えるためにはそれぞれの読解法を学び、常に正否を検討しながら読み込んでいくことが必要です。これらの力を養うために「古文書学」「史料講読」といった講座があります。また、考古学では実際に土器や石器に触れることができます。

編年

考古学における用語で、遺跡や遺物の成立年代の前後関係を作ることを指します。編年には木の年輪の幅によって年代を測定する年輪年代法、空気中の炭素の量によって測定する放射性炭素年代測定法、火山の噴火した時期を利用する火山灰編年法などがあり、様々な材料や視点から年代測定を試みていきます。

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