人類に眠る「夏眠」の力とは?
生命の仕組みを理解して、健康や未来に役立てる
香川大学 医学部 教授
西山 成 先生
ワクチン開発から、宇宙飛行士やイルカの研究まで
私は高血圧や腎臓病、がんなどの病気の仕組みを解明し、新しい治療法の開発を目指しています。特に最近では、「家族性大腸腺腫症」という遺伝性疾患に対する世界初の治療ワクチンの実用化を目指しています。また、生物が過酷な環境を生き抜くために進化の過程で身につけた「夏眠(体温や代謝(エネルギー消費)を極端に落として休眠状態になること)」という能力が、我々人類にも保存されていることを発見しました。この能力をうまくコントロールして一時的に体のエネルギー消費を抑えることで、病気による細胞へのダメージを防いだり、老化を遅らせたりするなど、病気の治療や健康維持に役立てられないかを検証しています。
これに関連して、宇宙飛行士が少ないエネルギーで長期間の宇宙旅行に耐えるための研究(JAXA/NASAとの共同研究)や、イルカの老化研究(沖縄美ら海水族館との共同研究)などにも取り組んでいます。これらは一見するとバラバラに見えるかもしれませんが、根底にある共通のテーマは「生命の仕組みを理解し、人々の健康や未来に役立てること」です。
「なぜ病気になるのか」——根源的な問いから始まった研究への道
私がこの研究に進んだきっかけは、「なぜ人は病気になるのだろう」という疑問を持ったことでした。医師として「臨床」の現場で目の前の患者さんを診療することは非常に大切です。しかし、その一方で、病気の原因そのものを解明し、新しい治療法を生み出す「研究」にも大きな魅力を感じました。大学院に進み、憧れのアメリカへ留学し、海外の研究者たちと議論を交わす中で、基礎研究の成果が世界中の患者さんを救う可能性があることを実感し、研究者としての道を歩むことにしました。
研究は世界中の仲間と新しい「知」を生み出す創作活動
この研究の面白さは、何といっても「新しい事実を発見できた瞬間の喜び」です。実験は思い通りに進まないことも多く、何度も試行錯誤を繰り返す必要がありますが、その末に得られる喜びは何ものにも代えがたいです。
さらに、研究を続けていると、世界中の研究者とのつながりが生まれます。私自身、海外留学や国際学会を通じて多くの研究者と出会い、数えきれないほどの共同研究を行っています。研究とは、世界中の人々と協力しながら新しい知識を創り上げていく「創作活動」でもあるのです。
失敗を恐れず挑戦し、人間力を培ってほしい
私が学生さんに期待するのは、「失敗を恐れず挑戦する勇気」を持つことです。将来への決まったレールなどどこにもなく、研究でも人生でも、失敗や経験から学ぶことなくして新しいものは生まれません。自分に嘘をつかずにチャレンジを続け、人間力を培っていってほしいと思います。大学受験も、その力を鍛える大きな機会です。結果が出ずに悩む日々もあるでしょうが、「自分で目標を定め、実現に向けて努力した経験」には大きな価値があります。研究の世界でも求められる「やり抜く力」の土台は、まさに受験勉強を通じて培われる継続力や忍耐力なのです。
とはいえ、高校時代は勉強ばかりが全てではありません。部活動や学校行事などを通じて多くの人と関わり、自分とは異なる価値観に触れてください。それは、皆さんを成長させてくれるかけがえのない時間です。「今この瞬間」を大切に生きるうちに、いつの間にか自分の道が開けてくるはずです。
西山先生からのメッセージ
未来の医療や科学技術を切り拓くのは皆さんです。ぜひ大きな夢を持ち、自分を信じて挑戦し続けてください。「人の健康に貢献したい」「新しい発見をしたい」「世界で活躍したい」——そう考えている方は、ぜひ香川大学医学部を選択肢の1つとして考えてみてください。ここには、患者さんに寄り添う医療を学べる環境と、世界につながる最先端の研究環境があります。皆さんとお会いし、ともに未来の医療を創っていける日を楽しみにしています。
香川大学 医学部
https://www.med.kagawa-u.ac.jp/
西山 成先生の研究室
https://www.med.kagawa-u.ac.jp/~yakuri/index.html









